感動を生む“クオリス”を提案し
追及し続ける新たな顧客価値創造


パイオニアマーケティング(株)
代表取締役社長 ※取材当時
現・パイオニア(株)顧問
校條亮治氏


プラズマモニター
PIONEER
KRP-600M


黒の圧倒的な表現力を実現したプラズマテレビ“KURO”で、AV専業メーカーならではの存在意義を世に問うたパイオニア。そのクオリティにさらに磨きをかけた渾身のプラズマディスプレイが、ビジュアルグランプリの特別金賞に輝いた。コンテンツ製作者の意図をあまさず伝え、お客様の圧倒的な感動体験をめざす。AV専業ならではの想いを、パイオニアマーケティングの校條社長に語っていただいた。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

■感動を生む"クオリス"をどこまでも提案していく

――特別金賞受賞、誠におめでとうございます。昨年のビジュアルグランプリに続く、連続受賞です。


校條 誠に有難うございます。この受賞によって、パイオニアは文化創造企業であるということを再認識し、そこから逃げてはいけないという思いを新たにしています。やらなければならないことはまだ沢山ありますが、ようやくいろいろな整理もつき、リソースを磨いてこれから専業としてのスタンスでやっていこうと思っています。こうして特別金賞もいただきまして、これを支えに、もう一度我々がやりたかったことに返っていきたいと思います。

昨年「パイオニア・プレミア・フェスタ」を敢行しましたが、我々が想像もしなかったほど大勢の方々に来ていただき、私どもの提案に多くのご共感をいただいたわけですから、我々の提案がそこにフィットしたということです。次はアーリーアダプターの方々に広げていくということが我々の役割だろうと思います。


――特別金賞となったKRP-600Mの画質には、高い評価が集まりました。

校條 クオリティの語源はラテン語で"クオリス"で、それは人間が本来持つべき品性的な意味だそうです。AVの世界はそういう意味でのクオリスをどれだけ提案できるかということだと思います。

私どもは今回渾身の力をこめてKRP-600Mというプラズマモニターをご提案しました。PDP-5000EXをご提案したときに特別金賞を2度も頂戴しましたが、私は本当に嬉しく、あの受賞を支えに私どもが進んでいくべき方向性が見えたという思いでした。それを糧とし、その方向性をもう一段進めていこうと今回の商品を提示したのです。

600Mはモニターとして、コンシューマーユースでは飽き足らないお客様に対して5000EXの思想をもう一段追求し、プロユースではなく、プロの方でも飽きのこない、どなたにでも使いこなしていただけるというところを目指した“プロシューマー”という発想でご提案したものです。

今回はスピーカーでも金賞をいただきました。また、SC-LX90やPDP-5010HD/6010HDなどでロングラン金賞をいただいております。私どもがやりたいことを明確にし、それをお客様に届けられるよう商品に表現して発売したということを、この様な形で評価していただき、非常に嬉しい思いです。


――薄型テレビの音ということに対しても、重要になってくるのがオーディオへの取り組みです。

校條 薄型テレビの音は、今は残念なことに、単なる付属物になっています。しかし今の薄型テレビに対する音の要求は非常に強まっているわけですから、私どもはここに照準をあてて、音をきちんと出せるディスプレイが必要だと思います。

我々は3年間かけてAV専業メーカーとしてのポジショニングを再構築してきましたが、量販店様にはB-07とプラズマテレビを組み合わせる音の良いホームシアターシステムを提案して参りました。音の重要性はますます高まっていますから、さらにグレードの高いものを提案していきたいと思います。

プラズマモニター KRP-600M
スピーカーシステム S-3EX-T


3つのステージで展開するピュアオーディオへの取り組み

――今後の、パイオニアのピュアオーディオに対する取り組みについてお聞かせ下さい。


校條 これについて、私は3つのステージをご提案してきました。まず1つはデジタルオーディオプレーヤーをホームオーディオにどうつなげるかというところで、これはオーディオへの入り口として重要であると考えています。それを表現した商品が昨年のZシリーズです。つぎはミドルステージということで、クオリティを要求されますが、A-A9やPD-D9といった2チャンネルのシリーズや、スピーカーではS-1EXからの継承であるS-3EXも発売しました。そして最上級クラスでは、こよなくオーディオを愛する方向けにTADを導入しました。

