「高音質盤のモービル」がオーディオ機器の開発をスタート

<CES>高音質レーベルMOBILE FIDELITYが初のアナログプレーヤー2機種を発表

2016/01/09 季刊Net Audio編集部 浅田陽介
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現地時間6日から、一般ブースの開放がスタートしたアメリカ・ラスベガスで開催中の2016 International CES。今年も多くの来場者で賑わう会場だが、ハイエンド・オーディオブランドが数多く出展するVENETIAN Suiteでは再生ソースを取り巻く環境が大きく変化している。デモンストレーションでCDを使用するブランドが極めて少なくなっているのだ。

その代わりに増えているのがハイレゾやストリーミング。そしてアメリカでも一大ブームとなりつつあるレコードを用いてデモンストレーションを行うブースが、間違いなくその数を増やしている。特にレコード再生については、テクニクスやソニー、ティアックなどの新製品が大きな話題となった。

そんななか、高音質レーベルとして日本でもお馴染みのモービルフィデリティが、初となるアナログプレーヤーを2機種発表している。

今回CESの会場で発表されたモービルフィデリティ初のアナログプレーヤー。写真はエントリーモデルとなる「STUDIO DECK」

上位機種となる「ULTRA DECK」

今回発表されたのは、エントリーに位置する「STUDIO DECK」と上位機種に位置する「ULTRA DECK」。ブランド名は「Mofi ELECTRONICS」となる。

両機ともハイエンドアナログプレーヤーブランド、スパイラルグルーヴのターンテーブル等を手がけたアレン・パーキンス氏のデザインによるプレーヤーだ。

パーキンス氏は多くのハイエンドアナログプレーヤーの開発に関わってきた人物だが、MoFi ELECTRONICSのアナログプレーヤーは現実的な価格帯に収められているのも注目したいポイントだろう。

ブランドのプレジデントであるJOHN SCHAFFER氏によれば、「STUDIO DECKとULTRA DECK、この2つのアナログプレーヤーはモービルフィデリティにとって大きなチャレンジとなるアナログプレーヤー」なのだという。トーンアームやプラッター、またそれらに使用されているベアリングなどは、全て新規に開発されたものを採用している。

MoFi ELECTRONICSのプレジデント JOHN SCHAFFER氏

プラッターはポリアセタール樹脂(POM)で、ボディはMDFを強固にプレスして生成された高い剛性を持つもの。回転方式はベルトドライブとなり、ベルトの架け替えで33 1/3rpm、45rpmの切り替えに対応する。トーンアームはジンバルサポートによる軸受けを採用した、ダイナミックバランスによる10インチのストレートアームだ。アームパイプはアルミを採用する。

プラッターはPOMを採用。写真はULTRA DECKのもの

トーンアームは10インチのストレートアーム


2機種ともベルトドライブを採用し、ベルトの架け替えで回転数の切り替えに対応する
一見すると非常に似通った外観のSTUDIO DECKとULTRA DECKだが、もちろんそれぞれに違いがある。

ULTRA DECKではモーターによりS/Nを高めたACシンクロナスモーターを採用したほか、プラッターをより制振特性やイナーシャに優れた厚みのあるものを採用。さらには、プラッターやアームの軸受けに使用されるベアリングや外部振動をより効果的に遮断するインシュレーターなど、いくつもの箇所でアップグレードを施している。

ダストカバーを装着したところ。半透明のスモークアクリルを採用する

価格はSTUDIO DECKが1,000ドル、ULTRA DECKが1,800ドルとなり、日本での発売はまだ未定とのことだ。

フォノイコライザーとカートリッジも登場

また、MoFi ELECTRONICSでは、フォノイコライザーとカートリッジも発表された。カートリッジはいずれもMM型で3機種をラインナップしている。

今回は3つのカートリッジも同時に発表。いずれもMM型となる

最もエントリーに位置するモデルは、アルミカンチレバーと楕円針を採用。価格は300ドルとなる予定で、STUDIO DECKとのセットでは1,150ドルでの販売を予定している。

中級に位置するモデルはヌード楕円針を採用。価格は600ドルで、ULTRA DECKとのセットでは2,000ドルで販売される予定だ。

最上位機種は銅線によるコイルとファイン・ライン型のスタイラスを採用したカートリッジで、価格は900ドルとなる。

世界中のオーディオファイルに愛される高音質レーベルが、ついに手掛けたアナログオーディオ機器達。これらのモデル達は、来場したレコード愛好家達から、早くも熱い視線を浴びている。今後の展開に注目したいブランドが、また一つ誕生したと言えるだろう。

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