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「8Kの次は裸眼3D」

<NHK技研公開>裸眼3Dが高画質化/ハイブリッドキャスト高度化で放送と通信がさらにシームレスに

公開日 2016/05/24 22:09 編集部:小野佳希
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NHK放送技術研究所が8Kスーパーハイビジョンやハイブリッドキャストを始めとする各種研究成果を一般に披露する「技研公開2016」が、5月26日(木)から5月29日(日)まで開催される。これに先立ち、プレス向けプレビューが行われた。別項でレポートしている8K以外で注力されているのが、裸眼3D、そしてインターネットを活用した放送の高度化の展示だ。


■「次の映像の進化は裸眼3D」

裸眼3Dでは、NHK技研1階ロビーに8Kディスプレイとインテグラル方式によるものと、ホログラフィーによるもののデモコーナーを展開。「4K、8Kで高画素化した次は、テレビに求められるのは奥行きの表現だろう。映像の次の進化は立体テレビだと思っている」(NHK技研所長 黒田徹氏)との考えの下、裸眼3D展示を例年よりも大きく展開している。2030年ごろの実用化システム構築を目指しているという。

8Kディスプレイでのインテグラル裸眼3Dデモ

ホログラフィーによる静止画の裸眼3Dデモ


NHK技研 黒田氏

様々な3Dの将来的な活用イメージを紹介

インテグラル方式とは、複数のカメラ映像を用いる多視点画像から立体像を生成することで、3Dメガネなしの裸眼3Dを実現させるというもの。NHKでは数年来の研究を続けているが、今回、複数のプロジェクターをレンズアレイ上に重ねて投写する立体表示方式を開発し、立体像の解像度や視域を向上させたほか、2.8型高精細ELディスプレイを用いたデモ展示も行っている。

8Kカメラ1台、4Kカメラ4台の計5台を用いて23.5インチの裸眼3Dを表示

2.8型高精細ELディスプレイを用いたデモ


また、レンズアレイが不要な撮影技術も開発。従来、インテグラル立体の撮影には、多くの微小レンズから構成される大画面のレンズアレイが必要だったが、1台のカメラと移動ステージで構成される撮影装置を用いることで、レンズアレイのサイズに制限されることなく、より広い範囲を撮影できるようになったという。

レンズアレイが不要な撮影技術も開発

ホログラフィー技術では、超微細な磁石(スピン)の向きを電流で制御することで光の空間的な文化を変化させる「スピン空間光変調器」を紹介。2μmという狭画素ピッチを実現したことにより、ホログラフィー立体表示の広視聴域化が期待できるとのことだった。

インテグラル立体テレビに表示されるコンテンツを見てクイズに答える体験コーナーも

狭ピッチによって立体表示の広視聴域化が可能だという

■ハイブリッドキャストの高度化など放送と通信をよりシームレスに

インターネット技術の活用では、例えばスマートフォンで動画を視聴しようとした際に、テレビチューナー内蔵端末なのか否かや、放送波を受信しやすい環境にいるのかなどを判断して、放送を受信するか、サイマル配信で視聴するかを自動選択するなどといった技術の研究を進めていることを紹介。放送とインターネットの連携によって、より手軽に放送コンテンツに触れられるようにしたいのだという。

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