
| 2006年12月にケンウッドより発売された“Kseries Esule”は同社ハイコンポ製品の最上位シリーズだ。もともと高い性能を誇る本製品だが、本企画ではこのEsuleの実力をさらに引き出すべく、様々な試みにより「チューンナップ」を図った。
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シンプルでありながら、上質な大人のサウンドが欲しい。そんなニーズにぴったりな高級コンポがケンウッドの“Kseries Esule”だ。かつてハイコンポと呼ばれたカテゴリーだが、ここへきて復活の兆しがあり、本機はその決定版といえるものだ。
CDレシーバーのR-K1、小型スピーカーLS-K1のコンビから構成される本システムには、同社の伝統と革新のノウハウが凝縮されている。R-K1はコンパクトな筐体にCDプレーヤーとFM/AMチューナー、それに38W+38Wの定格出力をもつプリメインアンプを一体化。優雅なフォルムにまとめられているが、内容は本格派だ。CDメカ部をアンプ系から切離し相互干渉をカット。フルバランスの伝送回路を有するアンプ回路にはWolfson社製の電子ボリュームを投入し、セパレーションを向上させている。
LS-K1は12センチのハイブリッド クロスカーボン ウーファーをベースとしたバスレフの3ウェイだ。スーパートゥイーター/トゥイーターは独立したキャビティをもち、ウーファーの排圧をカット。高密度のMDF+突き板仕上げのエンクロージャーも美しい。 |
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| CDレシーバー「R-K1」。必要最小限に抑えられた操作部はシンプルかつ高いデザイン性を備えている |
スピーカーシステム「LS-K1」。3つのユニットを高密度MDF材が支える |
セッティングは至ってシンプル。試聴は音元出版オーディオ試聴室で行った
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今回のテーマは“チューンナップ=使いこなし”だ。あわせて約30万円のセットだが、このクラスであればケーブル交換やスピーカースタンド、インシュレータなどによる振動対策といったチューニングによってさらなる魅力、潜在能力が引き出せるはずである。逆の言い方をすれば、ポテンシャルの高いコンポほど、そのアクセサリーの実力が如実に表われるということでもある。 ケーブル交換といっても、プレーヤーとアンプは直結されている(これが一体型のよさだが)から、ラインケーブルはとりあえず不要。CDダイレクトモードならば信号経路が最短となり、ベストコンディションでの再生となる。 ◆ケーブル交換【スピーカーケーブル】
まず換えてみたいのはスピーカーケーブルである。付属のケーブルをMONITORの「AtmosAir
309C」に交換してみた。メートル単価1,260円の手頃なOFCで、これがかなりの効果である。ちょっと細身と感じていたボーカルの芯がしっかりとし、ウッドベースのダンピング感が向上。アンプの駆動力がムダなく伝わる印象だ。クラシックは多芯ケーブルらしい繊細で軽やかなニュアンスも表情の中に出ている。全体にアップグレードされた感じである。
よいケーブルになるほど歪みや雑味感がとれ、サウンドが純化される傾向だが、思いきってスープラの最高級、「SUPRA
SWORD」を使ってみようか。これは1.5m/ペアで6万円弱、特殊な巻き方で表皮効果を抑えてあり、高域でのシグナルロスも極小。さすがにトランジェントが優秀だ。全域でフェイズ(位相)が揃う感があり、ユニット間のつながりが一層スムーズ。まさに「1本のスピーカーが鳴っている」という感じだ。ワイドレンジであることはいうまでもないが、さらに空間表現についても3次元の広がりをもつ。LS-K1の素質がみごとに引き出された印象である。
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| スピーカーケーブル端子は筐体の両端に対置されている |
「SUPRA SWORD」でも実験。高性能なケーブルを使うと、Esuleの音質の高さが浮き彫りになる |
ジャズ、クラシックのソースを使って音の変化をチェックした |
◆ケーブル交換【電源ケーブル】
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| R-K1は電源ケーブルも着脱可能。写真はオーディオテクニカ「AT-RP3300/2.0」を接続しているところ |
次に電源ケーブルはどうか。エネルギー供給とS/Nの面で影響が大きいのが電源ケーブルだ。電源系へのノイズの飛び込みは無視できないものである。付属のケーブルからオーティオテクニカの“アートリンク・シリーズR”「AT-RP3300/2.0」に交換してみた。反転撚り構造で高解像度というのがウリ。これはぐっと密度が増すような手ごたえを感じる。ジャズに厚みと弾力感が増し、リズムの流れがスムーズになる。楽器のボディ感やサイズ感が一層しっかりして、空間感や実在感が高まるのが高級パワーケーブルのメリットだ。
