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12年度は通期300億円の赤字見込み

シャープ、11年度最終損益は3,760億円の赤字

2012/04/27 ファイル・ウェブ編集部
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シャープ(株)は、2011年度の連結業績を発表した。東京で行われた会見には、常務執行役員 経理本部長 大西徹夫氏らが出席した。

大西徹夫氏

売上高は前年比19%減の2兆4,558億円。営業利益は前年実績との差額がマイナス1,164億円となる375億円の損失、経常利益は同マイナス1,245億円となる654億円の損失とした。営業利益、経常利益ともマイナスを計上したのは2008年以来となる。通期の最終的な損益は、3,760億円の赤字となった。

会見で大西氏はこの理由を、主力の液晶事業の売上が大幅に減少したことや、「在庫評価減」「事業構造改革費用」「繰延税金資産取崩」等の体質改善またはイレギュラーな費用の計上によるものと説明。「先日発表の通期業績予想修正数値(関連ニュース)にほぼ沿った結果となった」とコメントした。

部門別では、AV・通信機器部門が売上高前年比74%の1兆610億円となり、営業利益は61億円の損失となった。主力事業である液晶テレビの国内需要の大幅な減少や、中国市場の低迷が理由としている。また、携帯電話事業でも市場競争の結果、売上高が前年実績を割り込んだ。

健康・環境機器部門や情報機器部門は堅調に推移し、ともに前年比で売上高・営業利益とも微増した。電子部品部門は、大型液晶の世界的な需要悪化等の影響により、売上高は7,209億円にとどまり、営業利益は422億円の損失となった。

また、同社では収益力向上に向け、液晶事業の構造改革を推進。本日、IGZO液晶生産転換のための体制整備に伴い発生した休止固定資産の維持管理、在庫評価減等の経営体質改善、海外子会社における構造改革等に要した費用として、1兆1,711億円の特別損失を計上したことを併せて発表した。

2012年度については、引き続き厳しい事業環境を予想し、上期全体で700億円の赤字を見込む。下期はモバイル液晶を中心とした業績改善により、営業、経常、当期の各利益で400億円の黒字を目指すとしている。2012年通期では、300億円の赤字を見込んでいる。

大西氏は今後について「引き続き厳しい状況が続くであろう」としながら、液晶テレビの展開について「2012年も60V型以上の大型モデルの拡充を国内外で積極的に図っていく」と説明。液晶部門についても、「IGZO液晶の本格量産を開始し、スマートフォンやタブレット向けの高精細パネルを中心に事業拡大を図る。2012年度は液晶部門において、前年比129%となる9,300億円の売上高を目指す」とした。携帯電話事業も「最新OSやLTEへの対応、基本機能や使いやすさの向上等で競合他社をリードしていく」とコメント。

また、シャープは同日開催の取締役会において、同社100%連結子会社である欧州統括会社「Sharp Electronics(Europe)Limited」の設立を決議したと発表。同社では設立目的を、異なる文化・言語を抱える欧州において、目標の共有化と市場に根ざした事業運営を目指しながら、権限委譲と意志決定の迅速化および経営管理体制の強化を図るためと説明している。

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