HOME > ニュース > デノン、9chアンプ搭載のミドル級AVアンプ「AVR-X4500H」。電源などの見直しで音質向上

ブロックコンデンサーやDAC周辺を改良

デノン、9chアンプ搭載のミドル級AVアンプ「AVR-X4500H」。電源などの見直しで音質向上

2018/08/30 小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
デノンは、9chアンプを搭載したAVアンプ「AVR-X4500H」を9月中旬より発売する。価格は170,000円。

会場に展示された「AVR-X4500H」

昨年発売した「AVR-X4400H」の後継モデルで、同ブランドの中ではミドルクラス・モデルという位置付けとなる。同時発表された準フラグシップAVアンプ「AVC-X6500H」についてはこちらの記事で紹介している。

AVR-X4500Hは、従来から引き続き9chディスクリート・パワーアンプを搭載。定格出力は125W+125W(8Ω、2ch駆動時)、実用最大出力は235W(6Ω、1ch駆動)。

「AVR-X4500H」

背面端子部

内蔵アンプは9chだが、プロセッシングは最大11.2chに対応。11.2chプリアウトを装備しており、パワーアンプ追加で最大7.1.4chシステムが構築できる。本機単体では最大5.1.4chまたは7.1.2chシステムが構築可能だ。イマーシブオーディオは、ドルビーアトモス、DTS:X、Auro-3Dに対応。近日中に発表予定という新フォーマットにも対応予定とのこと。

HDMI端子は8入力/3出力を搭載し、いずれもHDCP 2.2に対応。4K/60p、HDR10/HLG/Dolby VisionのHDRのパススルーに対応する。eARCにもアップデートで対応する。4Kアップスケーリング機能も備えている。HDMI2.1の新機能となる自動低レイテンシーモード「ALLM(Auto Low Latency Mode)」にも対応する。

「AVR-X4500H」の筐体内部

HEOS機能によるネットワーク再生に対応。ネットワークとUSBメモリー経由で5.6MHz DSDなどハイレゾ再生も行える。AirPlay 2にも対応する。デュアルバンドWi-Fi、Bluetoothを内蔵する。

デノンは発表に先立ってプレス向け内覧会を開催。開発を担当した渡邉敬太氏が製品の詳細についてプレゼンテーションを行った。

ディーアンドエムホールディングス 渡邉敬太氏

本機もAVC-X6500Hと同様に、「ダビングステージの音の再現=ストレートデコード」「最新のAVフォーマットへのいち早い対応」「幅広いニーズへの対応」をコンセプトとして開発されたという。また、デノンのAVアンプのラインナップ中では、この4000番台のモデルが特に大きな売上を誇っているとのこと。高いクオリティを持ちながら価格的にも導入しやすいミドルクラス機として、売り場やインストーラーからの支持も厚いという。

なお、同社ラインナップにおけるAVR-X4500Hの位置付けと各モデルとの差異についてはAVC-X6500Hの紹介記事で詳しく説明しているのでこちらも参照してほしい。

AVR-X4500Hは、9chディスクリート・パワーアンプを搭載。上位機が各chを独立基板としたのに対して、本機は4ch/5chのアンプをそれぞれ1枚ずつの基板に収め、それぞれを個別のアルミ押し出し材によるヒートシンク状に配置している。

AVR-X4500Hのパワーアンプ部。9chアンプを2枚の基板に収めている


DACチップはAVC-X6500Hと同様にAKMの8ch DAC「AK4458VN」を2基搭載。DSPは32bitフローティングポイントDSP「SHARKプロセッサー」を4基搭載する。シャーシはボトムシャーシにトランスベースを加えた「ダブルレイヤードシャーシ」として筐体の剛性を強化している。