この2チャンネルのオーディオと、もうひとつ別のステージでオーディオを復活させたいというのが私の思いでしたが、それはまさにビジュアルとオーディオの融合です。これこそ本来パイオニアがやるべき仕事で、ここに大画面高画質ディスプレイと徹底的なハイフィデリティの音を融合させようというシナリオをつくっていました。そこにSC-LX90を出したわけです。

ともすると5.1chはオーディオとして邪道だと言われがちですが、そうではないと強く言いたいのです。ライブでのホール音響など、そこに本物のクオリスがあれば、それは決して邪道などではないということです。

LX90は技術の粋を集めましたが、技術の徹底的な進化を追求するのはメーカーの必然ですし、使命だと思います。技術をバックボーンにして、いかに高いクオリティの再生ができるかということになるわけです。最先端の技術を織り込み、かつアナログの音に絶対にひけをとらない音を作り上げたつもりです。その結果、高い評価をいただきまして非常に嬉しく思っております。

次はTAD-R1を鳴らせる2チャンネルのアンプにチャレンジしますが、これはもうしばらく待っていただきたいと思います。オーディオ復活のシナリオに入っていますから、必ず今期中に実現させます。

LX90ではサラウンドだということで馬鹿にされない、新しいオーディオの世界をつくりたかったのです。5月1日をサラウンドの日としていただいて、日本に新しいオーディオの世界を根付かせようという活動に入っています。LX90はその大きな土台になってくれるのではと思います。


――オーディオのマーケットのスケールはこのままではない。表に出ていない部分が沢山あると思います。

校條 それは企業側の怠慢であると思います。市場がないと言っているだけで、つくらなければ変わりません。iPodで音楽を聴く人は増え、ライブに人は足を運んでいるわけですから、音楽人口は減ってはいません。企業側が利便性のいいホームオーディオの提案をしていないのです。iPodからつなげる努力をしていないのです。オーディオはブームの頃から残ってこられたマニアの方だけの市場になったり、国内メーカーが撤退して輸入オーディオに依存するしかない状況になったりしました。メーカーがメーカーとしての責任を果たしていく必要があると思います。


――PASS会の近況についてお聞かせください。


校條 去年8月に立ち上げたときは186法人でしたが、現在では203法人になりました。同業者のメーカーの方々からも注目していただけるようになり、3社ほどの会社から新たに入会したいというご要望をいただいているようで、私は非常にいいことだと思います。

PASS会はパイオニアのPASS店から始まったわけですが、パイオニアの系列店をつくろうなどという思いは最初からありません。趣味趣向の強い業界の中では系列店がなりたつわけもなく、異質の文化の方 々にも入っていただいて大いに活性化されることが望ましいと思います。

私が就任してからの3年間、私どもの価値を店頭で本当に伝えていただきたいということを、量販店様にも直訴してまわりました。私がそういう話をさせていただいたとき、量販店の皆様も流通として何をなさりたいのかということを原点にもどって考えてくださったのではないかと思います。

私どもが無から有をうみだす新しい顧客価値創造をするというとき、流通様は流通様としての役割があると思うのです。その最先端にPASS会がなっていただけませんか、ということなのです。そこに専門店としての位置づけが生まれるのではないでしょうか。

お蔭様で3年前と比較すると、当社のPASS会の構成比は倍増し、売り上げも伸びました。私どもの考え方が少しずつ浸透してきたのだという思いです。そして私どもの商品が、流通様で受け入れるに値する商品だということでご評価いただき、その結果としてこうして賞もいただけたのだとすると、大変ありがたいと思います。

校條亮治氏 プロフィール
1947 年11月22日生まれ。岐阜県出身。 66年パイオニア(株)入社後、パイオニア労働組合中央執行委員長(専従)兼 パイオニア関連労働組合協議会議長、パイオニア(株)CS経営推進室長を経て04年6月パイオニア(株)執行役員CS経営推進室室長に。05年7月パイオニアマーケティング(株)代表取締役社長に就任、パイオニアの原点に立ち返り改革を推進。08年6月パイオニア(株)顧問。


【関連リンク】
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