NEC製PCの「音へのこだわり」とは − ヤマハ製スピーカー搭載“VALUESTAR” “Lavie”の技術説明会

ファイル・ウェブ編集部
2013年03月06日
NECパーソナルコンピュータ(株)は、「Tech Day」と題した技術説明会を開催。同社製PC “VALUESTAR” “Lavie”シリーズに搭載されたヤマハのサウンドシステムについての技術解説と、NEC製パソコンの音へのこだわりが披露された。

■ヤマハとコラボした「音にこだわったPC」

NECとヤマハの縁は深いそう。1984年にはヤマハ製FM音源チップ「YM2203」を搭載したPC「PC-8000 mkIISR」を発売。ゲームやDTMユーザーも取り込むきっかけを作った製品になったという。NECパーソナルコンピュータ(株)商品企画本部の栗山浩一本部長は「PCの成長のためには、我々が新しい利用シーンを作らなければならない」と語る。

NECパーソナルコンピュータ(株)栗山浩一本部長

NECパーソナルコンピュータ(株)石井宏幸主任

同社コンシューマ商品企画部の石井宏幸主任によると、昨今は音楽を「PCを使って」「無料動画配信サイト(Youtubeなど)」で楽しんでいる方が多いのだという。そんななか、NECは2009年から、ヤマハ製スピーカーを搭載した“VALUESTAR” “Lavie”シリーズを発売。ボディにも「sound by YAMAHA」ロゴを入れ、音へのこだわりをアピールしている。

昨今は音楽を「PCを使って」「無料動画配信サイト(Youtubeなど)」で楽しんでいる方が多いのだという。


“VALUESTAR W”シリーズ(VW970/LS)。55mmSR-BAssウーファーと、40mm密閉型サテライトスピーカーを搭載している。本体には「sound by YAMAHA」のロゴが。


“VALUESTAR N”シリーズ(VN770/LS)。FR-Port採用の30mmチタンドームフルレンジユニットを搭載している


ノートPC“LaVie L”シリーズ(LL750/LS)。FR-Port採用の20mm紙コーンドームフルレンジユニットを搭載している

■ヤマハ独自技術「SR-Bass」「FR-Port」を採用したスピーカー

説明会にはヤマハ(株)エレクトロニクス事業本部 技術開発室 技師補の新井 明氏が登場し、“VALUESTAR” “Lavie”シリーズに搭載されたスピーカーの技術について解説を行った。

ヤマハ(株)新井 明氏

キーとなるのは「SR-Bass」「FR-Port」という2つの技術。まず「SR-Bass(Swing Radiator Bass)」は、デスクトップ一体型PC“VALUESTAR Wシリーズ”などに搭載されているもの。一端が筐体に完全に固定されたパッシブラジエーター(=スウィングラジエーター)を使用したスピーカーだ。ドロンコーンを使用したパッシブラジエーター型スピーカーは、重い振動板を支えるために堅いエッジが必要になるため、効率が悪くなるという。しかし、「SR-Bass」は軽いスウィングラジエーターの振動を利用するため、その必要がないのがメリットのひとつとのこと。

「SR-Bass」の基本構造。一端が筐体に完全に固定されたパッシブラジエーター(=スウィングラジエーター)を使用したスピーカー

ヤマハは「SR-Bass」採用スピーカー「NX-A01」を2006年2月に発売。こちらは「サイズ以上の音が出る」と好評を博し、デスクトップオーディオというジャンルを切り拓いたという。さらに続いて、5.5cmウーファーと4cmサテライトスピーカーで構成される2.1chシステムを開発。こちらをNECのハイエンドPCに載せることになったという。

“VALUESTAR W”シリーズに搭載されている2.1chシステム(写真右側)

しかしバスレフ型スピーカーは、バスレフポートの内外に渦輪の空気流が発生してしまうのが問題。この空気流が障害物にぶつかると、非常に大きなノイズが生まれてしまう。これを解決するべく生まれたのが「FR-Port」という内部構造。一体型PC“VALUESTAR”Nシリーズや、ノートPC“Lavie”Lシリーズのスピーカーに採用されている。

バスレフ型スピーカーは、バスレフポートの内外に渦輪の空気流が発生してしまうのが問題

これを解決するべく生まれたのが「FR-Port」という内部構造だという


「FR-Port」を採用したスピーカーユニット(“Lavie”Lシリーズに搭載されているもの)

写真奥は“VALUESTAR”Nシリーズ、手前は“Lavie”Lシリーズに搭載されているスピーカーユニット
「FR-Port(Flat Radial Port)」は、スピーカーの内部にバスレフポートを配置。その形状も、側面から見るとまっすぐだが、上から見ると両端が末広がりになっている。「(図の)黄色い部分の空気のバネと青い部分の空気の質量でヘルムホルツ共鳴を起こす。このバスレフポート形状は、気流が自然に横方向に向かうので、ポートのなかで気流を広げて押しつぶす感じになる。そのため、空気はポート内部で振動し、ポート開口部には空気流が出てこなくなる」と説明する新井氏。ポート開口部をパンチングメタルで塞いだ場合、パワーを増やすほど抵抗が増え効率が下がってしまうが、FR-Portは効率が100%のままで変化しないというメリットがあるという。

さらに新井氏は「FR-Portは音源を点音源化することができるのもポイント」と語る。というのは、直管式バスレフポートだと、音の出口(開口部)がユーザー側に向いておらず、音を筐体内に捨てていることになってしまうが、一方FR-Portはスピーカーユニットの近くに開口部を設けることができるため、ほぼ同じ場所から音が出るよう設計できるからだという。

FR-Portは空気流を消失させられるのがポイント

内部で空気が振動するため、空気流が出口には現れない

「SR-Bass」「FR-Port」はともにヤマハの社内イノベーション発明賞を受賞しており、高く評価されているとのこと。新井氏は「特にノートPCにおいては、スピーカーの設置スペースをいかに取るかが大変。余ったスペースにただ詰め込むだけのメーカーさんもあるが、NECさんはキーボードの上部にスピーカースペースをしっかり取ってくれている。スイッチやコネクタの配置にとっても、この場所は“一等地”。電源スイッチすら押しのけてスピーカーを配置させてくれる点にも、NECさんの“音へのこだわり”が現れていると思う」と締めくくった。

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