ハイエンドショウ2009レポート

PS AUDIO「PerfectWave」を集中デモ/Firestoneの小型プリアンプ/ORBから喋るレコード反り修正機が登場

公開日 2009/10/09 19:55 Phile-web編集部
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数多くのメーカー/ブランドの製品を展示している完実電気ブース。本項ではヘッドホン以外の展示のうち、サエクとアコースティック・リヴァイブ以外の出展内容を一気に紹介していこう。

■PS AUDIO

今回のショウで大きな注目を集めていたのが、米PS AUDIOの「PerfectWave」シリーズだ。春のハイエンドショウでも参考出展されていたが、音出しは行っていなかった。今回のショウでは同シリーズの音を実際に確認することができる。

トランスポート「PerfectWave Transport(PWT)」とDAC「PerfectWave DAC(PWD)」の2機種をラインナップする。価格はいずれも525,000円(税込)に決定したが、国内での発売時期は未定。ただし、10日(土)16時からPS AUDIOの社長が会場に入り、本シリーズのプレゼンを行うとのことなので、そこで発売時期について何らかのアナウンスがあるかもしれない。

上:「PerfectWave Transport(PWT)」下:「PerfectWave DAC(PWD)」

両機種の機能は春のレポートでお伝えしたとおりだが、革新的な機能を数多く備えている。まず外観から見ていくと、春はシルバー+ブラック天板モデルが展示されていたが、今回はオールブラックのモデルが展示されていた。

ユーザーインターフェースでは、両機種ともに前面パネルにフルカラー液晶タッチパネルを装備。グラフィカルなインターフェースで、豊富な機能をかんたんに使いこなすことができる。

トランスポートとDAC間は、HDMIケーブルを用いた「I2S」で伝送する。クロックとデータ信号を別々に送ることにより伝送エラーやジッターを低減できるというもので、HDMIの伝送デバイスには、I2Sデータ転送のためにPS AUDIOが独自設計したものが搭載されている。

トランスポート「PerfectWave Transport」にはCD/DVDドライブが搭載されている。「CDメモリートランスポート」という新名称を付けており、読み込んだデータはメモリーに蓄え、内部のPS AUDIOオリジナルのDDコンバーターで新たにクロックを付加し、DACへ転送するという仕組みだ。読み込み中にエラーが発生した場合、繰り返し読み取りを行うことでエラーを抑える機能も備えている。

また本機は、WAVデータを記録したDVDディスクの読み取りが可能。完実電気のデモでも、WAVを記録したDVDを再生し、その音質を確かめることができる。

なお本機はイーサネット端子やSDメモリーカードスロットも備えており、将来的にファームウェアアップグレードにより、対応コーデックを追加したり、機能を増強することも検討しているという。

DAC「PerfectWave DAC」はウォルフソン社製のDAC「WM8741」を搭載。抵抗にはPRP、コンデンサーには日本製の低ESRタイプのものを採用する。本機もタッチパネルディスプレイを備え、入力の切り替えのほか、サンプリングレートや5つのフィルターの切り替え操作などが可能。なお、各入力の表示名をカスタムすることもできる。デジタル入力端子はI2S対応のHDMI×2、光/同軸/XLRデジタル入力各×1、USB 端子×1を装備。アナログ出力はRCA/XLRを各1系統備える。

PS AUDIOの電源機器類も展示されていた

またPerfectWave DACについては、春の段階では、将来的にオプションとして発売予定の「ネットワークブリッジ」を接続することでインターネット/家庭内LANへの接続が可能になり、NAS内の音声ファイルを再生したり、ネットラジオの再生などが可能になるとも説明されていた。本機能の詳細も、PS AUDIO 社長のプレゼンで聞くことができるかもしれない。<以下10月13日に追記>予定通り、10日(土)16時からPS AUDIOのPaul McGowan氏を招き、PerfectWave Systemのデモが行われた。当日は、REFERENCE RECORDINGS からリリースされている176.4kHz/24bitのハイサンプリング音源が収録されている『HRx』ディスクを用いて、CDとの比較試聴を行っていた。

PS Audio社のPaul McGowan氏

デモに使用されたシステム

■横浜ベイサイドネット

横浜ベイサイドネットのコーナーでは、Firestone Audioのコンパクトなアンプ/DAC群が所狭しと並べられている。中でも注目は、サンプル機が届いたばかりという新製品、プリアンプ「Mass」(マス)だ。デジタルボリューム方式を採用し、赤外線カード型リモコンで入力切替やボリューム操作なども可能。入力はRCA2系統、出力はRCA1系統を装備する。発売は11月初旬を予定し、価格はオープンだが29,820円前後での販売が予想される。

プリアンプ「MASS」

またFirestone Audioでは、マルチDAC内蔵ヘッドホンアンプ「Fubar 4」のクリスマススペシャルバージョンも展示。本体の天板部にイラストが施され、クリスマス専用のボックスにパッケージングされるという。予約限定販売で、価格は27,300円(税込)。予約受付は11月16日まで、配送は12月中旬を予定しているという。

「Fubar 4」のクリスマススペシャルバージョン。写真はイエローだが実際にはシルバーモデルの販売を行う

そのほかにもFirestoneをはじめとした取り扱い製品が所狭しと並べられている

■イーエムシー

イーエムシーは、11月に発売予定の新製品として、アースラインノイズフィルター「SOUND NITE」を展示。価格は69,800円(税込)。ノイズを反射させずに、熱に変換して減衰する新方式を採用し、取り付け前と取り付け後で、最大34dBμAのノイズを減衰できるという。

