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既存ラインナップも10月発売

ラックスマン、仏FOCALの最新ハイエンドスピーカー「UTOPIA III EVO」シリーズを発表

編集部:押野 由宇
2017年09月05日
ラックスマンは、7月から取り扱いを開始した仏 FOCALのホーム用スピーカーおよびヘッドホンについてプレス向け製品内覧会を本日開催。既存のラインナップに加えて、FOCAL最新の準旗艦ハイエンドスピーカー「UTOPIA III EVO」シリーズを2017年10月より発売する。

・「MAESTRO UTOPIA EVO」 希望小売価格¥6,800,000(税別・ペア)
・「SCALA UTOPIA EVO」 希望小売価格¥4,200,000(税別・ペア)

MAESTRO UTOPIA EVO

SCALA UTOPIA EVO

ラックスマンは7月1日よりFOCAL社のホーム用スピーカーおよび一部ヘッドホンの取り扱いを開始(関連ニュース)。今回、ラックスマンが取り扱う製品ラインナップが正式に発表されたかたちだ。

取り扱われるホーム用スピーカーのラインナップは、ハイエンドラインの「UTOPIA III」「UTOPIA III EVO」「SOPRA」、ベーシックラインに位置付けられる「ARIA 900」「CHORUS 700」の5シリーズ17機種。各モデルの価格等は別記事でお伝えする。

「SOPRA」シリーズなど従来モデルもラインナップ

ヘッドホンについては、ハイエンドモデル「UTOPIA」「ELEAR」の2機種をラックスマンが取り扱う。

ワールドワイドでこの秋発売、日本でも初上陸となるのが「UTOPIA III EVO」シリーズ。今年5月に独ミュンヘンで開催された「HIGH END 2017」にて発表たモデル(関連ニュース)となる。詳細は後述する。

日本で新たなスタートを切るFOCALの展開

冒頭ではラックスマンの代表取締役社長である川上晃義氏が挨拶。「インターナショナルオーディオショウに先駆けて、FOCALの製品をご紹介できることを喜ばしく思います。ラックスマンとしても、この秋にプリメインアンプを発売しますが、弊社の製品はFOCALと相性が良いという声もいただいています。ぜひ、その印象を確かめていただければ」と述べた。

ラックスマンの代表取締役社長、川上晃義氏

FOCALからは、同社が拠点を置くフランスから来日した、ホームカテゴリーのグローバルセールスマーケティングの責任者であるCarsten Roth(カーステン・ロス)氏が登場。FOCALブランドについて改めて紹介した。

FOCALのグローバル・ホーム・セールスマネージャーのカーステン・ロス氏

FOCALは、1979年にエンジニアのジャック・マユール氏が設立したスピーカーメーカー。現在の従業員は200名で、うち30名は研究開発エンジニアで構成されている。サン=テティエンヌの本社は17,000平方メートルもの敷地を持ち、開発拠点や工場のほか、原材料倉庫や製品倉庫・物流、リスニングルーム・ショールームがある。

カーステン氏は同社について「技術革新志向が強く、機械工学に基づく独自のドライバーユニットの開発や製造、さらに治具の開発に至るまで、すべてを自社工場でまかなっている現代においては稀有な会社」と説明する。

自社工場の様子などがデモ映像で公開された

同社では取り扱う製品ジャンルを、Hi-Fiスピーカーやハイエンドヘッドホンを中心とした『ホーム』、ヘッドホンなどが含まれる『マルチメディア』、『カスタムインストール』、『プロフェッショナル』、『カーオーディオ』の5つのセグメントに分類。ラックスマンは、『ホーム』に該当するスピーカーやヘッドホンを取り扱うことになる。

FOCALが取り扱う5つのセグメント

同氏はラックスマンの製品についても言及。「FOCALとラックスマンのアンプと組み合わせた音を聴いたが、とても相性が良いと感じている。ヘッドホンについても、ラックスマンは優れたヘッドホンアンプを手がけていて、フラグシップ『Utopia』ともベストなマッチングを聴かせてくれた」とFOCALとラックスマンのシナジーをアピールしていた。