ではキャメロット・テクノロジーの「PM-900」ではどんなパフォーマンスをみせるのか。フラックスパワーコンディショナーと呼ぶフィルター回路をもつ超ハイグレード品である。これが136,500円。ちょっとありえない組合せではあるが実験として興味深い。まさにほとばしるサウンドである。音楽そのものがどっと流れ出るようで、空間の奥の奥まで見通せる透明さは秀逸。ざらつきや変調感といった要素がすっきりと拭い去られる。アンプ自体のS/Nもひと桁上がったような効果である。
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アンプとスピーカーがしっかり噛み合ってきたところで、振動対策といこう。ここではまずR-K1に対してfo.Qのハイブリッド型ボード「AB-4045R」を敷いてみよう。真っ赤なボードが、お洒落なEsuleとみごとにマッチ。もちろんサウンドの方も、AB-4045Rの高い振動処理効果で濁りや滲み感のないすっきりとした出方に変わっている。特にCDドライブに効くようだが、アンプについてもぐっとふんばりが効き、逞しさを感じることができた。
一方スピーカーだが、スタンドはTAOCの「ESTシリーズ」で土台をしっかりさせたうえ、fo.Qのスペーサー
「G-53F」を間に挟んでチューニングしよう。ESTシリーズの良さはむやみに制振一点張りとするのではでなく、音楽的な響きや深みを引き出してくる点だ。支柱内部の鋳鉄粉の粒度や比重にもこだわったという。これとは別に、ウッド系のスタンドなどを使ってみるのも味わいの点で魅力的かもしれない。好みにもよるが、fo.QのスペーサーはLS-K1と相性バッチリに感じる。これを4点支持で使ってみたが、音像・音場の精密さとともに、色づけ感のないナチュラルなステレオイメージを楽しむことができた。 |
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| Esuleのモダンなデザインがカラフルなオーディオボードにマッチした |
TAOCのスピーカースタンドにLS-K1を設置 |
スぺーサーは4点もしくは3点で支持。振動を制御することでスピーカー本来の音を引き出そう |
打てば響くようなエシュールの音の変化は、聴き手にとって楽しい。やりがいもある。それだけレスポンスに優れ、潜在能力が高いという証拠であろう。これは一つの考え方だが、ケーブルやスタンドをグレーアップすることで「音がよくなる」のではなく、あるべきベストの状態に近づくのである。あなたがEsuleの愛用者なら、ぜひトライすべきだ! |
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林 正儀 Masanori Hayashi |
| 福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術
系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホー ムシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題
をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。主な著作に「レーザービジョン ディスク入門 AV新時代を拓く」(啓学出版刊)や「ビデオとビデオディスクプレー
ヤーの選び方」(音楽之友社刊)がある(これはLDのハードウェアを国内で最初に 紹介した本)。自宅視聴室に3管式プロジェクターとD-ILAプロジェクターを常設し、ホームシアター研究のための努力と投資は人一倍。フルート演奏が趣味という一面もある。 |
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CDレシーバー R-K1 199,500円(税込)
<アンプ部>●定格出力:38W+38W(20Hz〜20kHz、0.07%、6Ω)、45W+45W(20Hz〜20kHz、0.07%、4Ω)
●実用最大出力:55W+55W(JEITA 6Ω)、70W+70W(JEITA 4Ω) ●全高調波歪率:0.015%(20Hz〜20kHz,10W、6Ω)、0.003%(1kHz,10W,6Ω)
●SN比:105dB(AUX、TAPE、MD、D.AUDIO)、95dB(PHONO)<CD部>●周波数特性:20Hz〜20kHz
●SN比:110dB以上 ●ダイナミックレンジ:100dB ●再生可能ディスク:CD、CD-R、CD-RW(CD-DAフォーマット)<総合>●定格消費電力:120W
●外形寸法:約280W×151H×407Dmm ●質量:約9.6kg
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スピーカーシステム LS-K1 98,700円/ペア(税込) ●形式:3ウェイ3スピーカーシステム、バスレフ方式 ●防磁設計(JEITA) ●定格インピーダンス:6Ω ●定格入力:40W ●最大入力:80W ●ウーファー:12cmコーン型 ●トゥイーター:2.5cmソフトドーム型 ●スーパートゥイーター:2cmハードドーム型 ●出力音圧レベル:85dB ●再生周波数特性:45Hz〜40kHz ●クロスオーバー周波数:3kHz、20kHz ●外形寸法:180W×330H×275Dmm ●質量:約5.7kg(1本) ≫Phile-web 製品データベース ≫KENWOOD の製品サイト |
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