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2015年度中の譲渡完了を目指す

東芝、ソニーに半導体製造設備を譲渡 − ソニーはCMOS生産増強、東芝は事業撤退で収益性改善狙う

2015/10/28 編集部:小野佳希
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ソニーと東芝は、東芝が所有する大分県の半導体製造関連施設、設備及びその他関連資産の一部をソニーに譲渡する旨の意向確認書を締結し、譲渡に関する協議を進めていくことに基本合意した。2015年内に法的拘束力を有する確定契約を締結し、その後、2015年度中の譲渡完了を目指す。


譲渡の対象としているのは、主に東芝 大分工場の300mmウェハー生産ラインの製造関連施設、設備及びその他関連資産。ソニーが譲渡を受ける予定の大分工場の半導体製造関連施設は、譲渡完了後、ソニーの完全子会社であるソニーセミコンダクタ株式会社(SCK)の製造拠点の一つとして、主にCMOSイメージセンサーの製造に使用する予定。

また、ソニーへの譲渡完了前に東芝が大分工場の300mmウェハー生産ラインで生産していた半導体製品については、譲渡完了後、東芝からの委託を受けてSCKが受託生産することで協議している。

なお、譲渡対象となっている施設及び設備での製造、並びにCMOSイメージセンサーの設計などに関わっている東芝及びその関係会社の社員(約1,100名)については、ソニーへの譲渡完了に伴い、ソニーグループにて雇用を受け入れることで調整を行っていく。

ソニーとしては、今回の生産ライン取得により、今後も一層の市場拡大が期待できるCMOSイメージセンサーの生産能力を増強することが可能となる。

一方、東芝は、システムLSI事業において、CMOSイメージセンサー事業から撤退し、技術優位性の高い製品にリソースを投入することにより、同事業の収益力改善を図る。

なお、東芝では本件に加えて、「システムLSI事業における新会社の発足」および「ディスクリート半導体事業における白色LED事業の終息」も発表。

システムLSI事業においては、車載用を含むアナログIC、モータ制御ドライバなど市場の成長が見込まれ、技術的優位性が高い注力分野へ経営資源を集中するほか、200mm及び150mmウェハー製造ラインの効率的な一体運営を目的に、大分工場を岩手東芝エレクトロニクス(株)に統合する新会社発足の準備を進める。

また、新会社では、アナログ製品を中心としたファウンダリ需要を取り込むことにより、製造ラインの稼働率を改善し、コスト競争力の強化を図る。今後、適切な統合スキームの検討を行い、登記等必要な手続きを経て2016年4月1日を目途に新会社を発足させる計画。

ディスクリート半導体事業においては、抜本的に事業体制を見直し。収益力改善および市場競争力強化を目的に、2015年度末までに白色LED事業を終息。これにより、市場拡大が見込まれるパワー半導体事業、光デバイス事業、小信号デバイス事業を注力領域と位置付け、ディスクリート半導体事業全体の早期黒字化を目指す。

これら構造改革に伴い、システムLSI事業、ディスクリート半導体事業及びセミコンダクター&ストレージ社の営業・スタッフ部門を対象に、セミコンダクター&ストレージ社内での再配置及び再就職支援を含む早期退職優遇制度を実施。

そして、上記施策展開により、固定費について2014年度と比較して、2016年度にシステムLSI事業で約160億円、ディスクリート半導体事業で約100億円の削減を図り、2016年度中に両事業の黒字化を目指す。

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