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NEC、地上波デジタルを受信可能な携帯電話を発表!(2) 質疑応答をすべてご紹介

2003/07/10
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<左>モバイルターミナル事業部長 田村義晴氏 <右>ネットワーク開発研究本部 モバイルサービス開発研究部長 加藤明氏
●別項でお伝えしたように、NEC(日本電気株式会社)は本日、地上波デジタルテレビ放送受信機能を搭載した携帯電話の試作機を開発し、発表会を開催した。その席上で行われた質疑応答の全問全答をご紹介しよう。なお、質問には主に同社モバイルターミナル事業部長 田村義晴氏、ネットワーク開発研究本部 モバイルサービス開発研究部長 加藤明氏が答えた。

Q:数年後は有機ELが性能向上を果たしているものと思うが、製品化の際、有機ELとLCDのどちらを採用する予定か?
A:その時点のクオリティや長時間使用時の信頼性など、総合的な性能を勘案して決定したい。

Q:今回の試作機に搭載されたバッテリーの種類を教えて欲しい。
A:通常の携帯電話に使われているリチウムイオンバッテリーをそのまま採用した。

Q地上波デジタル放送受信時の連続使用時間はどの程度か。
A:1時間強の連続再生を確認しているが、音声のボリュームを上げるとバッテリーをかなり消費するので、もっと短くなる可能性がある。

Q:今後のバッテリー開発方針について教えて欲しい。
A:現状の連続使用時間で十分とは考えていない。とはいえ、燃料電池など全く新しい方式を採用するのでない限り、バッテリー容量の劇的な向上は望めない。むしろ、デバイスやソフトウェアのアルゴリズムを改良し、低消費電力化を進めるのを目標にしている。

Q:製品化の段階で燃料電池が搭載される予定は?
A:燃料電池について高い見識を持っていないので、何とも言えない。わからない。

Q:まだ放送開始までにずいぶん時間があるが、この段階で試作機を公開し、デモしたねらいは?
A:一つ目は先進性をアピールし、ユーザーにブランドイメージを訴求するため。二つ目は、ハードの技術開発はかなり進んでいることをアピールすることで、携帯受信に関する技術を活発化し、少しでも早く製品を発売するためだ。

Q:OFDM復調LSIは昨年暮れに発表されたのと同じものか?
A:そうだ。

Q:放送受信デバイスを携帯電話に組み込む際に難しかったのは?
A:三つある。一つ目はデバイスを小さく、薄くすること。二つ目はチューナー、アンテナなど放送受信に関する部品を実装すること。三つ目は、様々なデジタルノイズの干渉を防ぐことだ。

Q:チューナー、アンテナは新規に開発したものか? 直近の製品に使う予定は?
A:今回使ったのは試作品であり、直近の製品に使う予定はない。

Q:試作機のサイズは通常の携帯電話とほぼ同じようだが、製品化の際、本体のサイズはどうなるのか?
A:これ以上大きくしたくはない。ただし、テレビを視聴する際には、画面も横長の方が自然かな、という思いがあり、スタイリングについては今後詳細を詰めていきたい。

Q:試作機を作る際、外観のスタイルが違うものも検討したか?
A:今回はあくまでハードの検証を行うために試作機を開発した。スタイリングについては深く検討していない。

Q:製品化の際、地上波デジタル放送の連続視聴時間は何時間程度が目標となるか?
A:テレビ視聴1時間+電話の連続通話1時間が最低限の要件であると考えている。もちろんこれで充分だと考えているわけではない。さらに低消費電力化をすすめたい。

Q:地上波デジタル放送の携帯受信について、NECとして「いつ頃スタートさせてほしい」という希望はあるか?
A:今後はソフトウェアの作りこみに時間をかけることになると思うが、2005年頃にはスタートして欲しい、という希望を持っている。

Q:地上波デジタル受信機能を搭載することによるコストアップ額はどの程度か?
A:現在の携帯電話のラインナップに加えても不自然ではない価格を考えている。2倍・3倍になることはあり得ない。6,000円から7,000円が目安になるのではないか。

Q:放送受信関連デバイスの厚さは?
A:2mm程度だ。

Q:受信機能を搭載したことにより、ほかのデバイスの配置を動かしたりしたか?
A:放送受信関連デバイスは液晶パネルの裏に配置した。その他の部品の配置にはほとんど手を加えていない。

Q:海外でこの技術を展開する予定は?
A:米欧は日本と地上波デジタル放送の方式が異なり、この試作機をそのまま持っていっても当然動かない。また、日本の地上波デジタル放送の方が携帯受信に適した仕様と言える。ただし、中国などで地上波デジタル放送が検討されていたり、欧州でも次世代方式が検討されているなど、様々な動きがある。今後積極的に展開の可能性を探りたい。

Q:キャリア側の反応はどうか? 積極的なのか、それともパケット量の増加に直接はつながらないと消極的なのか?
A:各キャリアには技術の紹介をはじめたばかりで、そのような段階にない。

Q:放送事業者と共同で実験を行う予定はあるか?
A:来月、東京と大阪で最大出力の実験が行われる予定だ。フィールドテストを行う数少ないチャンスであり、ぜひ参加して実証試験を行いたいと考えている。

Q:電池寿命のほかに、製品化に向けた課題があれば教えて欲しい。
A:まだフィールドでの受信環境をテストできていない。あまり機会は豊富とは言えないが、ぜひ屋外で試してみたい。室内で擬似的な実験も行えるので、それも活用したい。

Q:試作機のベースとなったW-CDMA機と、サイズ・質量は全く同じか?
A:厚さが2mm以上増えている。質量に関しては測定していないのでわからない。

(Phile-web編集部)

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