フロア型2モデル、ブックシェルフ1モデル

ソナス・ファベール、新スピーカーシリーズ「Olympica NOVA」。基本コンセプトを継承しながらリデザイン

公開日 2020/06/02 19:41 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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(株)ノアは、ソナス・ファベールの新スピーカーシステム、Olympica NOVAシリーズを6月5日より発売する。

ルネサンス期の傑作建築「テアトロ・オリンピコ」にあやかって名づけられたOlympicaシリーズが最新技術とデザインをまとって登場

フロアスタンディング型のOlympica NOVA Vは195万円(ペア/税抜)、Olympica NOVA IIIは140万円(ペア/税抜)、ブックシェルフ型のOlympica NOVA Iは78万円(ペア/税抜)。NOVA I推奨のスタンドも発売されており、価格は10万円(ペア/税抜)。

Olympica NOVAシリーズは、2013年に発売となった “Olympica” シリーズのデザインやサウンド・コンセプトを継承しながら、積み上げてきた経験や感性、技術を結実させ、新シリーズとしてリデザインしたコレクション。NOVAはラテン語で「新しい」を意味する。

Olympica NOVA Vは3ウェイ5スピーカーのバスレフ方式フロアスタンド型システム。28mmシルク・ソフトドーム型トゥイーター1基、150mmコーン型ミッドレンジ1基、180mmコーン型ウーファーを3基搭載。周波数特性は32Hz〜35kHz、クロスオーバー周波数は250Hz/2,500Hz。推奨アンプ出力は60〜400Wとなっている。サイズは425W×530D×1175Hmm、質量は1本46kg。

3ウェイ5スピーカーの「Olympica NOVA V」

Olympica NOVA IIIは3ウェイ4スピーカーのバスレフ方式フロアスタンド型システム。28mmシルク・ソフトドーム型トゥイーター1基、150mmコーン型ミッドレンジ1基、180mmコーン型ウーファーを2基搭載。周波数特性は35Hz〜35kHz、クロスオーバー周波数は250Hz/2,500Hzで、推奨アンプ出力は50〜300W。サイズは380W×460D×1105Hmm、質量は1本35kg。

3ウェイ4スピーカーの「Olympica NOVA III」

Olympica NOVA Iは2ウェイ2スピーカー構成のバスレフ方式ブックシェルフ型スピーカー。28mmシルク・ソフトドーム型トゥイーターと150mmコーン型ミッドウーファーを各1基搭載する。周波数特性は45Hz〜35kHz、クロスオーバー周波数は2,500Hz。推奨アンプ出力は35〜250W、サイズは200W×395D×355Hmm、質量は1本10kg。

ブックシェルフ型の「Olympica NOVA I」。専用スタンドに載せたところ

キャビネットには、上位モデル「Homage Tradition」や「Aida II」などにも採用されているプライウッド構造を継承。厚みの違う木材を、木目の角度を交互に90度変えて8層に積層させ、プレス機で加圧しながら曲面を造形。側板表面はウォルナット突板半光沢仕上げとし、接合部にはクリア・メイプルをダンピング素材として使用。

ウォルナットの仕上げ

異種木材の組み合わせによって木の響きを生かしつつ不要振動を排除している。キャビネット内部には補強リブを配置し、振動を減衰しドライバー・ユニット全体のパワーを万全に受け止める。

フロント・バッフルはキャビネットと同じ突板仕上げに一新。トゥイーターとミッド・レンジ部はレザー張りバッフルで、職人による手作業で組み上げられている。独立バッフルには金属フレームを採用、歪みの少ない正確な駆動をすることで各ドライバー・ユニットのパフォーマンスを最大限に引き出す。

フロント・バッフルには剛性を高める金属フレームを採用

キャビネット形状は、 “Olympica” シリーズのために開発された左右非対称型デザイン「エンハンスド・ライラ・シェイプ」を継承。内部並行面をなくすことでキャビネット内の定在波を抑制し、内部共振の低減を実現する。

左右非対称型のデザイン「エンハンスド・ライラ・シェイプ」を継承

バスレフポートは、キャビネットの斜め後方に垂直方向の直線的ポートとして配置。キャビネット形状と吸音材の配置により、ドライバーユニットの背圧はすべてキャビネット内で渦を巻くような螺旋の動きをしながらポートから排出される。

スピーカー背面に設置された直線型のバスレフポート

ポート出口は、Homage Traditionに搭載されているアルミニウム押し出し成型のリフレックス・ポートを設けた「ステルス・ウルトラフレックス」機構を投入。歪みの原因ともなるポートから排出される気流の乱れを波状のポート出口構造で最適化し、低域の再現性を向上させている。

ユニットの背圧は渦を巻くような螺旋の動きをしながら、バスレフポートから排出される

キャビネットの上下は、CNC加工したアルミニウムプレートを取り付ける「エキソ・スケルトン・クランプ」構造を採用。キャビネットをダンピングさせ振動成分を抑制するとともに、天然木ならではの豊かな鳴りと適度に引き締まった低音の再生を実現する。脚部にも新規設計のスチール製の堅牢なスパイクを採用。床面からの不要な共振や振動成分をキャビネットに滞留させず、設置面に効率的に逃すことができる。

新規設計のスパイク

トゥイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファー、ウーファーはそれぞれ専用設計となる。トゥイーター「H28 XTR3」は28mmシルク・ソフトドーム。強靭なアルミニウム・ダイキャストのフレームに「DAD(Damped Apex Dome)テクノロジー」を搭載している。

トゥイーター「H28 XTR3」

Olympica NOVA III、Vに搭載されるミッドレンジ「M15 XTR2-04」はセルロース・パルプ、カポック、ケナフなどの自然繊維を空気乾燥させ、独自にダイアフラムに調合した150mmペーパーコーン。ムービングコイルは銅クラッド・アルミニウム巻線で構成、ダンパーには高耐久なBIMAX特殊素材を使用している。

ミッド・レンジ「M15 XTR2-04」

Olympica NOVA Iに搭載のミッド・ウーファー「MW15 XTR2-04」も同じく150mm径ペーパーコーン仕様で、ミッドレンジと同様の構造を採用している。

ミッド・ウーファー「MW15 XTR2-04」

ウーファー「W18XTR2-12」はHomage Traditionのために新開発された駆動システムをもとに設計されたサンドウイッチ構造180mmペーパーコーン。セルロース・パルプのシート2枚の間にシンタクティック・フォームを挟み込み、軽量で高い応答性と高剛性を実現する。

ウーファー「W18XTR2-12」

クロスオーバー・ネットワークは、Clality Cap社との初の共同設計で生まれたカスタムメイドのコンデンサーなど、高品位なパーツをふんだんに使用。回路は「パラクロス・トポロジー(位相幾何学)」に基づく設計で、各ドライバーユニットの振幅や位相特性、空間と時間特性を最適化しつつ、インピーダンスを最適に制御してアンプとのマッチングに配慮している。

Olympica NOVA Vの中/高域クロスオーバーネットワーク

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