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売上高958億円、純損益41億円。PDP特許売却などが改善のキーに

パイオニア、1Q連結業績説明会を開催 − 当初計画より改善するも慎重な姿勢は崩さず

2009/08/06 Phile-web編集部
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パイオニア(株)は、2009年第1四半期の連結業績発表を行った。売上高は958億円(前年同期比40.5%減収)、営業損失は88億円、経常損失は89億円。純損益は41億円。

2009年度1Q連結業績概要

セグメント別の売上高・営業損益の四半期推移

世界的な消費の冷え込みや円高の影響、また主にカーオーディオやDVDドライブ、プラズマディスプレイ、カーナビの売り上げが減少したことから売上高が減少。構造改革の効果や、プラズマディスプレイに関する特許料収入の一括計上などにより販売費や一般管理費が減少したが、売上高が減少したことなどにより、営業損失は88億円となった。

純損益は、プラズマディスプレイに関する特許といった固定資産を売却したことなどにより、前年同期の95億円から改善した。

■ホームエレクトロニクス部門 − PDP特許売却などで黒字に

ホームエレクロトニクス部門はPDP特許売却などで黒字に転じた

売上高は前年同期比51.8%となる297億円。内訳は国内117.1%、海外43.3%と、国内売り上げは増加したが、海外、特に北米と欧州で減少した。

プラズマディスプレイの特許など固定費を削減したため、営業利益は前年同期と比較し84億円改善し10億円の黒字となった。製品ではBDプレーヤーが好調な売り上げを見せたが、PC向けDVDドライブなどが減収となった。

特許収入が黒字化の大きな要因になったほか、プラズマテレビの価格を維持できたこと、AVアンプ春モデルが北米で好調だったことも、プラス転換に貢献したという。

■カーエレクトロニクス部門 − カーオーディオ販売不振で赤字に転ず

カーエレクトロニクス部門はカーオーディオ販売不振などから赤字へ

世界的な自動車の販売不振などの影響により、売り上げは減少。前年同期に比べ38.4%減収の542億円となった。またカーオーディオの売上高や生産量の減少、円高の影響によって原価率も悪化。昨年同期は17億円の黒字であったが、今期は87億円の損失となった。

■当初計画より改善するも、慎重な姿勢は崩さず

パイオニア(株)小谷 進氏

本日都内で行われた説明会には同社代表取締役社長の小谷 進氏が登壇。「1Qは当初計画より改善が見られた。7月の売上も現在計画通り推移しており、このまま行けば2Qも良化する見込みだ」と語る小谷氏。しかし「今後の市況の推移や為替の変動などは不透明な部分があり、予断を許さない状況だ」と慎重な姿勢を見せ、2009年度連結業績予想の修正はしなかった。「改革後の再成長に向け、全社一丸となって進んでいきたい」(小谷氏)

2009年度連結業績予想は据え置きとした

1Qの連結キャッシュフロー計算書

また、今年4月の中期経営計画説明会で検討中とされていた公的資金の注入について再度記者から質問された小谷社長は、「『公的資金はひとつの大きな選択肢である』という考え方は変わっていない。現在民間のファンドとも資金調達について話し合いを行っており、こちらはかなり話を詰めている段階だ。しかし1Qの業績が当初計画よりも良かったため、当面資金調達の必要性はないと考えている。この点に関しては時間をかけて検討し、パイオニアにとって最良の資金調達方法を考えていきたい」と話した。協議中の民間ファンドについて詳細は語られなかったが「かなり絞られてきている」(小谷氏)とのことだ。

■構造改革の進捗 − グループ組織再編を10月1日付で実施

先日契約を締結したシャープとの光ディスク事業合弁会社「パイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリング(株)」に、10月1日付でパイオニア光ディスク事業の一部譲渡することも決定した。譲渡されるのは光ディスク事業のうち、光ディスク部品に関する事業であって、戦略立案・事業企画・技術開発・製品設計・生産に関わる部分とのこと。

また、こちらも10月1日付でグループ組織の再編も実施。事業体制のスリム化を図るとともに、営業や販売の機能を再編することで、戦略決定の迅速化による販売効率改善・コスト削減などを目指す。

まずカーエレクトロニクス製品の販売子会社・パイオニアモーバイル北日本(株)など4社と、パイオニア本社内のカーエレ営業部門を「パイオニアナビコム(株)」に統合。本社ホームエレ/AVアクセサリー営業部門、電話関連製品子会社営業部門などを「パイオニアマーケティング(株)」に統合する。さらに、「パイオニアシェアードサービス(株)」など子会社2社を本社に統合する。

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