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□□□□□井上千岳のラスベガス-西海岸・珍道中!(10)□□□□□

2001/01/12
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●DVDのオーサリングだけを専門にする小さなスタジオを経て、最後に立ち寄ったのがアカデミー・オブ・モーションピクチャー・アート&サイエンスというところ。この中にある映画館はアカデミー賞の選考やできあがったフィルムのレファレンスに使われる最もぜいたくなプライベート・シアターなのだ。もちろん一般公開で上映されることはない。グリーンフィールド氏もここのスピーカー設計に携わったそうで、ユニットは全てJBL。もちろんプロ用で、高能率なコンプレッション・ドライバーや15インチ・コーン4本のウーファーが使われている。ウーファーの3ウェイ。これがスクリーン裏に5本と、あとはサラウンドに使用されている。スクリーンの裏の梯子を昇って、全部見せてもらった。たぶん二度とこんな機会はないだろう。

その音まで聴かせてもらえるとは思わなかったが、最上の席での『パトリオット』。これは凄かった。いままでのどんな音とも違う。なにしろ厚い。セリフは見事に脂ぎって、肉質の厚みをたっぷりと利かせた印象だ。それでも決してこもらないのはホールが広いせいか。それに音楽、効果音のどれもが決して混ざらない。全てが独立して、音楽などまるでそこで演奏しているかのようだ。遠近もおそろしく深い。スクリーンの奥の遠くまで音が広がっている。そして重低音の激しさといったらない。大砲の炸裂する音がとにかく大きいのに、スカッと切れがよく大変な圧力を感じる。これがつまり本当の本物なのだ。ハリウッドまで来た甲斐があったと思った。

この音を今後はレファレンスにしていかなければならない。けれど同時に思うのは、この音をホームシアターで出すのは不可能だということでもある。映画はやはり映画だ。にもかかわらず、そこに近づけてゆこうというのがホームシアターの醍醐味でもあろう。目標は遠いほど励みになるというものである。貴重このうえない経験であった。

<写真左>アカデミー・ゴールデンシアターを我々の取材の為に貸し切ってくれ、『パトリオット』をデモしてくれた。金色に光るのはもちろんオスカー像

<写真右>スクリーンの裏側につれていってくれてそのスピーカーシステムについて話す、グリーンフィールド氏。本当にお世話になりました!

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