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業界のキーパーソンによる21世紀特別対談「夢を語る」

公開日 2001/01/01 18:06
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●激変続きの20世紀を終え、21世紀を迎えた。物事が起きる時間軸が短くなる中で、世の中はどう動いていくのか。トランジスタラジオ、テレビ、テープオーディオなど日本のエレクトロニクス業界の発展に大きく貢献してきたソニー相談役の鹿井信雄氏と、産業界からの厚い信頼を獲得し次世代クリエーターの育成にも力を注ぐデジタルハリウッド代表取締役社長の杉山氏が対談。21世紀にオーディオ・ビジュアル、デジタルの世界はどうなるのか。両氏に今世紀の未来像を語ってもらった。

鹿井信雄氏
日本オーディオ協会副会長
(ソニー相談役)

杉山知之氏
デジタルハリウッド学校長

かのい のぶお▼
1931年1月2日宮城県仙台市生まれ。57年、東北大学工学部通信工学科卒業。59年、東京通信工業(株)(現ソニー(株))に入社。70年11月、アイワ(株)に転籍。83年、ソニー株式会社理事に就任。オーディオ事業部長、ビデオ事業本部長、テレビ事業本部長を歴任。90年6月代表取締役副社長に就任。現、相談役。


すぎやま ともゆき▼
1954年1月27日東京生まれ。77年、日本大学理工学部建築学科卒業。79年、日本大学理工学部助手となり、3次元コンピューターシミュレーションによる建築音響設計を多数手掛ける。87年、MITメディア・ラボ客員研究員となり音楽と認識グループに所属。94年、デジタルハリウッドを設立して代表取締役兼学校長に就任。工学博士であり、マルチメディアコンテンツ振興協会委員、画像情報教育振興協会委員を務める。


●日本が21世紀の主役になる上で何が大切なのか

 杉山 20世紀の最後は、アメリカを中心に世の中が回っていました。ここでは、日本が21世紀の主役になる上で、何が大切なのかをお話したいと思っています。
 
鹿井 21世紀の幕開けに相応わしく、昨年12月からBSデジタル放送が始まりました。2010年まで並行運用し現在のアナログTV放送はデジタルに切換えられることになります。

 4年後の2005年を考えてみると、オーディオやTV映像のソフトの世界はほとんどデジタル技術の世界に変わり、アナログは残っていないでしょう。従ってハードメーカーの使命としてはアナログ抜きで満足するAVの世界を是非共つくらなければいけない。加えて信号がデジタル化してインターネットの急展開がビジネス環境を大きく変えつつあり、2005年には情報やソフトの流通が大きく変っているでしょうね。
 
杉山 インターネットの登場は劇的でした。これまでできなかったものができる。それもスピーディーに。なおかつ、世界中の人間とリアルタイムでやりとりができる。夢のようなことを次々と実現してくれる。しかし、もっと人間の生活の中で、生活そのものをサポートするような使い方はできないでしょうか。

例えば、日本は超高齢社会を迎えました。高齢者をケアする人材の少なさが何かと問題にされます。それは、1人で何人もの高齢者を同時にケアすることは不可能だからです。そこで、コンピューターのネットワークが、高齢者の生活をサポートできないでしょうか。そういう観点から考えますと、パソコンはもっと進化していく必要があります。つまり、自分の要求をコンピューターが、ある程度勝手に理解してくれるような感性を持ち合わせるようになれば、もっと有意義な生活がおくれるのではないでしょうか。

鹿井 日本の生産工場ではすでに、ロボットが活躍しています。自動車工場などでは、人間よりも器用に細かい作業をロボットが担当していることもあります。21世紀はこうした産業で培ったロボット技術をもっと家庭に投入していくことになるでしょう。

ソニーではいち早くそうした流れを作るため、AIBOを発売しました。AIBOの役目は家庭にぬくもりを注ぐ、家庭に話題を提供するなど、家族の輪をつくるまたはコミュニティーの輪を復活させるなどの役割を担い、すでに実績をあげています。今後、ロボットはエンターテインメントだけでなく、家事など、もっと生活に入り込んだ役割を担ってもらいたい。

産業分野やエンターテインメント分野から見ても、日本の技術は素晴らしい。日本は有数のロボット王国になれる可能性をもっています。ネットに関しても光ファイバー利用で少し出遅れましたが、光ファイバー技術は非常に高いレベルに達しています。つまり、インフラ技術も世界トップレベルにいるわけです。日本はテクノロジー分野でまた必ず世界ナンバーワンをとる時代がきます。高齢社会やロボット先進国としての経験やノウハウは今後、世界に輸出できるほどになるでしょう。
(以下続きは1月2日へ)(SENKA21編集部)

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