アースラインノイズフィルター「SOUND NITE」

■クリプトン

クリプトンブースでは、スピーカー“Vigore”シリーズはもちろん、オーディオボード、インシュレーターなどの各種アクセサリーも展示。スピーカーについては、同社のフラグシップモデル「KX-1000」が完実電気全体のデモでも使用されているほか、KX-3の内部が確認できるカットモデルも展示している。

クリプトンコーナーではKX-3のカットモデルなどを展示

オーディオボードについては、天然材をベースに天然黒御影石を組み合わせた、7月に発売したハイエンドモデル「AB-9000」「AB-7000」(関連ニュース)をメインに展示。材質や仕上げの美しさを確かめることができる。

■光城精工

光城精工(KOJO TECHNOLOGY)では、数多くのオーディオ用電源機器を展示。クリーン電源「Aray MKII」(374,000円/税込)やそのスタンダードモデル「Aray6 MKII」(288,000円/税込)、また出力コンセントが2口で出力容量が200VAと、同ブランドの中でもっともコンパクトなモデル「Faily MKII」」(168,000円/税込)などを展示していた。さらに同社コーナーでは、ノイズイレーザー専用スタンドの開発試作品も見ることができる。

KOJO TECHNOLOGYの電源機器群

ノイズイレーザー専用スタンドの開発試作品

光城精工は青森県平川市に本社を構えているが、その縁から今回、津軽三味線の名手である笹川皇人さんがハイエンドオーディオショウに登場。完実電気のブースでライブ演奏が行われていた。

笹川皇人さんの三味線ライブも行われていた

■奥津電工

奥津電工は、AIR CABLEブランドのケーブルを大量に展示。同ブランドのケーブルはその名の通り、誘電率の低い空気を絶縁体に使用して音質を高めており、電源ケーブル「AIR-EX/1.5」(273,000円/税込)や「AIR-PS/1.5」(168,000円/税込)などを紹介していた。

AIR CABLEブランドのケーブルを出展した奥津電工

■BELDEN

ベルデンのコーナーには、主要ケーブルラインナップが一堂に会している。中でも前面に押し出していたのが、ステレオミニ - RCAケーブル「PRM-MR」シリーズ。デジタルオーディオプレーヤーやiPodの音を高品位に伝送するケーブルとしてアピールしていた。

BELDENはステレオミニ - RCAケーブルをアピールしていた

■TRN

TRNでは、6色のカラーバリエーションが用意されている管球ステレオパワーアンプ「Super 12」(126,000円)や、Melodyブランドの管球プリメインアンプ「SP3」(262,500円)などを展示。スピーカーも、同軸2ウェイの「A.E.R. Coherence MKII」を出展している。ただし同社代表の小林氏によると「いま最もご注目いただいているのは、なんといっても『A.E.R. ディスクエナジャイザー』」とのこと。数秒間ディスクを処理すると、音質の向上が得られるのだという。

左:管球ステレオパワーアンプ「Super 12」 右:管球プリメインアンプ「SP3」

同軸2ウェイスピーカー「A.E.R. Coherence MKII」も展示

■ジェーエイアイ

ORBブランドのアクセサリーを展開する同社は、10月9日に発売されるハンディ型静電気除去機“デスタットハンディ”「SN-03」を展示。電圧放電により生成されたイオンをファンで送り出し、CDやレコードなどに帯電した静電気を中和・除去するというもので、来場者の注目を集めていた。

ハンディ型静電気除去機“デスタットハンディ”「SN-03」

さらに、アナログディスク反り修正機“ディスクフラッター”の新型モデル「DF-03」も出展。発売時期はまだ未定だが、およそ15万円程度での販売を見込んでいる。本機の特徴は3つある。1つはより高精度な温度制御を実現したこと。2つめはディスプレイを備えたことで、状況を日本語で表示できるほか、温度のグラフなどもリアルタイムに反映される。3つめは「喋る」こと。操作状況を女性の声でアナウンスしてくれるので、誤操作が減るとともに、使っていて楽しい製品に仕上がっている。

“ディスクフラッター”の新型モデル「DF-03」

ディスプレイ部に温度変化グラフを表示する事も可能

また同社では、1入/出力・3入/出力を備えたオーディオ用セレクター「MC-S0」のブラックモデルも展示。価格は従来のホワイトモデルと同様、24,150円(税込)となる。

手前が「MC-S0」のホワイトモデル、奥が新しいブラックモデル

■ワイエスティー

ワイエスティーは、世界中のブランドから選りすぐった注目機器を展示。アナログターンテーブルは、独Scheu Analog(シューアナログ)社の「cello」を紹介。アクリル製のベースを採用したモデルで、ショートアーム用に設計されたコンパクトなモデルだ。価格は262,500円(税込)。

Scheu Analog(シューアナログ)社の「cello」

スピーカーは、英Stirling Broadcast社の「LS3/5a V2」を展示。同社のスピーカーはBBCのモニタースピーカーとして採用されており、本機はその系譜を継ぐモデルだ。さらにアンプでは、中国Xindak(シンダク)社の製品を紹介。プリアンプ「XA8250」(147,000円)と、モノラルパワーアンプ「XA8800MNE」(378,000円)を展示していた。

英Stirling Broadcast社の「LS3/5a V2」

中国Xindak(シンダク)社のアンプも出展

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