山之内 正の独「HIGH END 2010」レポート

TAD、コンパクトなクラスDステレオパワーアンプ2機種を披露

公開日 2010/05/11 11:11 山之内 正
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フラグシップのパワーアンプとデジタルプレーヤーを昨年相次いで導入したTADはミュンヘンのショーでも常連ブランドの一つで、そのデモンストレーションは毎年非常に人気が高い。

今年は「D600」「M600」「Reference One」の3大フラグシップモデルを揃え、D600とミュージックサーバーの音源を中心に試聴会を実施、広大な部屋でスケールの大きいサウンドを披露した。

メインシステムではフラグシップ機を揃え、実在感が高く安定したサウンドをアピールした

同ブランドに唯一登場していないプリアンプは洗練されたデザインが目を引くConstellation Audioの製品を使用していたが、これはCESでTADのCR1を使用していたカリフォルニアの注目ブランドだ。

メインシステムの脇にCR1とともにさりげなく並んでいたのは2機種のステレオパワーアンプで、いずれもプロトタイプながら完成間近の仕上がりという印象を受けた。早ければ年内にも発売が期待できるのではないだろうか。

CR1とM4300、M2500を並べて展示。モノラルアンプではなく、いずれもステレオ構成のパワーアンプだ

正面から見る限り外観上は2機種の違いを識別することはできない。ベース部と筐体の2ピース構成はM600やD600と共通の意匠。ネジも放熱口も見当たらず、シンプルで美しいデザインだ。筐体はアルミブロックからの削り出し加工で作られている

2機種はチャンネル数が異なっており、4チャンネルアンプ/バイアンプ仕様が「M4300」、ステレオ仕様が「M2500」。アンプ回路はいずれもクラスD仕様である。電源から出力まで完全に左右をセパレートしたツインモノ構成でフルバランス回路を実現、M4300の出力は4チャンネル駆動時でチャンネル当たり300W(4Ω)、M2500はステレオ駆動時500W(4Ω)といずれも強大だが、クラスDなので筐体はコンパクトで低消費電力、放熱孔も見当たらないし、内部にはヒートシンクもないという。CR1のような中〜大型のハイエンドスピーカーを余裕で駆動する実力が期待できそうだ。コンセプトと設計思想から、次世代を担うアンプを作ろうという強い意志が感じられる。

M4300の背面パネル。入力、出力ともに4チャンネル分の端子を装備し、4チャンネルアンプとバイアンプの動作を切り替えるスイッチが左右入力端子の間に設けられている

M2500の背面パネル。M4300と同様、完全左右対称のレイアウトを採用している

そのほか、大容量トロイダルトランスを投入したアナログ電源、低発熱タイプのパワーMOSFETの採用など、技術的に注目すべき点が多く、正式発表が待たれる。

(山之内 正)

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