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グランドピアノと同じ掛川工場で製造

ヤマハ、平面磁界型オルソダイナミック・ドライバー搭載ヘッドホン「YH-5000SE」。約50万円

公開日 2022/11/17 13:13 編集部:成藤 正宣
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ヤマハは、独自開発の平面磁界型ドライバーを搭載したフラグシップヘッドホン「YH-5000SE」を12月下旬より発売する。価格は495,000円(税込)。

「YH-5000SE」

今年9月に開催されたイベント「秋のヘッドフォン祭2022」にて参考出展された製品が、正式に発売を決定した格好。ヘッドホンでの音楽リスニングを好むユーザーに向け、高い音質と極上の装着感により「音楽に長時間、心地良く没入できるヘッドホン」として開発されたモデルとなる。

イベントで参考出展された平面磁界型ヘッドホンが正式発表

同社があらゆるホームオーディオ製品で追求している音質思想“TRUE SOUND”を、本製品においても踏襲。楽器の音や人の声などさまざまな音の要素を正確に再現する“TONAL BALANCE”、休符やブレークの余韻といった静と動の対比を表現する“DYNAMICS”、アーティストのポジションや楽器を弾く動きまで浮かぶような“SOUND IMAGE”という3つのコンセプトに基づき、アーティストの意図した音を正確に再現。聴き手の感情を揺さぶるサウンドを目標としている。

音の心臓部ともいうべきドライバーユニットとして、独自に開発した50mm平面磁界型「オルソダイナミック・ドライバー」を搭載。同社が1976年に発売した平面磁界型ヘッドホン「HP-1」などを参考としつつ、研究と改良を重ね、フラグシップモデルにふさわしい音質となるよう改めて開発したという。なお、ドライバー名の「オルソ(ORTHO)」とは、“正しい”“まっすぐ”などを意味する言葉となる。

独自開発の平面磁界ドライバー「オルソダイナミックドライバー」を搭載

新開発の薄型振動膜には、両面に独自のパターンでボイスコイルをエッチング(表面処理)し、さらに形状を保つため微細な波状の凹凸(コルゲーション)をつけている。ダイナミック型ドライバーの振動板と比較しても非常に軽いため、応答性が高く、音楽の微細なニュアンスや空気感を余すこと無く表現できるとしている。

さらに、振動膜の両面には透過度の高い「微細孔エアダンパー」を配置することで適切な制動を行い、音楽の躍動感をありのまま再現。また、外周以外に固定点を持たない真円形状のため、膜全体の動きが阻害されることがなく、濃密でヌケのよい低域表現も備えたと謳っている。

開放型のハウジングは内部の容積を大きく取り、空気の流れを最適化することで理想的な振動膜の駆動を実現。バックキャビティ内の反射音との不要な共鳴も抑制している。加えて、ハウジング内には内圧調整のため日本製の「圧延平畳織ステンレスフィルター」を採用し、反射板としてアーチ状の突起も配置。これらにより、楽器/声のリアリティや、音が鳴ってから消えるまでのニュアンスを適切にコントロールするという。

ハウジングのフレームには、振動減衰率が極めて高いマグネシウムを採用。軽量かつ剛性にも優れることから本体質量を約320gに収めている。さらにステンレス素材を採用したヘッドバンドは側圧を最適化する構造とし、程よく厚みを持たせた立体縫製ヘッドパッドにより頭部にかかる圧力を分散。スライダーは微調整が可能な無段階式としている。

ハウジングにはマグネシウムを採用

イヤーパッドは、適度な吸湿性を備える羊革を用いたレザータイプと、高級車の内装にも使用されるウルトラスエードを用いたスエードタイプの2種類を同梱。レザータイプは外周に有孔合成レザー、内周に高通気メッシュを組み合わせた構造で、“輪郭のある音像と明瞭な音場感”を両立したサウンド傾向になるとのこと。またスエードタイプは温かみのあるサウンド傾向となり、沈みこむような装着感と合わせて“よりいっそう長時間の没入体験に誘う”としている。

イヤーパッドはレザータイプ/スエードタイプの2種類を付属。それぞれ装着感だけでなく音質も異なる

そしてヒンジ部には「傾斜スイーベル機構」を採用。ハウジングが耳裏の凹み部分にしっかりとフィットし、空気漏れによる定位の偏りや低域の量感不足が生じないよう配慮した。これらの形状により、音楽を長時間快適に楽しめる着け心地を確保した。

耳の裏のくぼみまで隙間なくフィットするようヒンジ部を設計。音を漏らさず耳に届けるとともに、各部の設計と相まって高い装着感を実現した

ケーブルは両出し方式で着脱に対応。3.5mmステレオミニプラグ/4.4mm 5極バランスプラグの2種類の編み込みケーブルが付属する。どちらも長さは2mで、導体には銀コートOFC線を採用。明瞭感のある中高域と表現豊かな低域を高純度に伝送し、自然かつ空間的な広がりのある音の再現を目指している。

ケーブルは両出し式で着脱が可能。3.5mmステレオミニ/4.4mmバランスケーブルの2種類が付属する

ドライバー製造から組み立てまでの工程は、グランドピアノなども生産している同社の掛川工場で実施。本社から近い場所に位置しているため、開発担当と生産現場が密接に連携を取ることができ、加えて熟練のスタッフが作業を手掛けることで、高い品質を実現しているとのことだ。

再生周波数帯域は5Hz - 40kHz、インピーダンスは34Ω、感度は98dB/mW。6.3mmプラグアダプターや、専用ヘッドホンスタンドが付属する。

ヘッドホンスタンドも同梱している

なお、付属品のイヤーパッド2種、ケーブル2種、ヘッドホンスタンドは、それぞれ2023年2月ごろから単品販売を開始予定。また同時に、ノイトリック社製XLRコネクター採用のバランスケーブルがオプションとして用意される(93,500円/税込)。

オプションとして、XLRバランスケーブルを来年2月に発売。付属品の単品販売も予定する

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