ヘッドホン製品についても強くアピールされた

9月下旬発売となるプリメインアンプ「L-509X」も展示

FOCALは今年、ブランドのキャッチコピーを従来の「SPRIT OF SOUND」から「LISTEN BEYOND」に変更したとカーステン氏。「ラックスマンというパートナーと一緒に、音楽を聴くという行為の先にある、音楽そのものを感じることができる新しい体験を日本のオーディオファンに届けていきたい」と日本での展開に意欲を見せた。

「UTOPIA III EVO」シリーズは蓄積したノウハウと新技術の賜物

続いて、ハイファイ製品からヘッドホンまで、すべての製品の音決めを行っているというプロダクトマーケティングマネージャーのNicolas Debard(ニコラス・デバー)氏が登場。「UTOPIA III EVO」シリーズに搭載されるテクノロジーについて解説を行った。

FOCALプロダクトマーケティングマネージャー、ニコラス・デバー氏

ニコラス氏は「FOCALの一番の強みは、技術力だと考えている。FOCALのR&Dには2つの意味があって、ひとつは『新製品の開発という意味』、もうひとつは『生産をする際の機械や治具を開発する』という意味。製品を開発・生産する過程で、2つの開発部門があることで、技術革新が効率的に行える」と、同社が持つ技術力の高さを強調。その上で、FOCALのスピーカーのキーとなる3つのテクノロジーに触れた。

1つめはインバーテッドドーム・トゥイーターと呼ばれる、その名の通り逆ドーム形状の独自トゥイーターだ。同氏は「一般的なドーム型トゥイーターと比較して、ボイスコイルが小さく設計できるのがポイント。一般的なドーム型では、ボイスコイルの直径が長いために振動系の質量が大きくならざるを得ないが、逆ドーム型ではボイスコイルの直径を短くできるので振動系の質量が小さくできる。そのため高速のレスポンスが実現でき、高効率かつ正確な振動版の駆動が可能になる」と説明する。

逆ドームトゥイーターの構造を解説

また、逆ドーム型ではドームの高さを低く(曲率を小さく)できるため、より明確な音像再現が可能になるという。構造的にもドーム型より強度が高く、バランスの良い放射性を確保できるとのこと。

「逆ドームトゥイーターはバランスの良い放射性能を持つので、歪みの発生を発生させない。また、ボイスコイルが駆動するエネルギーがサスペンションに逃げることなく、効率的に振動板に伝達することができる」と一般的なドームトゥイーターとのちがいを述べた。

2つめの技術的ポイントとして、ベリリウムトゥイーターが挙げられた。「FOCALではユニット開発において、「軽さ」「剛性」「ダンピング」の3要素を検討して素材を決定します。振動板が軽ければ微細な信号も再現でき、剛性が高ければ歪みを低減できる。そしてダンピングに優れていれば音のカラレーションがなくなる。ベリリウムトゥイーターはアルミニウム製の13倍剛性が高く、音速は2.5倍速い。ダンピングも高いので、叩いても鳴きがない。まさに理想的な素材だ」とその優位性をアピールした。


各素材で作られた音叉を使ってのデモンストレーション。チタンとベリリウムを比べると、チタン製では時間と共に音が変わっていくのに対し、ベリリウム製ではその変化が少なかった
3つめのポイントに挙げられたのは、“W”サンドイッチコーンを用いたミッドレンジ/ウーファーユニットだ。ニコラス氏は「軽さ、剛性、ダンピングの3つの要素で良好な性能を得る、唯一の解決法はサンドイッチ構造にある」とコメント。

「単一の素材を用いた場合とサンドイッチ構造を比較すると、7倍の相対剛性が得られるにもかかわらず、質量はほぼ同等に抑えることができる。実際に開発されたコーンは、コア素材のロハセルフォームをグラスファイバーでサンドイッチした構造にすることで、ケブラーコーンの20倍の剛性を確保した」(ニコラス氏)

