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3次元の色域情報を2次元で表現

NHK技研の色域表現手法「Gamut Rings」が国際標準に採用。測定/表示装置も開発

2022/02/16 編集部:成藤 正宣
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NHK放送技術研究所(NHK技研)は、同研究所が考案したディスプレイの色再現範囲(色域)を表現するための新手法「Gamut Rings(ガマット リングス)」が、国際電気標準会議(IEC)および国際照明委員会(CIE)にて国際標準として採用されたことを発表。また同時に、ディスプレイの色域を自動で測定し、Gamut Ringsに基づき表示する装置を開発したと明らかにした。

NHK技研の色域表現手法「Gamut Rings」が国際標準に採用

Gamat Ringsは、NHK技研が開発した、ディスプレイの色域を木の切り株の年輪のようなリングで表現する新手法。従来用いられていた色度図は、紙面上など2次元で色域を表現するには便利であるものの、ディスプレイの色域を正しく評価するために必要な明度の情報を表現することができなかった。

一方、明度を含めた3次元形状で色域を表現する「色域立体」という手法も存在するが、PCやタブレットなど、3次元形状を自由な角度から見る機能がある表示装置でなければ、正しく評価することができなかったという。

従来色域の表現に用いられていた色度図(左)や色域立体(右)には、それぞれ表現できる情報や表示媒体の点で課題が存在していた

そこでGamut Ringsでは、色域立体を一定の明度間隔で輪切りにして、明度の低い方から平面に引き延ばし、より高い明度の色域をその周辺にリング状に配置するという方法で2次元投影を実現。ディスプレイの色域を正しく表現することが可能になったと説明する。

Gamut Ringsは、色域立体をリング状に引き伸ばして2次元投影することで、正確な色域表現を可能にした

Gamut Ringsは、2021年1月にIECで、2021年11月にCIEでそれぞれ国際標準として採用。ディスプレイの設計や性能評価をはじめ、放送用から家庭用まで様々なディスプレイやテレビの性能比較/選定に役立つことが期待されるほか、プリンターなどにおいても色域の正しい評価に有効であるとしている。

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