第93回「千代田チャリティコンサート」〜レコード伴奏によるジャズサキソフォンを堪能

2001/12/04
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<写真左>往年の名演奏を解説する尾田悟氏(右)と森山博氏(左) <写真右>熱心に耳を傾ける観客と、レコードの伴奏で演奏する尾田氏(円内)
●レコードは人類の貴重な資産だとして、アナログレコードを聴くチャリティー・コンサートが(株)千代田テクノル主催、オルトフォンジャパン(株)共催で毎月開かれている。「千代田チャリティコンサート」だ。オルトフォンジャパン社長の前園氏の呼びかけで始まった同コンサートも、11月21日に開かれたコンサートは93回目にあたるという人気ぶりだ。
 
今回はアナログの原点とも言える生演奏を交えた趣向で、日本のレスター・ヤングとして称えられるスイングテナーサックスの名手 尾田悟氏と、ジャズプロデューサー森山博氏をゲストに迎えた。

ジャズの歴史に名前を刻むサキソフォン・プレーヤーの名演奏をレコードで辿りながら、ゲスト二人のジャズ談議を聞く楽しい“ライブ&トーク”ショーだが、今回は「M・M・O」(ミュージック・マイナス・ワン)と呼ばれる珍しいレコード演奏をバックにした尾田氏のサックス演奏が聞きものとなった。

レコードとの絶妙なコラボレーションが披露されると、来場者は大きな拍手を惜しみなく送ってしばしアナログレコード再生とのコンボであることを忘れた。また、尾田氏は日本で一世を風靡した「ムードテナー」の名手としても知られている。CDでの再発のないため、今となっては珍しい尾田氏演奏のレコードの数々が再生されると、来場者は久しぶりにムード一杯のテナーサキソフォンの音色を堪能した。また、民謡を集めて尾田氏が吹き込んだという珍しいレコードから明治時代の俗謡「さのさ」が再生されると、ブルージーで咽ぶような演奏がジャズサックスと妙にマッチし、民謡や俗謡の奥行きを深く印象付けて、会場を新鮮な感動で包んでいた。

千代田チャリティコンサートは毎月第3水曜日午後6時から東京・御茶の水の(株)千代田テクノル/エントランスロビーで開かれている。次回は12月19日。ジャズ評論の悠雅彦氏とピアニストで作曲家の藤井郷子さんをゲストに迎える。同コンサートには参加申し込みが必要、お問い合わせは同事務局:TEL03-3816-5241。

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