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低消費電力化を図った製品も

アナログ・デバイセズ、最高400MHzの新「SHARC」プロセッサーを発表

2010/04/08 ファイル・ウェブ編集部
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アナログ・デバイセズは、同社の「SHARC」プロセッサーの新製品群を発表した。2010年11月から順次量産を開始する。AVレシーバーやDVD/BDプレーヤー、IPTVなど家庭用機器のほか、医療/産業用途などすでに実績のある分野への採用も積極的に働きかける。

ADSP-21489

SHARCプロセッサー群

本日、日本法人のアナログ・デバイセズ(株)が新製品の発表会を開催。同社DSPテクノロジー・グループ シニアマネージャーの藤川博之氏が製品の特徴について説明した。

DSPテクノロジー・グループ シニアマネージャーの藤川博之氏

今回発表したのは、最大400MHzのコアを搭載した「ADSP-2148x」ファミリーと、低消費電力化を実現した「ADSP-2147x」ファミリー。いずれも第4世代SHARCの派生製品という位置づけで、SHARCのフラグシップモデルである「ADSP-21467/21469」の下位モデルにあたる。

SHARCのラインナップ

両ファミリーは従来のSHARCプロセッサーとのコード互換性も維持。また、性能を上げながら低コストの基板実装が可能なQFPパッケージに対応している点も特徴となる。

下位モデルとは言え、フラグシップモデルとの実質的な性能差はない。フラグシップ機にのみ用意されている機能は、複数のSHARCを並列処理する際に利用する高速プロセッサー間通信「リンク・ポート」にとどまる。つまり今回の新製品は、性能を維持しながら消費電力やコストを下げたことになる。

ADSP-2148xファミリーは主にAVレシーバーやホームシアターシステムなどへの採用を見込んでおり、最大400MHzの処理性能をQFPパッケージで実現。藤川氏は「競合他社の32ビット浮動小数点DSP製品と比較して33%以上の処理性能を実現した」と説明する。なお2148xファミリーは、2つのコアを1つの命令で動作させる「SIMDコア」を採用している。

ADSP-2148xの特徴と回路ブロック図

また藤川氏は「メモリーとのあいだのデータバスが足りないとプロセッサーの能力が活かせない」とし、これを解消するために最大5MビットオンチップRAMも選択できるようにした。これは競合他社比で2.5倍の容量にあたるとのことで、「外部メモリーが不要になるケースが非常に多くなる」(藤川氏)という。

さらにFIR、IIR、FFTハードウェア・アクセラレータにも対応。これらを活用することで、コアを介在せずにバックグラウンドでタスク実行を行うことができ、さらに処理性能を向上させることが可能になる。

HDオーディオのデコードについて藤川氏は「DTS-HD MAなどのロスレス音声はデコード処理が重く、シングルチップで対応できるDSPはあまりないが、今回の2148xファミリーはシングルチップデコードを実現している」と胸を張る。

ADSP-2148xファミリーは300/350/400MHzの3タイプを用意。オンチップRAMも3Mビットと5Mビットを選択できるほか、オーディオデコーダー内蔵ROMもあり/なしを選択可能。S/PDIFインターフェースも用意している。また車載機器への採用なども意識し、周囲温度をモニタリングしながらコントロールすることも可能となっている。

ADSP-2147xファミリーは「とにかく低消費電力化を図った製品」(藤川氏)で、消費電力は典型的な使用環境で363mWと、最高20%削減することに成功した。コアの処理速度は最高266MHzで、オプションで200MHzも用意される。またオンチップRAMについては5Mビット/3Mビットから選択することが可能となっている。

低消費電力化を図ったADSP-2147xのブロック図と製品特徴

同社では本日から、新製品の評価キット/ボード供給を開始した。「EZ-KIT Lite」評価キットは、キットを購入するだけですぐにテストが開始できるもの。また「EZ-Board」はボード単体での提供となる。

藤川氏は「SHARCファミリーの日本での販売構成比は高い。今回紹介した新製品を搭載したエンドプロダクトも、まもなく国内で出てくるだろう」と述べた。

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