チェロの生演奏とウッドコーンの共演

JVC、ウッドコーン新製品「EX-A300」説明会を開催 ー 特別試聴会の日程も発表

公開日 2012/02/09 17:39 ファイル・ウェブ編集部
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(株)JVCケンウッドは、2月3日に発表したビクターブランドの”ウッドコーンオーディオシステム”「EX-A300」の記者説明会を開催。2月に開催する一般向け特別試聴会のスケジュールも公開した。


ビクタースタジオで開催されたウッドコーンオーディオ新製品「EX-A300」説明会
新製品「EX-A300」は、木製素材のオーディオ的特長を活かして開発された”ウッドコーンオーディオシステム”シリーズの新しいフラグシップに位置づけられるモデル。JVCケンウッドのウェブショップ「ビクターダイレクト」の限定商品として販売がスタートしており、システムフルセットでの販売価格は229,800円(税込)になる。


ウッドコーンオーディオの最新シリーズ構成
今回の説明会は、フラグシップモデルの技術的な特徴と、JVCのハード側のエンジニアとビクタースタジオの音響エンジニアが共同でチューニングを行い、完成させたサウンドの魅力を記者向けに披露することを目的に開催された。

ウッドコーンとチェロの生演奏がコラボ − 原音再生の実力とは?


JVCケンウッド 安富稔氏
はじめにJVCケンウッド HM事業グループ 国内営業統括部 HAV部 営業企画グループ長の安富稔氏が新製品の企画意図を説明。「EX-A300」は”ウッドコーンオーディオシステム”の初号機にあたる「EX-A1」の発売から、今年で10年目を迎える節目に登場するモデル。アニバーサリーイヤーの”第1弾”として発売される本機について、安富氏は「ビクターブランドのオーディオ技術を結集させ、ハード側のアプローチと、音楽の演奏者、ソフトエンジニア側の思想を反映させて完成へと導いたフラグシップ」と紹介。業界動向については、オーディオシステム市場全体は軟調ながら、ウッドコーンの販売台数は近年増加傾向にあり、JVCケンウッドとしてもEX-A300をオーディオ事業の基幹モデルに位置づけながら成長を促進していきたい、と意欲を語った。


ウッドコーンの販売推移
本日の記者説明会は、東京・渋谷のビクタースタジオ「301スタジオ」で開催された。新製品「EX-A300」のチューニングに参加したスタジオエンジニアを代表して、ビクタースタジオ長の高田英男氏が音づくりの経緯を紹介した。


ビクタースタジオ長 高田英男氏
本機の音を作り込むにあたっては「はじめに音質に対する明確な基準が必要と考えた」という高田氏。ビクターでは制作現場でつくられる「マスター音源」をリファレンスに位置づけ、ソフトとハードの双方でその質感を共有しながら、ウッドコーンシステムの音を練り上げてきた。高田氏は「基準を明確に設けたことによって、開発者の思いが届けられるオーディオが完成した」と胸を張る。

近年ではウッドコーンオーディオの評価が、作品づくりに関わるアーティストやレコーディングエンジニアの間でも高まっているのだという。音楽作品をスタジオで録音する際には、多くの場合、スタジオに備え付けの大型モニタースピーカーと、一般家庭での再生状態をチェックするためのニアフィールドモニターを併用して音質をチェックするが、「最近はニアフィールドチェックのリファレンスにウッドコーンを指名いただくスタジオや、アーティストの方々が増えてきている。録音素材の良いところも悪いところもストレートに伝える、ウッドコーンの性能の高さが支持をいただいているものと考えている」と高田氏は語った。


本機の開発にあたって設けられた音質基準に関する説明

音楽制作の現場で活躍するウッドコーン
続けて「301スタジオ」で新モデルのデモンストレーションが行われた。本スタジオルームの特徴について高田氏は「50人規模のオーケストラも録音できるキャパがあり、どちらかと言えばアコースティック録音を中心に活躍しているスタジオ。奏でられた音がすべて細部まで見えてしまうタイトな音響空間」と紹介。本日は特別に「EX-A300」と、チェロ奏者の伊藤ハルトシ氏の生演奏によるコラボレーション試聴が行われた。


伊藤ハルトシ氏
デモでは、伊藤氏が事前に演奏した96kHz/24bit素材をウッドコーンで再生しながら、ところどころ演奏をカットし、ある空白のパートを伊藤氏の生演奏でつなぐ「すりかえ演奏」を披露。音響がデットなスタジオでの難しい条件下ながら、生演奏とスピーカーの音が絶妙にブレンドされ、「どちらが生演奏かわからなくなる」という声も聞かれたほど、ウッドコーンオーディオの再生能力が披露された。

スタジオ内の別室では、同社HM技術統括部 商品設計第二部 オーディオ技術G シニアエンジニアリングスペシャリストの今村智氏が登壇。新製品「EX-A300」のハードウェア側の進化について説明した。


JVCケンウッド 今村智氏
今村氏は、先代のフラグシップモデルにあたる「EX-A250」から、新製品A300の開発にあたって進化した点を紹介。スピーカーについてはユニットのエッジ素材に用いているブチルゴムの素材配合比率を見直し、より伸びやかで広い音場空間を実現した。

スピーカーシステム「SX-WD300」

バイワイヤリング接続/バイアンプ駆動に対応した


磁気回路背面に装着した制振用木材は材質と形状、取付位置などを変更(左側がA300のもの)

エンクロージャーのカットモデル
ウーファーユニット磁気回路の背面に装着している木材はチェリー材からメイプル材に変更し、取付位置を変えるとともに形状を八角形に変更。低重心で高解像な低音再生を追求している。トゥイーターユニットの背面に装着する板素材についても同様の改良をおこなった。ボイスコイルとウーファーユニットの端子線をつなぐ引き出し線は4N OFCを用い、伸びやかな音場空間を獲得。エンクロージャー内部の木製吸音材も再調整を行っている。


JVCのオーディオが追求する原音探求の理念

A300とA250の比較試聴も行われた
アンプ・プレーヤー部は異種金属組み合わせによる共振の分散など、徹底した振動対策を施した。レシーバー部は解像度を向上させるため回路部品を変更。そのた部品レベルでの振動対策も徹底している。

A300を開発するにあたり「新プレミアムモデル」を意識しながら、広い音楽空間の演出、解像感の向上など6つのテーマを掲げたという。今村氏は「”原音探究”は当社のオーディオ製品の開発理念だが、スピーカーは楽器でありたいという思いを胸に、原音を収録したマスター音源の質感を忠実に再現できるシステムを、ビクタースタジオのスタッフと一緒に追求してきた。マスター音源には、演奏者であるアーティストの思い、マスタリングエンジニアの思いが込められている。その思いの一つ一つを、本機で音楽を聴くリスナーの家庭まで、リアルに届けられるフラグシップが完成したと自負している」と語り、最新モデルの高い完成度をアピールした。

特別試聴会の追加スケジュールが発表に

同社では新製品「EX-A300」を、ショールームでの展示や特別試聴会などで披露する。

2月3日からは「JVCケンウッド丸の内ショールーム」にて常設展示が行われている。ショールームの営業時間は平日10時から18時まで、土日・祝日は11時から17時まで。

また「特別試聴会」も同ショールームで開催を予定している。こちらでは開発技術者による商品説明も行われる予定だ。3日の新製品発表時点で公開されていた、2月10日・11日のイベント以外にも、新たなスケジュールが公開されている。

・2月10日(金) 18:30〜19:30
・2月11日(土) 11:00〜12:00(1回目)/14:00-15:00(2回目)

・2月24日(金) 18:30〜19:30
・2月25日(土) 11:00〜12:00(1回目)/14:00-15:00(2回目)

入場は無料だが、参加定員は予約制となっており、25名まで。申し込みは下記まで。

JVCケンウッド丸の内ショールーム
TEL/03-3213-8775

また本日の記者会見が開催されたビクタースタジオでも、3月10日(土)に特別試聴会が予定されている。

イベント情報のアップデートは同社の特設サイトで公開されている。
http://www3.jvckenwood.com/audio_w/audio_event.html

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