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ワイヤレス8Kカメラなど制作機材も進化

<NHK技研公開>8K/120Hzの「フルスペック8K」アピール。「地デジ8K放送」実現も目指す

2019/05/28 編集部:小野佳希
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NHK技術研究所が研究・開発している最先端技術を一般公開するイベント「技研公開2019」が5月30日から6月2日まで開催される。これに先立ってプレス向け公開が行われ、8KやAR・VRを始めとする様々な最新技術が披露された。本稿では8K関連の展示をレポートする。


■120Hz駆動の「フルスペック8K」

今年の技研公開は「ワクからはみ出せ、未来のメディア」をテーマに、3DテレビやAR/VRを活用した空間表現の研究開発にフォーカス。8K/4KやHybridcastといったコンテンツの高品質化軸に加えて、3DやARなどによる「表現空間の拡張」という軸でも映像技術を捉え、技研が“ダイバースビジョン”と呼んで提唱する、誰もが時間や場所を気にせず、好みの機器を使ってさまざまなコンテンツを視聴・体感できる新しい放送・サービスの実現を目指すとした。AR/VR等の展示については別項で紹介する。

8Kでは、NHKが「フルスペック8Kスーパーハイビジョン」と呼ぶ、8K/120Hz映像と22.2ch音響をアピール。大型スクリーンでのデモコンテンツ上映や、8K 120Hz対応の超薄型有機ELディスプレイなど一般視聴者にも直接関係するものから、地上デジタル波で8K伝送を実現するための技術といった放送業界関係者向けのものまで、幅広い展示が行われている。

毎年恒例で8Kシアター上映を行う講堂には、今年から新たに120Hz対応8Kレーザープロジェクターを導入。パフォーマンスチーム「s**t kingz(シットキングス)」のダンスパフォーマンスや、新体操選手アレクサンドラ・ソルダトワの姿を追った「8Kエクストリームボディー 〜ロシア新体操の妖精〜」といった映像を8K/120Hzで上映する。

講堂では大型スクリーンで8K上映

なお、これに加えて60Hzとなるが「メキシコ・ユカタン半島 神秘の水中鍾乳洞セノーテ」、「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2019<8K版>」という、BS 8Kチャンネルでのコンテンツも上映。NHK技研の三谷所長は「私も自宅の8Kテレビでふだんから見ているコンテンツだが、大きなスクリーンで見るとまた違った魅力を発見できる」と語った。

4種類の8Kコンテンツを上映する

超薄型の8K有機ELディスプレイは、LGおよびアストロデザインと共同開発を進めているもの。数年前から展示を行っているが、今年は新たに120Hz駆動へ対応した。厚さ約1mmと超薄型であることから「シート型ディスプレイ」と呼んでおり、画面サイズは88インチ。10ビット表示にも対応し、高コントラストおよび広視野角である点も特長だという。

シート型有機EL 8Kディスプレイが120Hz駆動に対応

また、これとは別に超薄型、軽量、大画面なフレキシブルディスプレイの開発も目指し、その要素技術として量子ドットEL素子と、塗布型TFTの研究を紹介。量子ドットEL素子では、有毒なカドミウムを使用しない新しい量子ドット材料の開発に成功し、従来よりも高色純度の緑色EL発行を実現させたという。

量子ドットEL素子の展示

そのほか、8K 120Hzについては対応カメラやIP伝送装置といったライブ制作環境を構築する機材なども展示。8K 120Hz符号化装置や、広帯域・大容量伝送が可能なBSAT-4a衛星の21GHz帯中継機を用いたライブ伝送の紹介なども行っている。

8K伝送システムなど技術面も様々な展示を展開

■22.2ch音響をラインアレイスピーカーやサウンドバーで再現

フルスペック8Kのもうひとつの構成要素である22.2ch音響については、ラインアレイスピーカーやサウンドバーでのバーチャルサラウンドという、家庭への導入に向けてより現実に即した形での展示を披露した。

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