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Senka21 1月号<編集長インタビュー> Part.3

2003/01/03
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株式会社デノン 北山 一男氏(左)/Senka21編集長 新保欣二(右)
●「2003年はお客様を育てる年」〜シアターを一過性のブームに終わらせてはならない〜

◆株式会社デノン 理事 国内営業本部本部長 北山 一男氏
◇インタビュー・Senka21編集長 新保欣二

―― 新生デノンのスタートから、1年が経過しましたね。

北山 新しい会社を作って今まで突っ走ってきました。そろそろタガが緩む時期にあたりますから、より一層気を引き締めていきたいですね。

―― 今お話されてきたような、夢のある商品、夢のあるマーケット創りは、社員が非常に元気になると思います。

北山 価格で売った、売らないというのは満足度が乏しいですね。ところが、いい商品をこれだけ売ったということになると、達成感があります。商品企画では、自分が売りたいなあと思う商品を出すことが大事。それに値するものがこの春出てきます。営業も販売店さんもまさに売りたくなるような商品です。これが売れれば、会社にとってハッピーだし、ディーラーさんにとっても単価の上がるものを出してくれてありがとう、ということになると思います。
 特にホームシアターの世界というのは、新しい切り口が提案できる、まだまだ未開のエリアだということが、この1、2年でわかってきました。まず、我々デノンは、ハイエンドのものすごくいい商品を作りました。そして2002年には、もっと枠を広げてお客様を増やすことをやってきました。次は、芽生えてきたお客様のグレードを上げていくことを、3番目の課題として取り組んでいきます。これが実現したら、ホームシアター業界というのは、こんなに大きくなったのか、ということになると思いますね。
また、対コンシューマーに加えて、営業や販売店のバックアップをするという意味でのインストール事業をスタートさせており、2003年はそれを一本立ちさせたいと考えています。

―― 具体的にどのようなことをやられるのですか。

北山 インストールに関しては、まだまだ一般の電気屋さんにはわからない部分も多いですからね。そうした点でのサポートを提供していきたいと考えています。当社でお預かりして、関係会社や業者に依頼するシステムづくりも現在行っているところです。
 また、現在、東京の湯島と大阪に視聴室がありますが、もっとしっかりしたものをつくろうと東京に計画しています。できればデノンの商品をご覧いただけるようなショールームも、併せて作ろうと考えています。

―― インストールや、実際に体験できる場としての視聴室などは、これからのシアタービジネスをさらに盛り上げていく段階においては不可欠の部分になりますね。過去に2度、シアタービジネスに失敗してしまったのは、自分たちが日本人であるにもかかわらず、日本人の特性を見誤ってしまったからだと思います。

北山 その通りですね。ホームシアターは米国からまず火の手が上がりましたが、それを単純に日本に持ち込もうとしたばかりに、色々やってみてもダメだったわけです。それは、ライフスタイルが違うから当たり前なんですよ。それが今は、日本固有の文化や考え方に合わせてやっていこうという、反省が見られます。ただ、それでも安心できないのは、これは日本メーカーの悪いところなんですが、みんなで集中砲火でババーッとやって、終わってしまう。そうならないように、新しいお客様を呼び込むような商品戦略、販促策を各社がやれば、マーケットは大きくなると信じています。お客様の懐に深くに入り込むことですね。

―― それは自社ブランドでビジネスする時の鉄則だと思いますね。他社と差別化を図るために、自分のブランドの名前を出すわけですからね。

北山 私は昔から性格的に物事をはっきり言うタイプの人間ではありませんでした。ところが、新しいデノンという会社になってから、外資の影響からでしょうか、マルバツをはっきり付けるようになりました。日本の会社というのは元来、儲かろうとそうでなかろうと、とにかく量を売って拡大することに主眼を置いていました。しかし、今我々が目指しているのは、ビジネスになるのだったらやる。そうでなければやらないと、白黒をはっきりつける。その結果が、業績となって表われています。
 昔は商品を売っていても儲かるかどうかわかりませんでしたが、今は、この商品を売れば儲かる。儲かるからその商品を売ろうと、営業も大変元気になりました。ですから、さらによい商品、それにマッチしたバックアップ、そして我々の営業の提案力というのが伴ってくれば、それは、今後のマーケティングの大きな柱になりうるだろうと思います。

―― 御社の場合にはピュアオーディオがあります。各社撤退していく中で、今デノンさんが日本の市場を支えているといっても過言ではないでしょう。

北山 ピュアは確かに厳しいですね。しかし、ホームシアターにしてもセットオーディオにしても、最後は音だと思います。この音をきっちり出せない限り、お客様には喜んでいただけないと思うんです。ピュアを一生懸命やるということは、他の商品にも技術として必ず波及していくわけです。ここは頭脳であり、魂である。ですから絶対に力は抜きません。スーパーオーディオCDの動きが非常にいいですね。これだけ売れるのですから、こちらも、確実にファンが存在するということです。
 デノンは海外では、すでにホームシアターのトップブランドとなっています。2003年は、国内でのブランドイメージも、それにリンクするものにしていきたい。21世紀に通用するブランドにしなければというのが、我々営業の持つ使命感ですね。(senka21編集部)

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