■同時録画再生で、DVDビデオレコーダーの世界が大きく広がる

松下電器は、エポックメイキングなDVDプレーヤーを次々と世に送り出してきた。ポータブルもプログレッシブもDVDオーディオも、DVDの新しいカテゴリーに勇猛果敢に挑戦を続け、昨年夏にはこれも第一弾のDVD−RAMレコーダー、DMR−E10を市場に導入している。

本機はそのDMR−E10の後継に相当するモデルだが、たんなる後継機という位置付けには収まらない大きな存在だ。本機の登場を契機に、DVDビデオレコーダーの世界が大きく広がることは間違いないからだ。

■パナソニックは第2世代目で早くも実現してしまった

まず誰もが注目する同時録画再生機能を紹介しよう。ある番組を録画しながらその番組の冒頭から再生する追っかけ再生、そして、録画中にあらかじめ録画済みの他の番組を再生する同時録画再生を、民生用光ディスクメディアで初めて実現したのが本機である。

以前、DVDビデオレコーダーで録画同時再生機能を実現できないのか、あるメーカーの技術者に冗談半分で質問したことがある。ピックアップを2つ積むか、メモリをよほどたくさん積めば不可能ではないという返事が返ってきたが、実現の可能性は低いというニュアンスだった。ところが、パナソニックはDVDビデオレコーダーの2世代目で、はやくもその課題を解決してしまったのだ。

■ピックアップはひとつだけ! 大容量バッファで離れ業を実現した

ハードディスクレコーダーではおなじみの機能だが、ハードディスクに比べると転送レートが遅いディスクで、どうやってそれを実現したのか。まず念のために確認しておくが、本機のピックアップは1つだけ。RAMの記録再生に対応したシークタイム75msの高性能ピックアップだが、2つ積んでいるわけではない。ピックアップが1つということになると、必然的に答えはひとつ。大容量のバッファメモリを書き込みと読み出し時に利用し、そこから生じる時間差を利用して、録画しながら再生するという離れ技を実現したのである。

 

 

その原理は、上の図を見ると理解しやすいだろう。録画する信号を記録バッファにため、所定のデータ量に達した時点でディスクに書き込む。記録が終わった時点でディスクからデータを読み出して再生バッファにためておき、それが一定量に達したら、再び記録バッファのデータをディスクに記録する。この動作を繰り返すことで、録画も再生も中断させることなく、同時にこなすことができるのだ。ちなみに本機が搭載するメモリは256メガビット(32メガバイト)で、AV機器としては格段に容量が大きい。

この機能は、DVD−RAMの特性を最大限に利用したものだ。リアルタイムで途切れなく録画と再生を行うためには、バッファメモリの容量だけでなく、メモリへの書き込みと読み出しの転送レートが十分高くなければならない。DVD−RAMが22.16Mbpsという高い転送レートを実現しているからこそ、このマジックが現実になったと考えて間違いない。ハードディスクが1つのヘッドで同時録画再生を実現しているのは、光ディスクに比べて転送レートが格段に高いことに由来する。

■EPモードでは最大で約12時間の録画再生ができる

 

 

さて、本機の追っかけ再生機能、同時録画再生機能は、ビットレート約5MbpsのSPモードだけでなく、10Mbps固定の高ビットレートで記録するXPモードでも同じように利用できる。低ビットレートのモードだけなら前述の原理で動作自体は理解できるが、10Mbpsの記録モードでも実現したことには、パナソニックの開発陣の強いこだわりが感じられる。DVD−RAMでなければ実現できないことは確かだが、実現にはいろいろ難しい課題があったはずだ。それを見事にクリアしたことに対し、開発陣に敬意を表したい。なお、XPとSPのほかにビットレート約2.5MbpsのLPモード、約1.7MbpsのEPモードがあり、EPモード記録時は片面ディスクで最長6時間、両面ディスクでは12時間に及ぶ長時間記録もあわせて実現している。