HOME > ニュース > NHK放送技術研究所が「2003技研公開」イベントを開催中〜(3)〜

NHK放送技術研究所が「2003技研公開」イベントを開催中〜(3)〜

2003/05/22
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
左)ロボットカメラを使った新世代バーチャルスタジオ 右)三洋電機の地上デジタル放送受信端末試作機 
●NHK放送技術研究所が主催するイベント「2003技研公開」の一般公開が本日よりスタートした。本イベントは、NHKのテレビ放送開始50年という節目において、第57回目の開催を迎えることとなった。同局のこれまでの50年間における、テレビ放送の発展を、受信機、サービス、放送技術の面から多角度的に紹介している。展示会場は、特に重要な「ビジョン展示」、一般の方も楽しめる「一般展示」、専門家向けの「技術展示」の3つに分類され、全部で35項目の展示がおこなわれている。ここでは、今回の公開において見所となる展示内容をご紹介していく。

<一般展示>
こちらでは、業界関係者以外の一般来場者にも、わかりやすく未来の放送技術の魅力を紹介する展示が中心となっている。

【展示内容】
テレビ50年
テレビの仕組み
デジタル放送の魅力と受信方法
人にやさしい放送技術
視聴者を認識する対話型テレビ受信システム
新世代バーチャルスタジオ
ユビキタスホームページナビゲーション
スポーツ版TV4U
国際放送「NHKワールド」と翻訳支援システム
超高速度高感度カラーカメラ
シリコンマイクロホン
60GHz帯の電波を用いた衛星放送の再伝送技術

【展示のみどころ】
1.人にやさしい放送技術
目の不自由な視聴者のための情報端末、耳の不自由な視聴者のために生放送の字幕を生成する音声認識技術や、高齢者が聞きやすい放送音声サービスなどが紹介されている。展示会場には数多くのバリアフリー放送端末が並び、図やメニュー画面に触れ、放送内容の確認、選択が可能な触覚提示装置や、映像信号から映画の字幕やニュース速報の文字を認識し、音声や拡大文字で伝える装置に注目が集まっていた。また、生放送のスポーツ番組や歌謡番組で、字幕キャスターが番組音声を聞きながら、字幕用に言い直した音声をコンピューターで認識させる、リスピーク方式の字幕作成システムの研究発表も行われている。こちらでは実際のデモ展示により、話者の話した内容を、即座に音声認識し、字幕表示する様を目の当たりにできる。こちらのソフトウェアの精度はかなり高く、話者の話した内容は素速く、かつ正確に字幕化され、来場者を驚かせていた。

2.新世代バーチャルスタジオ
ロボットカメラを使って、出演者の追尾撮影や、コンピューターで作成したCGを自動的に挿入し撮影する、次世代の番組撮影技術と、具体的な番組作成への利用法が紹介されている。

3.国際放送「NHKワールド」と翻訳支援システム
NHKの国際放送サービス「NHKワールド」と、そのインターネットサービスの内容を紹介。「NHKワールド・ラジオ日本」で放送されている22言語のニュースや情報番組をはじめとする、国際放送サービスの制作過程や、高度な翻訳支援システムの性能が紹介されている。

4.シリコンマイクロホン
松下電器産業(株)、東北大学との共同研究・開発により、単結晶シリコンを用いて独自の技術で製作したコンデンサー型のシリコンマイクを開発。今年度は、マイクの実用化に重点を置いた研究を進め、シリコンウェハー上に製作した多数のマイクエレメントを1つ1つの微小なチップに歩留まり良く切り出す技術の開発に成功したという。会場には超小型・高性能の放送用シリコンマイクが展示され、その独自の加工技術とともに、マイクの音を試聴することができる。

5.デジタル放送の魅力と受信方法
同局のテレビ放送50年の歩みを紹介しながら、デジタル放送の最新事情を紹介。実際に各家庭で楽しむための受信方法を中心に、受信相談コーナーも設置して来場者の疑問に答える。

<技術展示>
こちらでは、業界関係者を中心とした、専門家向けの高度な技術展示が行われている。

【展示内容】
●地上デジタル放送技術関連
地上デジタル放送のソフトウェア受信装置
ケーブルテレビ用1024QAM伝送装置
ハイビジョン映像の高圧縮符号化技術
携帯受信向け次世代データサービス

●コンテンツ制作技術
コンテンツの権利保護技術
マルチアウトプットハイビジョン符号化装置

●基板技術
極超高感度ハイビジョン用撮像デバイス
冷陰極ディスプレイ要素技術
立体映像システム
将来の衛星放送システム
ミリ波利用に向けた基礎技術
放送用ハイビジョン光ディスク記録実験
高密度磁気記録
NHKの特許と技術ノウハウ

1.携帯受信向け次世代データサービス
地上デジタル放送を携帯端末で楽しむための各サービスや受信機器を紹介。データ放送の読み上げサービスやデータ多重技術も紹介している。会場には先頃KDDI研究所と共同で発表した、地上波デジタル放送を受信できる携帯端末の他にも、三洋電機(株)が開発している受信端末のプロトタイプモデルも披露されている。データ放送の読み上げサービスについては、PDAを使ったサービスのデモンストレーションが行われている。こちらはデジタルラジオと異なり、放送された文字データ放送を蓄積し、必要なときに活用できる魅力が紹介されている。

2.立体映像システム
立体ハイビジョン放送の品質向上に向けた取り組みを紹介。映像の見やすさ、視覚披露の研究結果についての展示のほか、自然な立体映像の再現を目指したインテグラル立体テレビを展示。こちらでは、立体ハイビジョン放送の魅力を実際に体験できるデモンストレーションも楽しめる。

3.冷陰極ディスプレイ要素技術
冷陰極ディスプレイ(FED:Field Emission Display)の研究開発内容を展示。高輝度かつ低消費電力の要求を満たすための要素技術である冷陰極ディスプレイの冷陰極と蛍光体を紹介している。

(Phile-web編集部)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック