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USB Type-Cからの4K伝送も

<CES>98インチ8Kテレビに使われたsuperMHL/60GHz帯で4Kワイヤレス伝送が可能に

2016/01/09 編集部:風間雄介
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2016 International CES会場の、MHLブースとLatticeのプライベートブースの出展内容を紹介する。

8K映像を1本のsuperMHLケーブルで伝送

MHL,LLCのブースでは、今回のCESで話題をさらった、LG電子の98インチ8K液晶テレビが置かれている。この8K映像の伝送にはsuperMHL技術が使われており、32ピンのsuperMHLコネクター(M1コネクター)を使った1本のケーブルで8K映像が送られている。HDRやDeep Colorにも対応している。

LG電子の98インチ8K液晶テレビ

M1コネクターで8K映像をsuperMHLで伝送

8K放送が近づいており、かんたんにケーブル1本で映像を伝送するうソリューションが求められているが、superMHLもこの標準技術を狙っている。

今回のデモの伝送速度は18Gbpsで、1レーンあたり6Gbpsの伝送を3レーン使って行っている。18Gbpsでは8K映像を非圧縮で伝送するには帯域が足りないため、VESA標準の映像圧縮技術「DSC」(Display Stream Compression)を使って圧縮し、テレビ側で復元して表示している。

さらに今後は、1レーンあたりの伝送スピードを6Gbpsよりももっと早いスピードをサポートする事も視野に入れている。

LatticeはUSB Type-Cからの4K伝送ソリューションなどをデモ

Lattice Semiconductorのブースでは、様々な映像伝送ソリューションを見ることができた。

まずは、MHLのTypeAケーブルで4K/60p 4:4:4 非圧縮映像を送るデモ。18Gbpsの伝送スピードをフル活用して送信を行っていた。

MHLのTypeAケーブルで4K/60p 4:4:4 非圧縮映像を送るデモ

続いて見ることができたのは、HD Base-Tで映像伝送を行うソリューション。HDMIで長距離伝送を行うと信号が減衰するなどの問題が起きがちだ。それを補うためにHD Base-Tを使ってイーサネット経由で送る技術は他社も発表しているが、スピードが10Gbpsなので、映像は4:2:0になってしまう。

ぐるぐる巻きにされた50mのイーサネットを介して4K/60p映像を伝送

今回Laticeがデモしたのは、4K/60pの18Gbpsの映像を、前述のVESA標準技術「DSC」で9Gbpsに圧縮。それをHD Base-T/イーサネット経由で伝送するというものだ。CAT6ケーブルを使い、50mの伝送が行える。

「このDSCという圧縮技術は、ビジュアルロスレスと呼ばれており、フレーム単位での圧縮ではありませんので、本来の画質をキープできます」(ラティスセミコンダクタージャパン代表の竹原茂昭氏)

さて、映像を楽しむ上で、最近ではスマホも重要なデバイスとなってきている。ブースではMediaTekが開発した、USB Type-Cを搭載したスマホのリファレンスシステムを展示。USB-Type-Cの4つのレーンのうち1つを使って、superMHLの4K出力を行うというデモを行っていた。

スマホのUSB Type-C端子から4K映像を伝送

これは、USB-Type-Cの拡張仕様「Alternate Mode」(Alt Mode)を活用したもの。DisplayPortやMHLなど、VESAが規定している方式で映像伝送を行うことができる。

奥側のUSB Type-Cコネクタから来た信号をHDMIに変換する

回路基板

さらにLatticeの100%子会社であるSiBEAM社は、60GHz帯を使ったワイヤレス映像伝送を、4K解像度に引き上げた技術デモを実施。これまで60GHz帯の伝送路を2つ使っていたところ、今回は1つにすることに成功した。4K/30p 4:4:4映像を伝送することが可能だ。

SiBEAM社がデモした60GHz帯の4K対応映像伝送装置

ただし伝送路が半分になった分、送り方は工夫している。カラー変換を行い、いったん4:2:0映像にして独自方式で伝送。受け手側で4:4:4映像に戻す仕組みを採用している。

なお、このSiBEAM社のソリューションは、エプソンのワイヤレスプロジェクターに使われているもの。30フレームながら4K映像の伝送が可能になったことで、今後の展開にも期待が集まる。

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