AVR-X4500HのDAC基板

ブロックコンデンサーやプリ/DAC周辺を見直して音質をさらに向上させた

従来モデルをベースとしつつ、今年2月に発売された旗艦AVアンプ「AVC-X8500H」で培った主要設計を投入。各部の見直しを図って音質向上を実現させたという。

進化ポイントだが、まずパワーアンプ用電源のブロックコンデンサーを新規に開発した。従来の高級機でも使用していたAVR-X4400Hのブロックコンデンサーの外形、内部材料、外部材料などの見直しを実施。ニチコン社と共同開発した新しいカスタム・ブロックコンデンサーを搭載した。


ブロックコンデンサーを新規開発
具体的な改善内容については、オーディオ用ACエッチング方式の高倍率箔を使用した上で、ケースを従来のΦ35mmからΦ40mmへと大型化。さらに内部材料を吟味して、新しい電解紙に改良。約10%の低ESR(等価直列抵抗)化を図り、ロスの少ないクリアな音質を実現したとする。また、ケース外部のスリーブの材質を従来のPETから固有振動の少ないポリオレフィンを採用したことも、音質向上に寄与したという。


ブロックコンデンサーの新旧比較。左がAVR-X4500Hのもの、右が従来モデル AVR-X4400Hのもの
また、パワーアンプ入力部のコンデンサーに新たにELNA社製オーディオグレード品を採用して、容量も従来の47μFから100μFへとアップした。

パワーアンプ用のブロックコンデンサーと共に大きな改善点として紹介されたのが、小信号を扱うプリアンプ部やDACのパーツ見直しだ。まず、プリアンプ部については、整流ダイオードを汎用品からFast recovery品へと変更。Fast recovery品は、オン状態からオフ状態に切り替わる際に逆向きに電流が流れる時間(逆回復時間)が短く、汎用品よりエネルギーロスを減らすことができるのだという。

また、プリアンプ用電源のブロックコンデンサーも、従来の4,700μFから6,800μFへと大容量化。ボリューム出力抵抗を0Ω化してのパワーアンプ直結も行った。

DAC部については、ポストフィルターの抵抗を従来の汎用の厚膜抵抗から、薄膜抵抗に変更した。薄膜抵抗は製造プロセス上、抵抗膜を均一に形成することができるため、温度変化による抵抗値のばらつきや電流が流れることによるノイズの低減が可能となり、歪みやS/Nの悪化を防ぐことが可能になったという。


DACやプリなど小信号系回路の見直しを行った
そのほかのAVR-X4500Hのポイント

デノンを代表するアナログ波形再現技術αプロセッシングは、「AL32 Processing Multi Channel」を搭載。マルチチャンネルを含む入力信号を32bit精度に拡張して再生を行う。

バイアンプ駆動はフロント2chのみに対応する。

HEOS搭載によるネットワーク再生/USBメモリー再生に対応。5.6MHzまでのDSDや192kHz/24bitまでのWAV・FLAC・ALACの再生が可能だ。Spotifyなどのストリーミング再生にも対応。新たにAirPlay2にも対応している。

専用の操作アプリ「Denon 2016 AVR Remote」からの操作や設定に対応。ネットワーク再生は「HESO App」から操作できる。

音場補正機能は「Audyssey MultEQ XT32」を採用。アプリ「Audyssey MultEQ Editor」からの詳細設定も行える。

エコモードも強化。音量に合わせて自動的に消費電力を低減する「オート」モードにおいて、モードが動作する音量の基準を日本国内の使用実情に合わせて最適化した。

本機は白河工場ではなく、ベトナム工場での生産となる。この点について渡邉氏は「現地にスタッフを派遣して生産指導を行うなどして、製造品質の管理を徹底している」と紹介していた。

主な仕様

アナログ映像入出力端子はコンポジット入力×3、コンポーネント入力×2、コンポジット出力×2(モニター×1、ゾーン2×1)、コンポーネント出力×1を搭載。音声入出力端子はアナログRCA入力×6(PHONO×1)、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2、11.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドホン出力×1を搭載する。

そのほか、Denon Link HD端子、LAN端子、USB-A端子(フロント)などを備えている。

消費電力は710W(待機時最小0.1W)。外形寸法は434W×167H×389Dmm(アンテナを寝かせた場合)、質量は13.7kg。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック