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日立が世界一高精細な有機TFT駆動カラー液晶ディスプレイを開発

公開日 2004/08/03 10:45
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左は試作された有機TFT駆動カラー液晶表示パネルのイメージ 右は試作パネルの画素イメージ
●(株)日立製作所は独立行政法人 産業技術総合研究所(以下:産総研)の光技術研究部門、財団法人 光産業技術振興協会(以下:光協会)との共同開発により、有機TFTを駆動スイッチに用いた高精細カラー液晶ディスプレイの試作にこのほど成功したことを伝えた。

有機TFTは、溶液材料を用いた印刷法により、低コストによる大量生産ができ、かつ常温プロセスでフレキシブルなプラスチック基板上に形成できるなどの特長を備える次世代のデバイスとして注目を集めていた。その一方でディスプレイに適用する際の素子作製工程で生じる性能劣化が課題とされ、TFTサイズの小型化、高精細ディスプレイへの応用が難しいとされてきた。

このたび日立、産総研、光協会は、有機TFTの性能劣化を抑える塗布保護膜の開発に成功した。さらに有機半導体と接触する金属電極の形状を最適化し、接触界面に起因する抵抗を低減する技術が開発された。これらの技術により、小さなサイズの有機TFTで高性能を発揮することができるようになった。

同社はまた、今回開発した技術によって有機TFT駆動カラー液晶ディスプレイの試作に成功したことも明らかにした。本試作製品はこれまでの有機TFT駆動液晶ディスプレイとして、世界最高の精細度を有しているという。その仕様詳細は下記の通りだ。

●パネルサイズ:1.4インチ
●精細度:80ppi
●画素数:80×80(RGB)
●画素サイズ:318μm×106μm(RGB)
●TFTサイズ W/L:50μm/5μm
●画素容量:3pF
●信号電圧:10V
●走査電圧:35V
●駆動周波数:60Hz

同社は今回開発した試作製品が「液晶ディスプレイに適用しうる」という見解を示している。また今後「電子ペーパーなどのシートディスプレイを印刷法で作製するのに大きな道を拓くことになる」とコメントしている。

【問い合わせ先】
独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 広報業務室
TEL/029-862-6216

(株)日立製作所 中央研究所 企画室
TEL/042-327-7777

(Phile-web編集部)

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