フェーズメーションの試聴室で収録

国産オーディオブランド開発者が参加するアコギユニット「Nicogi」、3rdアルバム「蜃気楼」発売

2020/04/15 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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国産オーディオブランド、「ファンダメンタル」の製品開発を一手に手掛ける鈴木 哲と、齊藤純示の2人によるアコースティックギターユニット「Nicogi」。オーディオ開発と音楽制作をもっと近しいものにしたい、という情熱から、アコースティックな質感を活かした良質な音作りにこだわり続けているユニットだ。そんなNicogiの3rdアルバム「蜃気楼」が本日発売となった。

Nicogi「蜃気楼」FMCD-003 2,700円(税抜)

2015年に1stアルバム『s・o・r・a』、2016年に2ndアルバム『ヨアケマエ』をリリースしてきたNicogiだが、フルアルバムは今回が初。e-onkyo musicほかで先行ハイレゾ配信されていた音源も含む全11曲が収録されている。プロデューサーには、過去作品に引き続き山下達郎のエンジニアでも知られる中村辰也が担当。

今回のアルバムの大きなポイントは、録音スタジオとしてフェーズメーションの試聴室を活用していることにある。普段は製品開発や試聴会などで活用されているというフェーズメーションの試聴室は、天井が高く、音の残響にまでこだわった設計がなされている。音の響きやユニゾン、アーティストの呼吸感など、細部にまでこだわったレコーディングを実践してきたNicogiにとっては、またとない収録場所になったのだ。

フェーズメーションの試聴室で収録。左が鈴木哲、右が齊藤純示(photo by 君嶋寛慶)

収録曲のうち、「珊瑚の海」「秋霖」など6曲をフェーズメーションの試聴室にて収録。もちろん出音のチェックは、ファンダメンタルのメインアンプMA10にスピーカーRM10Zを使って行っている。ここにも、「ソフトとハードを両立させたい」という鈴木哲のこだわりが見える。

Nicogiの楽曲は、ライブパフォーマンスも含め、左側に鈴木 哲が、右側に齊藤純示が座るスタイルで演奏される。優れたオーディオ装置で聴くと、ふたりのそれぞれの実体感が左chスピーカー、右chスピーカーから立ち上がり、わずかなギターの表現のニュアンス感まで伝わってくる。収録の際はお互いの音を聴きながら、呼吸を合わせて行っているという。そんな2人の「アイコンタクト」まで見えてくるようだ。

チームNicogiの一員とも言える、エンジニアの中村辰也

アルバム最後に収録される「DANCER」は、鈴木哲がある日の夜、月明かりの下多摩川の河原で踊るダンサーをみかけて、そのイマジネーションから生まれた楽曲だという。実際に聴いてみると、まさにスピーカーの間に、しなやかで優美な「DANCER」が浮かび上がってくる。Nicogiによるギター表現は、聴き手に豊かなインスピレーションを与えてくれるのだ。

10曲目の「Akatonbo」は、京都のログハウスLogCafe STUDIO FLORESTAにて収録されたもの。お客さんも交えて一発録りをした音源ということで、彼らの緊張感まで伝わってくるのも楽しい。

Nicogiのアルバムは、ディスクユニオンなどのレコードショップのほか、彼らの公式ウェブサイトからも購入できる。アーティストの呼吸感や弦の倍音によるニュアンス感の確認など、オーディオチェックCDとしても活用して欲しい。

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