【試聴レポ有】盤素材やプレスにこだわった“100% Pure LP”、ユニバーサルから12/12に発売 − 『スティッキー・フィンガーズ』など15タイトル

ファイル・ウェブ編集部
2012年08月09日
ユニバーサル ミュージックは、“ヴァージン・ヴィニール”を材料に使い、SACD〜SHM仕様用DSDマスターを用いたハイエンドなLP盤“100% Pure LP”を2012年12月12日に発売する。まずはロック/ポップス、ジャズなど全15タイトルが用意されており、価格はそれぞれ5,800円(税込)。初回完全限定盤で、近日中に全国のCDショップ/オーディオ店で予約受付を開始する。

“100% Pure LP”の大きな特徴のひとつは、盤に使用している原料だ。通常のレコードは、主原料となる塩化ビニールのほか、カーボンなど着色のための染料が添加されている。しかし“100% Pure LP”は、着色物は「音質に影響を与える」として排除。帯電防止剤も一切使っていないという。低重合度のストレート塩化ビニールを特別配合して使用している。そのため、盤の色はやや黄色がかった透明。音質面でのバラツキはないが、見かけの色は個体差が出るという。

“100% Pure LP”。黄色味がかった半透明

“100% Pure LP”はこのようなジャケットに入って販売される。なお、注力したのは“音”なので、ジャケットの完全再現は行っていないとのこと(なので『スティッキー・フィンガーズ』のジャケにジッパーは付かない)

もうひとつは、メタルマスターからダイレクトにプレスしている点。通常レコード量産時は、カッティング後にラッカー盤(凹)→メタルマスター(凸)→メタルマザー(凹)→スタンパー(凸)の4工程を経てプレスする。

一方“100% Pure LP”は、メタルマスターからダイレクトにプレス。これにより、より忠実な溝の成形を目指したという。

しかし、メタルマスターは耐久性がないため、ひとつのメタルマスターからは1,000枚プレスするのがやっとだという。そのため完全初回数量限定販売となるわけだが、「1,000枚限定販売というわけではない。いただいた注文の状況によっては、もうひとつメタルマスターを作ってプレスを行う」(ユニバーサルミュージック・塩川氏)とのことだ。

また、音源のマスターに「SA-CD〜SHM仕様〜」シリーズに使われたDSDファイルを使用しているのも注目だ。これはアナログテープからそのまま取り出したデータから経年によるダメージ部分を可能な限り修正したマスター。「望みうる最高のデジタル・マスター」と自信を見せている。

このマスターを、DSDワークステーション「Sonoma」から、ソニー製DAC「K-1326」のアナログ出力を通してダイレクトにカッティング・コンソールに入力している。イコライザーやリミッターコンプレッサー、カットフィルター、低域位相補正などの電気処理は一切していないという。

なお、再生歪みを軽減させるため、音溝は可能な限り外周に寄せてカッティングしているとのことだ。

発売予定タイトル一覧 ※変更の可能性もあり

■ザ・ローリング・ストーンズ:スティッキー・フィンガーズ
■ザ・ローリング・ストーンズ:イッツ・オンリー・ロックン・ロール
■ザ・フー:フーズ・ネクスト
■ブラインド・フェイス:スーパー・ジャイアンツ
■エリック・クラプトン:461 オーシャン・ブールヴァード
■マイク・オールドフィールド:チューブラー・ベルズ
■ダイアー・ストレイツ:悲しきサルタン
■スティーリー・ダン:彩(エイジャ)
■エイジア「詠時感〜時へのロマン
■スティーヴィー・ワンダー:インナーヴィジョンズ
■ビル・エヴァンス:ワルツ・フォー・デビイ
■ビル・エヴァンス:ポートレイト・イン・ジャズ
■ソニー・ロリンズ:サキソフォン・コロッサス
■アート・ペッパー:アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション
■ウェス・モンゴメリー:インクレディブル・ジャズ・ギター

なお、今後はクラシックのタイトルなども発売を視野に入れているという。

「昨今苦戦を強いられているパッケージメディア市場の起爆剤としてSHM-CDやSA-CD〜SHM仕様を世に送り出し、大変好評をいただいている。LPは成熟した市場のため難しいかなと思っていたが、ユニバーサルさんから『ぜひやろう』という言葉をいただき、今回の発売が決まった。目指したのは、いかにオリジナル盤を凌駕できるか、という点。素材の追求から始めて、音を磨き込んだ。メタルマスターからダイレクトにプレスするのは、音は良いがコストもかかるし技術も要る。しかし、最高のものを作ろうということで、東洋化成さんにご尽力いただいた」(“100% Pure LP”担当 新倉紀久雄氏)

新倉紀久雄氏

“100% Pure LP”をさっそく聴いてみた

本日、ジャズ喫茶「JAZZ OLYMPUS!」で行われた発表会では、“100% Pure LP”のテスト盤を試聴することができた。

ジャズ喫茶「JAZZ OLYMPUS!」のスピーカー(JBLのOLYMPUS)を使って試聴が行われた

通常のLPと比較すると、“100% Pure LP”の音は、整理されて見通しが良くなる印象。「ワルツ・フォー・デビイ」では、団子になっていた音がきれいにセパレーションされ、各楽器の音がクリアになるほか、客席のざわめきが背景に移動し、立体的な音場になったように感じられた。また、ドラムの音は粒立ちが良くなり、ウッドベースの輪郭は締まって力強さが生まれる。一聴して音の違いを体感することができた。発売は12月12日とまだ先だが、オーディオマニア垂涎の品となることは間違いない。“100% Pure LP”、ぜひご注目を。