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『DVD2.0』創刊に寄せて−ホームシアターファイル編集長からのメッセージ

2002/05/06
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『DVD2.0』
●当ニュースページでも何回かお伝えしてきたとおり、弊社刊行「ホームシアターファイル」「AVレビュー」両誌が、韓国のオーディオビジュアル&ホームシアター誌である「DVD2.0」と提携します。ここでは、ホームシアターファイル&AVレビューの編集人である大橋が「DVD2.0」創刊に寄せたメッセージをご紹介しましょう。


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『DVD2.0』創刊おめでとうございます。サッカー・ワールドカップ韓日大会共同主催の年に、国境を越えて祝辞を申し上げることができ、身に余る光栄であると同時に、編集者生活の忘れがたい喜びとなることでしょう。

音元出版は、オーディオ、ビジュアル、音楽配信をテーマに、数多くの雑誌を刊行する専門出版社で、最近はインターネットによる情報提供もビジネスに加わりました。私が担当する部門が、‘AVC&NETWORK DIVISION’で、オーディオビジュアルの専門誌『AV REVIEW』(隔月刊)とホームシアターの総合専門誌『HOMETHEATERPHILE』(季刊)の両定期刊誌が両輪の役割を担っています。もし、両誌を手にとっていただけるチャンスがあれば、ぜひ、読んでほしいのです。韓国のみなさんもきっと親しみを感じていただけることと思います。

『DVD2.0』との提携の栄により、記事の翻訳・紹介を通じて韓国のオーディオビジュアルファンとふれ合える喜びと期待に、私の十数年前のソウル市訪問の思い出がつと甦ってきました。チョン・ミュンフンがパリのバスティーユオペラ(現在の新オペラ座)の音楽監督に就任し、故ヘルベルト・フォン・カラヤンが最晩年のレコーディング(ヴェルディ『仮面舞踏会』)にソプラノ歌手スミ・ジョーを抜擢、ジョーはウィーン国立歌劇場のソリストとして来日も果たし「クラシック音楽界の韓国イヤー」といっても過言ではない年でした。ソウルに到着した夜、明々と灯のともる国立音楽ホールを音楽ファンの私は、行過ぎるタクシーの窓から『うらやましいなぁ』と眺めた記憶があります。

ソウル市のコンベンションセンターで開催されるエレクトロニクスショーの取材に訪れた私は、ショーの主催者や出展者の流暢な日本語や親切な対応と、市内の高層マンションに見え隠れするパラボラアンテナ(当時は日本の衛星放送を見る目的であったと推察されます。)に強い印象を受けました。しかしそれ以上に感銘を受けたのは、電気センター内に軒を連ねるオーディオ&レコードショップの活況と、鉄道に乗って訪れたソウル市郊外の水源地区をはじめ、マニア向けのオーディオビジュアル専門店が各地で充実ぶりを競っていることでした。

当時、韓国は自国産業の保護のために、自動車、家電製品、電子機器について日本を始めとする諸外国からの輸入に制限を設けていましたが、どの店にも欧米や日本の最新製品がところ狭しとならび、店主の得意げな表情は『どうだい、韓国にもこんなに沢山のオーディオやビジュアルのファンがいるんだよ。』といわんばかりでした。

韓国のみなさんのオーディオや映像、音楽への深い愛情と情熱を教えられた旅から、十数年が過ぎました。いまでは、韓国は光ファイバーの家庭への普及のスピード、インターネットの利用率で日本を後方に置き去り、全世界的にみてIT革命をリードする立場にあります。DVDプレーヤーやプラズマディスプレイなどオーディオビジュアル製品の目を見張る充実は言うに及びません。これからの韓国における産業の充実と環境の着実な進展が、かつての旅で教えられたみなさんの音楽や映像への根源的な愛情とひとつになった時に生まれる大衆文化の壮大な爆発…。私はそれを夢見ずにいられません。その真実味は、韓国映画の近年の躍進が教えているとおりではないでしょうか。

『DVD2.0』の日本におけるパートナーとして、私が期待し信じてやまない唯一のことは、御誌がきっとそのムーブメントの中心にいるにちがいないということです。

『DVD2.0』の創刊をあらためてお祝い申し上げます。

株式会社 音元出版
AVC編集部C.0.0.
大橋伸太郎

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