Netflixでのドルビービジョン/アトモス配信が開始

ドルビービジョン/アトモスは『BLAME!』をどう彩った? 吉平副監督が明かす3DCGアニメのこだわり

編集部:小野佳希

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2017年08月04日
5月に2週間限定で公開された劇場アニメ『BLAME!』。去る7月28日からはNetflixでドルビービジョン/アトモスでの配信も開始されている。同作品はどのように作られたのか? 副監督の吉平“Tady”直弘氏が作品に込めたこだわりを語るとともに、実際の制作現場も公開する説明会が開催された。

吉平“Tady”直弘 副監督

■5月の劇場公開に続きNetflixでの配信がついにスタート

『BLAME!』は弐瓶 勉によるSFマンガを、初出から20年を経て劇場アニメ化した作品。映像制作は世界的なヒット作品を数多く手がけてきたポリゴン・ピクチュアズが担当しており、同スタジオの制作現場が今回披露された(関連記事:日本初のドルビーアトモス採用アニメ『BLAME!』を原作ファン目線でレポート)。

Netflix オリジナル映画『BLAME!』配信中 (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

吉平氏は、HDRでの作品制作について「今まではテレビの狭い色域で考えていたものを拡張して作らないといけない」とし、そのために様々な技術的なアプローチを行ったと説明。

その一方で、日本にはHDR対応の映画館がないのに対してNetflixを通してHDRで視聴するユーザーもいるという状況に言及。「HDRになったときに作品の魅力がさらに付加されるよう、映像制作時点では光と闇の階調をフルレンジで持つということをテーマにした」とコメント。「HDRで表現されることをベースにした演出があった上で、(非HDRの)映画館用のグレーディングと、HDR用にさらに強調したグレーディングとを行った。どちらで見てもひとつの作品として魅力を損なわないものになっている」と言葉を続けた。

なお本作が非4Kである点については「単純に予算の問題もあるが、映画館で見てもらうことを主軸に置いていたこともある」と説明。「初期段階では4Kというプランもあった。実際に提供されるシチュエーションをメインターゲットに考え、HDRや4Kに拡張し得る用にワークフローは構築し、結果としてHDでのHDRにたまたま着地したということだ」とした。

ドルビービジョンの魅力については、ドルビージャパンの社屋で上映デモも実施。『BLAME!』をドルビービジョンのHDRとSDRで比較上映し、その違いを見せるデモが行われ、「全体を通してシャープネスが上がり、何も知らずに見た人からは(同じ2K映像なのに)2Kと4Kの比較なのかと勘違いされることもある」(ドルビージャパン 映像技術ディレクター 真野克己氏)などとアピールした。

ドルビービジョンとSDRとの比較デモを実施

ドルビー 真野氏

また、ドルビービジョンとHDR10との違いについては「ドルビービジョンは12bit、HDR10は10bitと2bitの差があるが、(原理的に絶対にノイズが入る)実写映像では実はそこまで2bitの差は現れない。しかし、CGのように元々のノイズがまったくないコンテンツでこの2bitの差が大きく効いてくる」とコメント。『BLAME!』がドルビービジョンを採用するメリットの大きい作品であることを説明した。

ドルビービジョン(上)とSDR(下)での表現イメージ

なおドルビービジョンのHDRで本作を視聴するには、LG製のドルビービジョン対応テレビが必要。これは現在の日本ではLG製テレビ以外にはドルビービジョン対応機が存在しないため。LG以外のメーカーの場合、HDR対応テレビであればHDR10で本作を視聴できる。また、Netflixはモバイル向けのドルビービジョン配信も開始しているが、現時点で唯一の対応スマートフォンである「LG G6」が日本では展開されていないため国内では利用できない。

ドルビービジョン/アトモス両対応のLG製テレビでは両技術に対応していることがアイコンでも表示される

■手描きセル画アニメとは異なる3DCGならではのこだわり

もちろんHDRの採用以外にも『BLAME!』のこだわりは多数存在する。そのひとつが、手描きのセル画ライクなアニメーションをフル3DCGでつくるセルルックアニメという手法だ。当然ながらそこには手描きとは異なる苦労がある。

カットごとにフレームレートを変えてジャパニメーション特有の表現も実現

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