iVDR-S採用“Wooo”新シリーズが目指した
新たなテレビ視聴スタイル
(株)日立製作所 コンシューマ事業グループ
デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部 本部長
吉野正則


HITACHI
プラズマテレビ
P50-XR01
液晶テレビ L37-XR01 


“Wooo”シリーズの最新薄型テレビ「P50-XR01」「L37-XR01」2モデルが、ビジュアルグランプリ2007SUMMERの金賞を受賞した。この春発売された新“Wooo”ラインナップの中でハイエンドに位置するもので、ともにフルHDパネルを装備している。P50-XR01はプラズマ、L37-XR01は液晶テレビである。

画質面での進化もさることながら、“Wooo”新シリーズの最大の特徴は、リムーバブルHDD「iVDR」を採用したことだ。著作権保護技術“SAFIA”に対応した「iVDR-S」を使えば、デジタル放送の録画やムーブなども自在に行える。

この2モデルの開発の背景について、(株)日立製作所 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部 本部長の吉野正則氏に聞いた。

インタビュービジュアルグランプリ審査委員/オーディオビジュアル評論家 大橋伸太郎
構成:Phile-web編集部


■ユーザーが求めるスタイルに応えたiVDR-Sの採用

−−今回、「ビジュアルグランプリ2007SUMMER」金賞を受賞した2モデルの最大の特徴は、やはりiVDR-Sの採用にあると思います。同時に発表されたHRシリーズ3機種にもiVDR-Sスロットが用意され、計5機種が世界で初めてiVDR-Sに対応したことになります。Woooシリーズは、以前から録画機能をテレビに取り込んで成功を収めてきたわけですが、今回の新モデルでiVDR-Sに対応された経緯を教えて下さい。

「iVDR-Sの採用には非常に良いタイミングだった」と吉野氏

吉野氏:「テレビのチャンネルを増やしたかった」というのが、開発段階での我々の思いでした。リアルタイムに流れてくる放送のほかに、録りためた番組を気軽に楽しめる環境があれば、テレビの使い勝手は格段に良くなるはずですよね。

そういう意味では、iVDR-Sを採用するには非常にいい時期だったと思うのです。音楽の聴き方を見ても、CDを1枚1枚取り替えるといった使い方から、iPodなどのデバイスへ大量に音楽を取り込み、消しながら使っていくというスタイルへ急速にシフトしています。こういったお客様の変化に、テレビも対応していく必要があります。

そうなってくると、HDDの容量は多ければ多いほど使い勝手が良いことになります。我々はこれまで、XCodeHDという技術により、同じHDD容量で2倍程度の録画時間を可能にしてきましたが、もとのHDDが250GBでしたので、一部にはこれでは足りないというご意見もありました。

内蔵HDDの容量を増やすのは特に難しいことではありません。ただし、いくら容量を増やしても、結局すぐにいっぱいになってしまい、消さざるを得なくなる。録りためておいたものを別のメディアにムーブすることができれば、その必要がなくなるわけです。この問題を解決するために、以前からリムーバブルメディアで良いものがないか探してきました。安価かつ手軽に使え、しかも著作権保護に対応しているものが望ましい。そんな時にたまたま、iVDR-Sが採用している著作権保護技術「SAFIA」が(社)デジタル放送推進協会の認証を取ったと聞き、具体的な検討に入りました。

iVDR-Sを使えば、カートリッジを追加することで、いくらでもHDD容量を増やすことができます。また、たとえばご家族で、一人一人のiVDR-Sを持っておけば、コンテンツを個々人で管理することもできる。そこで、どちらが良いかお客様に聞いてみようということで、1TBの内蔵HDDか、内蔵HDD+iVDR-Sのどちらが良いか尋ねてみたところ、圧倒的に内蔵HDD+iVDR-Sの方が人気があったのです。

プラズマテレビ「P50-XR01」 液晶テレビ「L37-XR01」

■「iVDR-Sは一度使うと手放せなくなる」

−−なるほど。iVDR-Sの採用は、綿密なリサーチの結果なのですね。実際に今回の製品を発売してみて、iVDR-Sに対するユーザーの反応はいかがですか?

吉野氏:反応はとても良いですね。今後、iVDR-Sをかんたんに手に入れられる環境を作っていきたいと考えていますので、そうなればますますご利用いただける機会が増えるのではないかと思います。現在、テレビと同時にiVDR-Sを購入される方は10%前後ですが、将来的にはこれを20%にしていきたい。また、内蔵HDDがいっぱいになってからiVDR-Sを買われる方も多いと予想しており、将来的な付帯率はかなりの程度になると思います。

iVDR-Sは日立マクセルから160GBと80GBの2モデルが発売されている 大橋氏は自宅でP50-XR01を使用しており、「iVDR-Sは一度使うと手放せない」とのこと

−−自宅でP50-XR01を使用していますが、iVDR-Sを一度使うと手放せなくなりますね。ウチでは、小学生の娘がさっそく自分のiVDR-Sを活用しています。夜遅くに娘が見たがるテレビ番組があっても、手軽に録画できる環境があれば、「録画しておいて後で見なさい」と言うことができますね。

吉野氏:我が家では、たとえば9時からの番組を録画しておいて、そのあいだお風呂に入り、10時から見始める、といった使い方をしています。タイムシフト的な使い方ですね。このような使い方の場合、外付けのレコーダーに比べて圧倒的に便利だと思います。

■目指したのは明るいフルHDパネル

−−では、今回のXR01シリーズ2機種の画質についてお話をうかがいたいと思います。まず大きな特徴は、どちらもフルHDパネルを搭載していることですね。特に「P50-XR01」は、Woooとして初めて、50V型のフルHDパネルを搭載しました。このパネルについて詳しく教えて下さい。

日立独自のALISパネルは1080iなど放送ソースとの相性が良いという

吉野氏:「明るい50V型フルHDパネルを作ろう」というのが開発目標でした。テレビには明るさがどうしても必要です。ただし、1,920×1,080のフルHDパネルを作る際には、発光セルが非常に微細になりますので、普通にやると暗くなってしまう。そこで明るさを維持したまま、解像度を引き上げるため、様々な工夫を施しました。

−−なるほど。Woooのプラズマテレビは、以前からALIS方式という独自の発光方式を採用しています。今回の50V型フルHDパネルもALIS方式ですが、これによってどのようなメリットが生まれるのでしょう。

吉野氏:まず、ALIS方式はとにかく発光スピードが速いという利点があります。また、奇数ラインと偶数ラインを交互に発光させますので、デジタル放送とのマッチングが非常によいのも強調したいポイントです。放送は1080iのインターレース信号が使われていますから、同じような原理のALIS方式との相性が良いのです。

また、パネルを発光させるアドレス電極についても、パネルの片側のみに装備するシングルスキャン方式を採用しているので、部品点数が大幅に削減できます。これによって、パネルの製造コストが下がり、よりお求めやすい価格で製品をお届けすることが可能になります。

−−従来、プラズマは外光の映り込みに弱いと言われていましたが、これについても改善していますね。

吉野氏:はい。新たに開発した「ファインブラックフィルター」により、映り込みは大幅に低減しています。リビングルームなど明るい環境でも、鮮明な映像を表示することができます。

■動画ボヤケに強く視野角の広い液晶テレビ「L37-XR01」

−−次に液晶テレビ「L37-XR01」についてうかがいます。IPSα方式のパネルを使われていますね。

店頭でも写真のようなデモ動画を使ってスーパーインパルス技術をアピールしている

吉野氏:そうです。IPSαパネルは、非常に視野角が広いのが特徴です。他方式でも、視野角として176度などと表記しているものがほとんどですが、計測時に、コントラスト比が10対1程度あれば、そう書いて良いことになっているのです。それに対してIPSαパネルでは、最も広い角度の時でも100対1以上のコントラスト比を実現しています。つまり、横方向から見たときの画面は、IPSαパネルの方が圧倒的に鮮明ということになりますね。

−−液晶テレビの問題として取り上げられることの多い、動画ボヤケについてはいかがですか。

吉野氏:本機には、60コマの映像を120コマに変換し、間に黒い画像データを挟み込む「スーパーインパルス」という技術を搭載しています。120コマ表示は現在、液晶テレビのトレンドになっていますが、他社さんのモデルの中には、コマ数を2倍にする際、演算で途中のコマの映像を生成するものもあります。大きな画面でじっくり見比べていただきたいのですが、この方法は、動画ボヤケを改善するという意味では、効果はそう大きくないと思います。特に大画面の液晶テレビでは、その傾向が顕著です。

■映画ソースのガタ付きをなくす「なめらかシネマ」は今後のトレンドに

−−今回のXR01シリーズには、映画の24コマの映像から60コマの映像を生成し、なめらかに表示する「なめらかシネマ」という機能が装備されました。これはどういった経緯で開発されたのですか。

吉野氏:これまでのテレビで映画を見ていると、特に50V型を超える大画面テレビでは、映像のガタつきが非常に気になりました。今後薄型テレビがもっと大きくなると、これはもう見ていられなくなる。何とかしなければということで、映画ソースを滑らかにする機能を開発しました。これは、今後の薄型テレビのトレンドになるものと自信を持っています。店頭でもデモをご覧頂けますので、ぜひ一度ご体験いただきたいと思います。

「人々の生活を変えるような機器を作りたい」と語る吉野氏(右)と大橋伸太郎氏(左)

−−BDプレーヤーでは、映画の24コマの映像をそのまま出力する機能が搭載されて始めています。テレビ側で、これを72コマや120コマなど整数倍にして表示するという考え方もあります。

吉野氏:その場合は、同じコマが何度も表示されるわけですから、どうしてもガタ付きは避けて通れない。根本的な解決にはなりませんね。映画館の場合は24コマの映像でも自然に見ることができますが、あれはスクリーンで反射された映像を見ているからであって、パネル自体が発光するテレビでは、また別のソリューションが必要になるはずです。

−−最後に、Wooo 薄型テレビの今後の展開を教えて下さい。

吉野氏:まず、最大のテーマはネットワークですね。ただし、拙速は慎むべきと考えています。業界全体で規格をしっかりと作ってからでないと、規格が変更された場合、あとからバージョンアップできることにも限界がありますから、お客様にご迷惑をかけてしまいます。テクノロジーありきではなく、実際にお客様が便利にお使いいただけるものを見極めて、製品に反映していきたいと思います。

我々が目指しているのは、人々の生活を変えるような機器を世に出すことです。そのためにはテクノロジーの進歩はもちろんですが、発想の転換が必要となります。そのために、今回のiVDR-Sのような試みを続けていきたいと思います。

−−本日はありがとうございました。

関連リンク
日立製作所 Wooo 情報ページ
Phile-web「Wooo WoRLD」