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岩井俊二監督のビデオメッセージなども

Sonosのホームシアター製品が一気に充実。新製品お披露目アリのイベントをレポート

2022/09/22 編集部:杉山康介
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Sonosは、関係者向けのブランドイベント「Feel More with Sonos」を9月14日に開催。最新製品の「Sonos Ray」「Sonos Sub Mini」の紹介・体験をはじめ、さまざまなプログラムが行われた本イベントの様子をレポートしよう。

新製品「Sonos Ray」「Sonos Sub Mini」がお披露目

イベント冒頭でSonos CEOのパトリック・スペンス氏によるビデオメッセージが上映されたあと、製品プログラム責任者のジェフ・ダーダリアン氏が登壇。製品作りのポイントとして、クリエイターの意図した音を忠実に再現すること、視聴コンテンツや操作方法などを自由に選択できること、製品を簡単かつシンプルに使えること、没入体験を邪魔しない自宅に溶け込むデザイン性を挙げた。

ジェフ・ダーダリアン氏が登壇し、製品作りの4つのポイントを説明

新たなサウンドバー「Sonos Ray」は、それら全てをクリアしたモデルだと説明。音質的にはセンターchによる声の聞き取りやすさや空間の再現性、ディープなベースを備えつつ、「コンパクトで、どの家でもちゃんとフィットすること」を念頭に置いてデザインしたという。

Sonos Ray

また、他のSonos製品と同様に、専用のスマホアプリを使えばセッティングも簡単で、「やることは2つだけ。電源を入れることとテレビに繋ぐこと。あとはアプリのガイドに沿えば使えるようになる」とのこと。他にもポイントとして「ナイトサウンド」を挙げ、これを使えば夜間なども周囲に迷惑をかけず、爆発シーンなどもラウドネスを抑えつつインパクトを残せると語った。

発表されたばかりの「Sonos Sub Mini」についても、2つのセンターウーファーによってインパクトを出しつつ、振動を抑えていると解説。そして従来のサブウーファーとは一線を画す円柱型デザインは、家の中にあっても家具の一部のように見えるという。こちらもRayと同じように、簡単にセットアップが可能とのこと。

Sonos Sub Mini

そして「Trueplay」を使うことで、それぞれの自宅に合わせてサウンドの微調整ができることもアピール。キャリブレーションは自動で、バランスが良くクリアな音が出るようにフォーカスされていると説明した。

「Sonosのサラウンド体験」をDolby Atmosで映像作品化。岩井俊二のビデオメッセージも

続いて、最先端技術とサウンドを融合し様々な作品を生み出しているアーティスト集団・Rhizomatiks(ライゾマティクス)代表の真鍋大度氏が作成した、Sonos製品のサラウンド体験を視覚化した映像作品を上映。再生にはサウンドバー「Sonos Arc」×1、「Sonos Sub」×2、「Sonos Five」×2のワイヤレスサラウンドシステムが使われ、その後には真鍋氏とジェフ氏の対談が実施された。

作品は大きく3つのパートに分かれており、イントロのパートはDolby Atmosで作った音源の「音が空間上をどう動いているかの情報」を可視化して表現したもの。次のパートでは音楽をダンスで表現し、最後のパートは歌詞をAIに読み込ませて自動生成した映像で、「リリックの可視化を今風に行った」ものだという。

今回のコラボはSonosからのオファーによって実現したもので、真鍋氏は「空間オーディオのコンテンツ・プラットフォームがどのくらい進化しているかを知るいい機会だと思って受けた」とコメント。制作を通してツールの進化や、空間オーディオに伸び代があることを知ったため、この機会にAtmos環境を自宅スタジオにも導入したいと語っていた。

Rhizomatiks代表・真鍋大度氏(左)とジェフ氏(右)の対談も実施

本作の音源は、Nosaj Thingがトラックメイキングを、UAがボーカルと歌詞を担当。当初は前述した「音空間上をどう動いているかの情報」を可視化したインスタレーションで全編制作するつもりだったが、出来上がった歌詞を見たり、スタジオでの作業などを経てもっと色々見せたいとなり、最終的な構成になったという。

完成した作品をSonosシステムで聴いてみて、「最初はスタジオの音がどれくらい再現できるか心配だったけど、音がちゃんと定位して、空間オーディオが再現できている。しかもコンパクトで、自宅でも楽しめるシステムが誰でも入手できるのはすごいことだと思った」と感想を述べた。

これに対しジェフ氏は「クリエイティブプロセスが素敵で、我々が実際に製品を開発するときのプロセスに似ているなと思った。スタジオで聴いた音が、Sonosでも再現できていたと言ってくれたのが嬉しい」とコメント。

また、Sonosは製品開発において、ミュージシャン・クリエイターとの協業を大事にしている。この理由については「我々はコンテンツを楽しんでもらうために製品を作っていて、ミュージシャンが意図した音を、我々が憶測や推測で提供することはまずもってできない。なのでミュージシャンやクリエイターとコラボすることは大事なプロセスだと思っている」と説明。

真鍋氏は「最終的にどんな音を届けるかがゴールだと思うので、(コラボは)すごく大事なことだと感じるし、そういうプロセスを経て完成させることは難しいと思う。表現者の観点で言うと、新しい技術などからインスピレーションを受けて新しい作品を作れることはありがたくて、実際、今回のコラボがなければ空間オーディオをここまで知ることはなかったと思う」などと語った。

さらに映画監督の岩井俊二によるビデオメッセージも上映。2020年公開の『ラストレター』をSonos製品で視聴した印象を「(制作していたときと)同じだなって思う。聴かせたいところが綺麗に聴こえる印象」だと述べた。

岩井俊二監督のビデオメッセージも公開された

加えて「人の耳は生物が生きるためのセンサーで、デリケートにできている。僕らが向き合うのはそんなものなので、映画の音声は頑張ってナチュラルなものを作って、初めて気にならなくなるというか、0点になる。100点満点がなくて0点満点なんですね」など、映画監督としての “音との向き合い方” を語ってくれた。

ジェフ氏、真鍋氏インタビュー

なお、ジェフ氏と真鍋氏に関しては、イベントとは別でインタビューの機会もいただいた。

ジェフ氏、真鍋氏には別でインタビューする機会をいただけた

RayとSub Miniは、ともに小型かつ使いやすさを重視した製品だ。今、そういったモデルを展開する理由について、ジェフ氏は「我々はホームシアター製品のポートフォリオを充実しようとしている。RayやSub Miniのようなモデルも用意し、ユーザーが自宅に合ったシステムを自由に選べるようにすることで、ユーザーに選択肢を提示したい」と説明。

また、開発においては「グローバルブランド」であることも大事なポイントであり、幅広いラインナップを揃えつつ、Trueplayで最後に微調整できることによって、さまざまな国や環境にマッチした音を提供できるという。さらに多くの製品がDolby AtmosやAmazon Music HDをサポートしていることに触れ、「日本のように高音質を重視する市場では特に評価されると思う」と語った。

Rayは米国を含む多くの国ですでに発売されている。その評価を聞いてみると「すごく良い。ユーザーも満足してくれており、価格が下がったことや、小さくなったことと同時にエクスペリエンスが高級なところが評価されている」とのこと。

ちなみに、Trueplayが現時点でiOS/iPadOSでしか使えないことについては「Trueplayは対応機種の全てでキャリブレーションを行う必要があり、Android製品は数が多すぎるため対応できない」とのこと。ポータブルスピーカーの「Sonos Roam」「Sonos Move」に搭載されたTrueplay Autoならスマホがなくても使えるものの、AndroidユーザーでTrueplayを使いたい場合は「iPhoneユーザーの友達に遊びに来てもらってほしい」と、ジョーク混じりに述べていた。

現在のSonosホームシアター製品のラインナップの一部。大きなリビングから寝室などまで、ユーザーの環境にあわせて選べるようになっている

一方、真鍋氏は今回、Dolby Atmosを使ってSonosのサラウンド体験を視覚化した映像作品を制作してくれた。Dolby Atmosといえば近年、映画のみならず音楽業界も急速に注目を集めつつある技術だが、アーティストの視点ではどのような影響、可能性を感じるのだろうか。

「Dolby Atmosは映像との連動がしやすい。今まで空間オーディオと映像の同期には独自フォーマットやプロトコルを作る必要があったが、そういったことをしなくても組み合わせやすくなっている。実際、Dolby Atmosを使ったメディアアートやビジュアルアートなどが増えてくると思うので、シアターから音楽に来て、そしてインスタレーションに展開されているのかなと思います」(真鍋氏)

また、オーディオ/AV視点では空間やコンサートホールを忠実に再現することが大事になるが、真鍋氏はむしろ “自由に音を配置できる” ところに新しい表現の可能性を感じたとのことで、実際、今回の作品でもそういった特性にインスパイアされた表現を取り入れたそうだ。

そしてSonos製品については、当然今回のコラボで使用しているうえ、自宅にもあるとのこと。音体験をどう感じるかは人によっても違うとしつつ、「アプリやUIの使いやすさ」を特筆すべきポイントとして挙げ、空間オーディオが自宅でも簡単に扱えることに希望を感じたと語っていた。


Ray、Sub Mini実機でのデモも体験

イベント後には新製品を含む、Sonos製品の体験会が行われた。RayはSonosサウンドバーのエントリーモデルで、9月14日より国内販売がスタートしたばかり。ジェフ氏も語っていた通り、Sonosらしいフラットなサウンドバランスを持ちつつもボーカルや声がセンターに位置し、歌詞やセリフが非常に聴き取りやすい。低域もしっかり出ており、「音の良し悪しなんて分からない」という方にも好印象を持ってもらえそうな、良い意味で万人受けする音という印象だ。

またサイズ自体もコンパクトなうえ、ユニットが全て前を向いていて、上や横に遮蔽物があっても音質が阻害されないため、設置するうえでのハードルもかなり低い。5.1chのワイヤレスサラウンドシステムも構築できるので、初めてのSonos製品や、友人や家族などへのプレゼントにも最適だと思えた。

Rayはかなりのコンパクトさ。上や横を塞いでも問題ないため、設置のハードルが低いのが特徴だ

発表されたばかりのSub Miniは、本イベントが初お披露目。本体サイズは直径23cm、高さ30.5cmなのだが、実際に見るとイメージよりもかなり小さい。だからといって音もコンパクトなんてことはなく、しっかりと腰の低いディープなベースを聴かせてくれる。

Subと比べると最大出力は小さく、また2台接続ができないなどの制約こそあるが、「邪魔になる」「振動して近所迷惑」といった、“サブウーファーを置けない理由” がクリアされているのがありがたい。一人暮らしのワンルームや寝室などでも置けるので、Sonosユーザーならぜひとも試してみてほしいところだ。

BeamとSubを組み合わせた様子。従来のサブウーファーとは大きくかけ離れたサイズ感、そして馴染み具合だ

フォースキャンセリングで振動しないため、上に水を張ったコップを置いても静かなまま(注:こちらは製品の性能を見るためのパフォーマンスなため、実際に試す場合は自己責任でお願いします)

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