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人工知能研究者3名が創立したコジタイ社と提携

ソニー、次世代AI技術共同開発で米国スタートアップ企業に資本参加

公開日 2016/05/18 19:19 編集部:小野佳希
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ソニー(株)は、米国子会社であるソニー・コーポレーション・オブ・アメリカを通じ、人工知能(AI)に特化したスタートアップである、米国Cogitai(コジタイ)社に資本参加。次世代の人工知能技術の共同開発を行う。

AIBOに搭載した顔認識や音声認識等のAIがその後のデジカメやテレビなどにも応用されてきた。右は小型二足歩行エンターテインメントロボット「SDR-4X II」(写真は昨年にソニービルで開催されたイベント時のもの)

コジタイ社は、マーク・リング氏、ピーター・ストーン氏、サティンダー・シン・バベイジャ氏という、人工知能領域の開発を牽引する3名の研究者により2015年9月に設立された企業。これらの創業者に加え、同社は人工知能で世界トップレベルの研究者で構成されるブレイン・トラストというグループを形成しており、このメンバーもソニーとコジタイ社の共同研究開発に積極的に携わっていくという。

ソニーとコジタイは、ディープ・リインフォースメント・ラーニング(深層強化学習)技術に予測・検知技術を応用して、次世代の人工知能に関するアプリケーションや製品群の基礎となる、新たな人工知能技術を共同で開発すると説明。

この「ディープ・リインフォースメント・ラーニング」とは、2010年頃に現れたディープ・ラーニング(深層学習)と、1980年代に出現したリインフォースメント・ラーニング(強化学習)とを組み合わせたもの。人間がサンプルとなるデータに正解のラベル情報を付ける必要があるディープ・ラーニングの課題と、知識や(機械が活動する)世界を人間が作り出す必要があり、極めて限定した領域への適用に限られていたリインフォースメント・ラーニングとの課題を解決する有望な技術であると期待されているという。

実際に、この方式の有効性が、最近のグーグル・ディープマインド社によるアルファ碁で実証されたとのことで、この方法は、明確に定義されている課題に関して、人間を上回る能力を発揮することが明らかになってきているという。

なお、1999年に完全自律型ロボット「AIBO(アイボ)」の開発など、ソニーも人工知能の研究開発を長く続けてきた。アイボに等されていた顔認識や音声認識などの人工知能技術はデジタルカメラやテレビ番組推薦サービスなどソニーの製品・サービスに展開された。

加えて、2004年には自律型知的システムの開発に向けた研究を行うソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所を設立。その活動は2006年にソニー本社R&Dグループに移管され、Xperiaシリーズのカメラアプリ「ARエフェクト」や、PS4の顔認識ログインなどで実用化されてきた。

また、今年2月にはソニーモバイルコミュニケーションズが、ユーザーの声に反応して、個々のユーザーにあった情報の提供やコミュニケーションを、声としぐさでアシストしたり、家電をコントロールすることができる「Xperia Agent」の試作品を公開。さらに、3月にはフューチャー・ラボ・プログラムにおいて、耳を塞ぐことなくハンズフリーで音楽や音声による情報をインタラクティブに楽しめるネックバンド型ウェアラブルデバイス、「コンセプトプロトタイプN」を初公開した。「N」はオーディオ信号処理技術と音声認識技術を利用している。

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