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総務省、地上デジタルテレビのIP伝送や衛星再送信を推進

2005/07/29
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総務省の諮問機関である情報通信審議会は本日、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」と題した第2次中間答申をまとめ、2011年の全面移行に向け、2008年よりIP伝送を開始することを提言した。

2011年には地上アナログ放送が停波し、全面的に地上デジタル放送へ移行することが決まっている。審議会が調査した結果では、70%以上のユーザーが「アナログ停波の時期を知らない」と回答しており、さらなる周知の徹底が必要と判断。

また、全面移行の前に「すべての視聴者に放送を届けるためのインフラ整備」が必須とし、そのために「デジタル技術の成果を取り入れた投資の効率化などあらゆる手段を検討し、可能なものから実施することが必要」であり、そのための一つの施策として、IP伝送による地上デジタルの配信を活用する考えが示された。

IP伝送は、山間部や都市部など、電波の条件が悪い難視聴地域で有効だが、審議会では、「IPインフラの活用で新たな市場やビジネスチャンスが広がることが期待される。IP伝送を難視聴地域に限らず、全国に開いてこそ投資効果が高まる」とし、IP伝送を全国で積極的に展開する考えだ。

伝送には光ファイバーを使用する。2006年に効果検証などのため、SD品質でスタートしたあと、2008年にはHD品質の映像を配信する。

配信を開始するのための技術的な条件の一つに、「配信の対象地域のみに配信を制限すること」が挙げられている。IP網を使えば、技術的には全国で同一の放送を視聴することができるようになり、これまでのキー局と地方局の関係が変わる。視聴を制限しなければ、地方局の存在意義が問われる事態となるからだ。

さらに、同じくエンドユーザーへの伝送経路の確保に、衛星を活用する考えも示された。今年8月には実証実験に着手し、2007年にはH.264方式で衛星による地上波再送信を開始する。この発表を受け、(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズは、「地上デジタル放送の難視聴対応について、弊社のCS放送サービスの仕組みを援用する方式を提案してきた。この答申はこうした考え方が理解されたものと重く受け止めている」とし、「実証実験をできるだけ早期に実現するよう準備し、内容の詳細は決定次第発表する」とコメントしている。

(Phile-web編集部)

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