コア素材のロハセルフォーム。向こうが透けて見えるほど軽く薄い

また「ロハセルフォームは80%が空気でできており、厚さを調整できる。さらにグラスファイバー層の数を変更することで、3〜16インチのすべてのドライバーを製造可能だ。ミッドレンジには軽さが重要だがそこまで剛性は必要ない、サブウーファーは軽さより強さが重要といった、ドライバーごとの特性にあわせて構成を調整することができる。FOCALあh新製品の音作りに最適なドライバーを、新しく開発することができる」と自社開発の強みを語った。

最新技術を一挙に投入したUTOPIA III EVOシリーズ

同社の最新モデルとなるUTOPIA III EVOシリーズは、Utopia IIIの良さを活かしながら、発売以降に培った新技術を投入して開発したという。トゥイーターには旗艦モデル「Utopia III」から継承した「IAL 2」トゥイーターを採用。採用した理由を「IAL 2が現在最も高性能なトゥイーターであるから」と語っていた。

同社試聴室に設置されたMAESTRO UTOPIA EVO

IAL 2トゥイーターの内部イメージ。3箇所から空気減圧を行う構造となっている

IALは「音響的な負荷をかけるという意味」とのことで、トゥイーターの共振周波数が低いため、そのほかのドライバーからの影響を受けにくいというメリットがあるという。また「周波数特性に合わせて、ダンピング特性も伸びる必要があるが、通常ダンピングはあるポイントで滝のように急落してしまう。IAL 2ではそれを改良して、高域再生時も変わらぬダンピング性能を維持できるように設計した」とのこと。

ミッドレンジには、“W”サンドイッチコーンを搭載。サスペンションの不要な動きを低減するTMDサスペンション、安定した磁界を獲得するミッドレンジ用のNIC磁気回路といった技術が採用されている。

MAESTRO UTOPIA EVOにはMDS(マグネティックダンピングシステム)技術を採用。これは「GRAND UTOPIA」のEM(エレクトロ・マグネティック)スピーカーと同様の役割を低コストで実現したもので、ダンピングを環境に合わせて3つの値から選択可能。「例えば小さい部屋では低域のレベルを小さく、ダンピングが高くするなど、部屋のサイズや特性に合わせて低域のレベルを調節することができる」という。

さらにUTOPIA III EVOシリーズでは、細かな仕様にも改良の手が及んでいる。ネットワークは使用パーツが一新され、歪みを低減。内部ケーブルも一新している。低音部の吸音材を変更しており、これによりダンピングをさらに向上させた。

UTOPIA III EVOの主なスペックは以下の通り。

MAESTRO UTOPIA EVOは3ウェイ・バスレフ型のスピーカーで、ユニットは27mm・IAL2・ピュアベリリウム・インバーテッド・ドームトゥイーター、16.5cm・パワーフラワー・NIC・Wミッドレンジ、270mm・Wウーファー、270mm・MDS・Wウーファーを搭載。

周波数特性は25Hz〜40kHz(±3dB)で、低域再生能力は21Hz(-6dB)。出力音圧レベルは93dB、定格インピーダンスは8Ω、クロスオーバー周波数は280Hz/2,200Hz。推奨パワーアンプ出力は80〜600Wとなる。外径寸法は455W×1,470H×770Dmm、質量は116kg。

SCALA UTOPIA EVOは3ウェイ・バスレフ型のスピーカー。ユニットは27mm・IAL2・ピュアベリリウム・インバーテッド・ドームトゥイーター、165mm・パワーフラワー・NIC・TMD・Wミッドレンジ、270mm・Wウーファーを搭載する。

周波数特性は27Hz〜40kHz(±3dB)で、低域再生能力は24Hz(-6dB)。出力音圧レベルは92dB、定格インピーダンスは8Ω、クロスオーバー周波数は220Hz/2,200Hz。推奨パワーアンプ出力は40〜500W。外径寸法は393W×1,247H×670Dmm、質量は85kg。

車の外装色からインスパイアされたというカラーバリエーションはシリーズ共通で、メタリック・ブルー、ブラック・ラッカー、ブリティッシュ・レーシング・グリーン、アッシュ・グレー、 カッラーラ・ホワイトの5色を展開する。

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