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【一条真人の体当たり実験室】原油高騰に“エコAV”で対抗! 手回し/太陽光プレーヤーを実証比較

公開日 2008/06/16 19:13
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●世界的に原油価格高騰の影響が広がる

最近では原油高騰の影響が世界的に広がっている。ヨーロッパでは原油、燃料の値上げと関連の深い業種であるトラック運転手、漁民、農民などによるストなどの抗議行動が行われている。また、ジェット燃料の高騰により、多くの航空会社が経営を圧迫されており、リストラや便数の減少などの対策を行っているが、それでも追いつかずに、この半年でいくつもの航空会社が倒産している。

自動車メーカーでも大量のガソリンを消費する米国の大型自動車の売れ行きはグッと低下しており、GMがトラックやSUVなど大型車両の工場をいくつか閉鎖し、小型車の生産に重点を移行させる計画を明らかにした。そして、同じく米国ではバスなどの移動による燃料消費を抑えるため、週4日制(ただし、1日の労働時間は延長)を導入する会社や学校も出てきている。

こんな世界的な緊急事態をただ傍観しているわけにはいかない。というわけで、今回は発電機能を搭載し、高いエコ度を持つポータブルプレイヤー2モデルを、音楽再生機能を中心に試してみた。どちらも発売元はサンコー(株)だ。

「ソーラーMP4プレイヤー」(左)と「CRANKING MP3 PLAYER」(右)

●ソーラーパネルを搭載した「ソーラーMP4プレイヤー」

ソーラーMP4プレイヤー」(定価:9,980円)はソーラーパネルを搭載し、太陽光発電機能を搭載したメディアプレイヤーだ。音楽だけでなく、ビデオ、写真の再生にも対応し、FMラジオ機能も搭載している。4GBのメモリを内蔵しているほか、側面にminiSDスロットを搭載しているため、容量が付属した場合はminiSDを使うこともできる。また、マイクも搭載していて、ボイスレコーダーにもなるし、小型スピーカーによりヘッドホンなしでも音楽を再生できる。

「ソーラーMP4プレイヤー」の本体

背面にはソーラーパネルを装備

背面にソーラーパネルがあるため、前後方向に強く握るのはちょっと恐い感じだ。とはいえ、前面にディスプレイがあるため、通常は左右をホールドすることになるため、あまり問題ではないだろう。

背面にあるパネルを開くと、横向きに立てるスタンドにもなる。屋外であれば、パネルを太陽光に向ければ、充電することができる。充電しながら曲の再生も可能だ。操作メニューも横向きに表示されるのがちょっと普通のポータブルプレイヤーとは違うところで、音楽再生はメニューの「音楽再生」、あるいはエクスプローラで行う。

ソーラーパネルはスタンド代わりにもなる

ソーラーMP4プレーヤーのメニュー画面

●「CRANKING MP3 PLAYER」

CRANKING MP3 PLAYER」(定価:6,980円)はクランクハンドルによって人力発電を可能にするオーディオプレイヤー。1GBメモリを内蔵し、外部メモリは使えない。再生コントロールは前面の4つのボタンのうち3つで操作するのだが、MP4と異なり、液晶ディスプレイを持たないため、アルバムごとの再生などはできない。楽曲は1曲先送り、戻りだけで選択することになる。

また、前面の3つのランプで動作状態を知ることができる。なお、前面の4つのボタンのうち音楽再生に使うボタンは3つで、一番上のボタンはライトが点灯するようになっており、小型懐中電灯代わりにも使える。

軽量だが、ボディはしっかりしており、4隅にはゴムのような緩衝材が使われているため、落下させた場合などにも安心感がある。クランクも厚くはないが、普通に使う限り強度は十分そうだ。強化プラスティックなのかも知れない。

「CRANKING MP3 PLAYER」

背面にクランクを備える

●オーディオファイルの転送環境

両者とも、PCとの接続は当然USBとなる。そして、Windows Media Playerでデバイスとして認識されるため、機器登録してメディアファイルを同期転送することが可能だ。WMPで音楽CDをMP3やWMAにエンコードし、そのまま転送できるわけだ。また、普通にリムーバブルメディアとして認識されるため、対象フォルダに直接、データをドラッグ&ドロップでコピーすることもできる。

