随所に革新的技術を採用

【独HighEnd】オルトフォン、創立95周年記念カートリッジ「SPU 95th Anniversary」公開

公開日 2014/05/16 11:12 季刊ネットオーディオ編集部 浅田陽介
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現地時間の5月15日よりドイツ・ミュンヘンにて開催されている「Munich High-End 2014」。年々その規模を拡大し続け、いまや世界最大のハイエンドオーディオ見本市ともいえる同イベントは、今年も世界中のオーディオブランドが集結し、大きな賑わいを見せている。

Munich High-Endを見ていると、とりわけ印象的なのがアナログの盛り上がり。会場には多くのアナログ関連ブランドが所狭しと並んでいる。そんなアナログ関連機器の中でも、オルトフォンはとりわけ人気の高いブランドだ。

Munich High-End 2014のオルトフォンのブース

オルトフォンのブースではすでに日本でも発売されているモデルを中心とした展示となっているが、今回、一部のディーラー向けにのみ公開されている創立95周年モデルのカートリッジ「SPU 95th Anniversary」を特別に見せてもらうことができた。

オルトフォン創業95周年を記念する「SPU 95th Anniversary」。今回は一部のディーラーのみの特別公開となっている

SPU 95th Anniversaryは、SPUの代名詞である黒のGシェルと金色のロゴプレートと指掛けが絶妙なコントラストを選出する、まさに記念モデルと呼ぶにふさわしい外観を採用。既存のSPUとの大きな違いは、マグネットを始めとした核となるパーツをマウントするフレーム部にチタンを採用している点だ。

このチタンのパーツの成形にはオルトフォンの高い技術力が採用されている。一般的なカートリッジのフレームは複数の金属を重ねて成形されることが多いが、オルトフォンでは金属を削り足した後にレーザーを使用して細かな成形を行う「SLM(セレクティブ・レーザー・メルティング)」を行い、完全なる一体成形を実現。これにより、高い効率で振動を抑制する強度の高いチタン製フレームを誕生させることに成功した。

SPU 95th Anniversaryの内部。写真一番左にあるのが、最も大きな特徴となるSLMによって一体成形されたチタン製のフレームとなる

また、マグネットやコイルの位置もカンチレバーの直近に配置。微弱電流を扱うカートリッジにおける信号経路の最短化や、効果的な振動抑制を実現するなど、随所にオルトフォンならではの技術が満載されている。この他、スタイラスは無垢楕円針を採用し、コイルの巻線には銀メッキ導線を採用するなど、贅沢な作りとなっているのも特徴だ。

もう一つの大きな特徴として、マグネットやコイルなどのコアパーツがカンチレバーの直近にマウントされていることが挙げられる。音に関わる内部構造にこうした大胆なブラッシュアップが行えるのもオルトフォンならではの強みとなっている

オルトフォンにてChief Officer Acoustics and Technologyを勤めるLeif Johannsen氏。現在、同氏の手によって、SPU 95th Anniversaryは鋭意開発中とのことだ

なお、このSPU 95th Anniversaryはまだ開発中の製品のため、今後仕様が変更となる場合もあるとのこと。発売は今年の秋頃を予定。価格はまだ未定だが、アニバーサリーモデルにふさわしくSPUシリーズの最上位に位置するモデルとなり、全世界限定で500台となる予定とのことだ。

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