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ドルビーが明かす次世代光ディスク採用「Dolby Digital Plus」のいま

2005/08/02
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ドルビーラボラトリーズインターナショナルサービスインク日本支社は本日1日、プレスを対象に同社の現状と今後を報告するプレスセッションを同オフィスにて開催した。


伏木 日本担当副社長

ドルビーの歴史
まず初めに登壇した日本担当副社長の伏木雅昭氏は、同社の40年の歴史を振り返るとともに、今後の同社の展望について語った。63年に開発したノイズリダクション技術「Dolby NR」に始まり、それを応用して72年には「Dolby Stereo」が生まれ、そして様々なサラウンド技術を展開してきた同社は、同時にそのコーデック技術も手掛けてきた。これまでの業績によりドルビー・ブランドは高い認知度を獲得し、現在もその業績を年々伸ばしている。現在、映画・音楽の製作、配給、上映、そのコンテンツのメディア化、販売、家庭での再生といった一連のビジネスすべてに携わる同社は、各種技術を専門に扱うグループ会社の拡大も進めている。伏木氏は、ドルビーが「最高のエンタテインメントに欠かせない要素となる」ことを目指し、「顧客に長期にわたる優れた価値を提供していきたい」と語った。



スパス 国際マーケティング担当副社長
次にマイクを握ったのは国際マーケティング担当副社長のトニー・スパス氏。主に業務用途での展開について説明を行った。同氏が強調するのが「コンテンツ・チェイン」という考えで、高品質なコンテンツがエンドユーザーに届くまでDolbyブランドを持たせていくことが重要であるという。ヨーロッパやオーストラリアを例にテレビ放送のサラウンド再生を説明した同氏は、「サラウンド再生は映画に限定するものではなく、スポーツの臨場感を伝えることのできる再生技術」であるとし、ヨーロッパではマルチチャンネル放送が徐々に増えてきていると説明した。また映画に関しては、「これまで音響を柱として事業を展開してきたが、これからは映像とそのセキュリティまでも網羅したトータルなシステムを手掛け、ユーザーにベストなものを届けていきたい」と語った。



松浦氏

ドルビーが展開する3つのコーデック技術がカバーするビットレート
注目の集まる「Dolby Digital Plus(DD+)」に関わるプレゼンを行ったのは日本支社 統括ディレクター サービス・マーケティング担当の松浦亮氏。今後、同社サラウンド技術の核となるDD+、MLP Losslessの特長を説明するとともに、多チャンネル化にともなう課題などを説明した。


各コーデックの光ディスクでの採用状況

次世代光ディスクのデジタル伝送
DD+は次世代光ディスクに採用予定のサラウンド技術で、32kbps〜6Mbpsという広範囲のビットレートに対応するほか、最大で13.1chのマルチチャンネルを収録できる。松浦氏は、DD+対応の次世代光ディスク再生機では、音声をDD+→DDに変換してビットレート出力することができ、従来のAVアンプでも再生が可能であると説明。06年末〜07年初めに登場が期待されるDD+対応AVアンプに対しては、HDMIもしくはIEEE1394で出力し、マルチチャンネル再生を実現できるとした。

一方MLP Losslessは英国メリディアン社が開発した圧縮方式で、原音への完全復元が可能。こちらもDolbyがライセンス・技術サポートを行っており、既にDVD-Audioで採用されている。次世代光ディスクでの採用も決定しており、DVD-Audioが最大6chであるのに対して、最大8chの収録が可能。将来、映画で使用される可能性や、プレーヤーからHDMI出力される可能性があるという。


RP-226文書が定義した20ch(18.2ch)

7.1chで再現すると様々なパターンが考えられる
またここで同氏は映画音響の進化にも触れた。米国映画テレビ技術者協会“SMPTE”は、デジタルシネマ用の音響として20chの表現チャンネルを定義した「RP-226文書」を制定しており、この文書をチャンネル拡張のリファレンスとし次世代光ディスクで7.1chを実現した場合、7種類の7.1chの配置方法が存在してしまうことになる。同社では、このような様々な再生環境に自在に対応する技術の開発を進めており、「ダウンミックス、アップミックスが可能な縦横無尽な順応性、スケーラビリティによって、制作意図をいかなる再生環境下でも完璧に再現できる」システムを目標に、次なる展開を図っているという。

本プレスセッションでは他にも、PC、ゲーム、カーオーディオ/シアター分野でのドルビーの取り組みが紹介され、多岐にわたる同社の事業展開を印象づけた。

ドルビーはPC関連製品用にもロゴマークを用意している

(Phile-web編集部)

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