WMPで同期を完了したところ

●CRANKING MP3 PLAYERの発電能力と音楽の再生

「CRANKING MP3 PLAYER」はフル充電で約3.2時間の音楽の再生が可能。2.5回転/秒の速度で1分間ハンドルを回転させることで、約10分間音楽を再生できると公称している。160MbpsでエンコードしたMP3ファイルを再生して試してみたが、数回トライしたものを実測して平均すると、13分程度再生できた。これは公称以上の時間なわけだが、少々、気合いを入れて回しすぎてしまったかもしれない。回しているところはこの動画をご覧いただきたい。



さて、フル充電は2.5回転/秒で約30分を要するそうだが、クランクは意外に重いため、かなり本気で回さないと2.5回転/秒では回せない。個人的にはこの速度を保つと、2〜3分でもかなり疲れる。フル充電したいときは、よりゆったりした速度でより長時間回したほうが疲労が少ないだろう。

ちなみにUSBケーブルからも給電できるため、楽曲転送のためにPCと接続している状態でも充電される。ACアダプタはUSBケーブルに接続できるコンパクトなものなので、ACアダプタを携行してもあまりかさばらない。

音楽再生について触れると、このプレイヤーでは電源スイッチを切った際に再生位置を記憶しないため、次に聴くときは必ず先頭から再生されてしまう。そのため、多くの曲を保存している場合、目的の曲の再生までに手間がかかる場合がある。曲の選択に関しては1曲先送りと戻りだけが前面のボタンでコントロール可能であり、リピートやランダム再生などの機能はないのがやや不便だ。音質に関しては、普通に聞ける程度の水準はクリアしている。

●ソーラーMP4プレイヤーの発電能力と音楽の再生

ソーラーMP4プレイヤーは、フル充電で4時間の音楽の再生が可能。120,000Lux(晴天時の明るさ)で1時間充電した場合、約35分の音楽の再生が可能と公称している。つまり、太陽光線でフル充電するには約7時間程度必要ということだろう。

照度計を所有していないので明確な計測ができたわけではないのだが、2時間程度強い日光に当てておいたところ、充電表示で半分以上充電できたので、公称程度の発電能力は持っていることと思われる。しかし、都会で太陽光線が長時間直射する場所を確保するというのは、なかなか面倒だと感じたことも確かだ。

PCとの接続時にはCRANKING MP3 PLAYERと同様、USBケーブルから給電でき、USBケーブルに接続できるACアダプタも付属する。

楽曲の再生は、エクスプローラ機能で目的のフォルダ(アルバム)を選択することで目的のアルバムを再生できる。また、リピートやランダム再生も可能になっているため、音楽プレイヤーとして普通に使える。写真やビデオの再生でもエクスプローラでファイルを選択して再生することができる。

表記はなぜか「エクスポローラー」になっている

音楽再生時の画面表示

●唯一無二のアドバンテージ

CRANKING MP3 PLAYERとソーラーMP4プレイヤーは、本格的に音楽を楽しみたい人には音質的にやや力不足だと思えるし、国産品のようなクオリティもない。しかし、この2機種のアイデンティティはその発電機能にあり、これは他のプレイヤーにないアドバンテージだ。

太陽光線を継続的に浴びる場所を確保するのが難しいため、普通に働いている人が日常的に使うには、CRANKING MP3 PLAYERのほうが発電機能は使いやすいだろう。ハンドルを1分回すだけで10分程度、音楽が聴けるのだ。

しかし、日当たりのいい場所を確保できるなら、労力なしに充電できるソーラーMP4が有利だ。夏のバカンスなどで、常時、陽当たりの良い場所で使えるなら、電池に気を遣わなくていいソーラーMP4は便利なアイテムとなるだろう。

これら2モデルは、日常ではエコ的な使い方ができるし、災害時や旅行などでも活躍するだろう。特にCRANKING MP3 PLAYERは懐中電灯にもなるので、緊急時に備えて1台持っていても良いのではないだろうか。

(一条真人)

執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。

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