日本では今夏発売予定

<HIGH END>iFi audio、“竹”ボディのオールインワン・スピーカー「Aurora」− 6基のマイクで高度な音場補正を実現

公開日 2019/05/11 12:24 オーディオ編集部・浅田陽介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
iFi audioは、現在ドイツ、ミュンヘンで開催中のHIGH END MUNICH 2019にて、新製品発表を兼ねたディナーパーティーを開催。最新モデルとなるオールインワン・スピーカーシステム「Aurora」を発表した。本機については昨年のHIGH ENDでプロトタイプが公開されたが(関連ニュース)で、今回その完成形が改めて発表されたことになる。

MUNICH HIGH END 2019で発表されたオールインワンスピーカー「Aurora」

新製品発表のプレゼンテーションにて登壇した同社のマーケティングを担当するVictoria Pickles氏は、Auroraの発表に先立ってオーディオ機器のあり方がこれまで大きく変化してきたことを説明。レコードに始まりシステムコンポ、iPod、そしてBluetoothスピーカーへと姿を変えるオーディオ機器の歴史に触れた上で、現在のオーディオスタイルに最適化したものがオールインワン・スピーカーのAuroraであることをアピールした。

本機のプレゼンテーションに先駆け、そのコンセプトを説明するマーケティング担当のVictoria Pickles氏

デザインコンセプトを説明するJulian Haziza氏。日本を代表する建築家、安藤忠雄のデザインから強くインスピレーションを受けたと話す

Auroraをデザインしたのは、xDSDやxCANのデザインも担当したデザイナーのJulian Haziza氏。プレゼンテーションにおいてHaziza氏は、「日本の建築家、安藤忠雄氏の手によって生み出された建物から大きなインスピレーションを受けた」と振り返り、iFi audioにとって新たな挑戦となる本機では、革新性を感じさせるデザイン要素を表現したと説明した。また、今回この「Aurora」という名前を採用した理由として、「リスニングルームの空間に合わせて最適化された、オーロラのような広大なサウンドステージによる音で、アーティストのパフォーマンスに浸ることができる」と解説した。

Auroraのリアパネル。S/PDIFやUSB(Aタイプ、ホストモード)、LAN、micro SD、Wi-Fi、Bluetoothなどさまざまなデジタル入力に対応

Auroraが対応するのは、USB(ホストモード)からS/PDIF(RCA同軸、光TOS)、LAN、そしてWi-Fi、micro SD、Bluetoothといったさまざまデジタル入力。対応するサンプルレートは最大で192kHz/32bit(Wi-Fi、LAN入力時)と、これまでのiFi audioの製品から考えると幾分控えめな数値となっているが、これは後述する音場補正機能の採用が大きく関係している。本機は、あらゆる生活空間で最適な音を再生するために開発されたモデルという見方をして問題ないだろう。

本機側面のスリットの奥には、各ユニットを合理的に配置

ボディ材に硬く、吸音性能に優れた特性を持つ竹を採用。個性豊かなデザインをまとったエンクロージャーには、全部で8つのドライバーをマウント。フロントに2つ、そしてサイドにそれぞれ1ずつ120mm口径のメインユニットを搭載。共振点を可聴帯域の大きく外へと設定したバスケットの採用や、大型マグネットの搭載によって、およそ60Hz〜8kHzまでフラットな周波数帯域を実現したという。

また、両サイドの角に当たる部分には、それぞれ28mmのシルクドーム・トゥイーターを搭載。8kHz以上の帯域をカバーさせ、スーパートゥイーターのように動作させている。

独自のサウンドチューニング技術「TrueBass」を盛り込んだウーファーは本機底面に2基マウント

ウーファーは本体下部に2基装備。iFi audioのエンブレムがプリントされたこのウーファーは、アナログ領域で動作する独自のサウンドチューニング技術「TrueBass」を盛り込んでおり、リアルで奥行きのある再生を実現したとしている。帯域は27Hzより下の低域をカバーしており、好みに合わせてレスポンスを調整することも可能となっている。

これらのユニットを動作させるのが、「PURE EMOTION」と名付けられたDAC/アンプ回路。DACチップにはESS製のSabre 32bit DACチップを搭載し、プリアンプ・ステージには真空管6N3Pを搭載。ここから音楽信号は、クラスDを採用したパワーアンプ段へと送り込まれる。

iFi audioの主任エンジニアであるThorsten Loesch氏

同社の主任エンジニアであるThorsten Loesch氏は「クラスDは高効率なのでさまざまなオーディオ製品で採用されていますが、既存のクラスDアンプは可聴帯域内にさまざまな問題を抱えています。しかし、iFi audioで採用したクラスDアンプは、問題となるスイッチングノイズを1.5MHzなどの可聴帯域を大きく超えたところに設定することで、高効率と低ノイズの両立を実現しました。ここにGMT(グローバル・マスター・タイミング)回路を組み合わせることで、音楽的な要素を最大限に再生することを可能としました」とその優位性を説明した。

本機背面に向けて用意された、音場補正のために設けられるマイクロフォン

マイクロフォンは本機リアから両サイドへ向けても用意されている

そしてもうひとつ、Auroraに搭載されたiFi audioらしさ溢れるテクノロジーが、音場補正技術となる「ART (Automatic Room Tailoring)」だ。本機のリア部には両サイドと背後へ向けて合計6つのマイクロフォンを搭載。このマイクで周囲の環境を測定し、32bit演算の内部DSPによってサウンドを最適化する。こうした補正機能はiFi audioの製品としては初めての採用となり、ここからもAuroraが同ブランドにとって大きなチャレンジとなるモデルである点がうかがえる。

iFi audioと言えば、これまで最先端のスペックを追求した数々のユニークな製品を開発してきたハイスペックブランドというイメージが強い。このAuroraは、そうしたiFiがこれまで培ってきた最先端へのノウハウに加え、新たにライフスタイルというより音楽に寄り添うための提案をミックスした製品と捉えてよさそうだ。

iFi audioの新たなチャレンジとなる製品として、Auroraはこの発表段階で世界中の多くのメディアから早くも高い注目を集めている。日本での発売はこの夏を予定しているという。

<HIGH END>iFi audio、“竹”ボディのオールインワン・スピーカー「Aurora」− 6基のマイクで高度な音場補正を実現

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE