名門復活!上級機に匹敵する音楽再生を実現したAVアンプが登場
1980年代末の第1期AVブームで“AVアンプ”というジャンルを立ち上げた1社がケンウッドだが、1990年代以降国内ではずっと控え目な存在だった。しかし、世界的にはそうではない。筆者が毎年取材に訪れたホームシアターの中心地、北米ではカスタムインストーラーの間でケンウッドへの信頼は厚く、個人宅の豪華なディディケーテッド(専用室)ホームシアターの主役は決まって同社のDVDチェンジャーである。そんな同社から、日本ビクターとの経営統合を経て、技術開発合弁会社「J&Kテクノロジーズ(株)」を設立、早くも新会社の技術成果を採用したAVアンプが登場した。正に名門復活となる製品こそが、IFA2008で初公開されたAVコントロールセンター「KRF-V9300H-S」である。
本機はドルビーTrueHD、ドルビーデジタルプラス、DTS-HDマスターオーディオ、ハイレゾリューションといったブルーレイディスクのHDオーディオに対応し、さらにドルビーバーチャルスピーカー、ドルビーヘッドフォンにまで対応する。
「KRF-V9300H-S」はJ&Kテクノロジーズ(株)が開発したHDMI/DSPモジュールを搭載した。Ver.1.3のフルHDビデオ信号、HDオーディオへの対応の他、DeepColor、1.3aのHDMI-C.E.C.機能にも対応、ビエラリンクへの対応を保証している。DSPには32ビットの浮動演算素子を採用。音楽再生の地力を高めるためにフロントチャンネル・パワーアンプ部は、ケンウッドのオリジナルトランジスタ“New Linear TRAIT”によるディスクリート構成とし応答速度を高め、低域に余裕と厚みを持たせた。
他に、各チャンネルに対して最大128ポイントの周波数補正を行う自動音場補正機能「AUTO ROOM EQ」、音と映像のズレを補正するリップシンク機能、別売のiPod接続ケーブル「PNC-iP120」の使用でビデオコンテンツまで再生できるiPodコントロール機能も忘れてはならない。
84,000円という価格にして、CDの印象はすこぶるいい。仲道郁代の弾くベートーベンのピアノソナタに聴く和音の分解能、音の厚味、重みは立派。SACDのクレア・マーティンは本録音の身上である歌声とバック伴奏の生々しさは上級機並に確保している。
そして本機の目玉機能が、“ピュアオーディオモード”。オンにすると印象がガラリと変わる。クレア・マーティンはボーカル音像定位が高くクッキリとして、声のくすみ、もやつきが消え、歌に触れられそうな実在感が備わる。ブルーレイディスク『小澤征爾+ベルリンフィル』で感心したのは、リスニングポイントまで音が力強く迫ってくること。映画BD『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の油井爆発シーンは、価格を疑わせるスペクタキュラーな描写でBD鑑賞を楽しませる。