世界最“X”の技術を搭載した話題の商品を積極提案し市場を活性化したい

ソニーマーケティング(株)
代表取締役社長
宮下次衛氏


液晶テレビ
SONY
XR1シリーズ


4つのラインナップ展開を図る〈ブラビア〉新シリーズをはじめ、ブルーレイ、AVアンプ、プロジェクターなど多くの商品がビジュアルグランプリ受賞を果たした。ソニーハイビジョンワールドの完成をみた今、ソニーが次に目指していくものは何か。受賞の感想とともに、ソニーマーケティングの宮下社長にお話しを伺った。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

豊富なラインナップで新提案の展開を図る

――このたびの特別金賞受賞、おめでとうございます。


宮下 ありがとうございます。〈ブラビア〉XR1シリーズで特別金賞を頂戴したというのは、まさに特別な思いです。大変嬉しく、光栄に思っております。我々自身、ソニーの〈ブラビア〉の中でハイエンドの商品と思っておりますから、それに対する特別金賞ということで、本当に感激しております。

XR1シリーズで採用したRGBのLEDバックライトについては、4年前に一度チャレンジしたという経験があり、蛍光管とは違う色域があるということも認識しておりました。しかしさらにそれを部分駆動させて100万対1以上のコントラストを実現したことで、正直私自身がその発想に驚きました。実際に映像を観て、ハイエンドにふさわしい画が出ていると思います。そこが特にAVファンのお客様にご評価いただいているのではないでしょうか。


――薄型テレビの最初のインパクトが浸透してしまうと、どうしても価格のバランスが崩れてきます。しかし新しい提案をすることにより、別の価値が生まれます。金賞モデルであるKDL-40ZX1も素晴らしい商品ですね。


宮下 この商品は薄さ9.9ミリというのが大きな特長ですが、さらにすごいところはワイヤレスの技術です。これで壁掛け設置がより現実的になります。

薄型化のためにエッジライト方式が採用されているのですが、かつては携帯電話のディスプレイ程度の大きさにするのが限界であり、今回の商品で40インチのサイズにしたということ、さらにハイビジョンディスプレイにしたことで、大変な進歩を遂げました。次へのステップを大きく踏み出した商品であり、高付加価値のところで横の拡がりができたと思っております。

年末の〈ブラビア〉のラインナップは「世界最“X"」商品を含む、こだわりのハイエンドモデルを4シリーズ揃えた“T"字型の構成です。商品展開については、将来的にはすべての機能を一つのモデルに組み込む方向を目指さなくてはならないかもしれません。しかし、価格もある程度考慮に入れて、現状でのベストに近いラインナップをお客様にご提案できたかと思います。


――今回はブルーレイも高く評価させていただいており、レコーダーですべての新技術が採り入れられたBDZ-X100に金賞を授賞致しました。一方、プレーヤーのBDP-S5000ESも金賞となっております。ソニー製で国内初のBDプレーヤーであり、ハイファイオーディオの数々の製品につけられたESが型名に入っているところに、思い入れが感じられます。


宮下 我々はホームシアターも相当意識しております。本格的に楽しむ方にとって、ハイエンドのBDプレーヤーは必要であると考えました。マーケットはまだ小さいですが、必ず需要はあると思っております。このマーケットには夢がありますし、購入されたお客様は必ず楽しまれています。

 
SONY BDレコーダー BDZ-X100   SONY BDプレーヤー BDP-S5000ES


――AVアンプ、BDプレーヤーともにエントリーモデルも銀賞、銅賞を受賞されました。ホームシアターがソニーブランドとしてトータルで、しかも入門層に対してもアピールできる状況が整ってきました。

宮下 日本はレコーダーのマーケットであり、BDプレーヤーのBDP-S350のクラスはニーズとしてそう多くはないかも知れません。けれども、フォーマットの提唱メーカーとして、プレーヤーもラインナップを揃えるべきだと考えました。ホームシアターファンから2台目需要などシンプルなBDプレーヤーを求める方までお客様の声にお応えしたつもりです。

また、ホームシアターは北米で大きなマーケットがあり、日本でもそこと商品をある程度共通化させることにより結果として、お客様に色々なラインナップをご呈示できるという強みがあります。日本のマーケットも徐々に大きくなってきていますし、幸いなことに全国にあるホームシアター専門店様とも連携を密にとっていきながら、きちんと展開していけると思っております。

薄型テレビもサイズの大型化が顕著になってきており、購入されたお客様も次はもっと大きいものを、という希望をもっておられるのを感じます。そこからプロジェクターに対する要望も増えていき、2WAYシアターの展開も期待できるのではないでしょうか。SXRDプロジェクターのVPL-VW80に金賞のご評価をいただいたことも、大きな励みになります。


――年末商戦に向けてはいかがでしょうか。

宮下 昨今の状況は100年に1度の金融危機と言われており、耐久消費財に対する購買意欲は低下傾向にあります。このような厳しい環境ですが、AV業界は比較的恵まれていると私は感じています。特に薄型テレビとBDレコーダーの需要に関しては毎月前年比を上回っている状況で、年末商戦も期待できると見ています。

そのためにはメーカーもプロモーションに力を入れて、お客様が販売店様に足を向けてくださるような、活動をしなくてはなりません。当社の場合は昨年以上に積極的なプロモーションを展開していきます。


SONY 液晶テレビ XR1シリーズ


大々的なプロモーションで需要を喚起

――御社が今年矢沢永吉さんを起用して展開されたテレビコマーシャルは、ブルーレイに対するお客様の意識を身近なものに変え、年末商戦も非常に期待できる状況となっていますが、その先を見据えた展開についてはどうお考えですか。


宮下 BDレコーダーは今年、完全に市民権を得たと思います。台数ベースでの直近の状況をみても、レコーダーの中で半分以上を占めるほどになっています。

そういうステージに入ったブルーレイの次の策ということでは、まずは「何でもブルーレイに入れる」ということを提案しています。テレビ番組を録画するだけでなく、静止画も、カムコーダーで撮った動画も全部BDへ入れてリビングルームの大画面で楽しみましょうということです。

当社のBDレコーダーは4シリーズあり、中でもLシリーズは、サイバーショットやハンディカムで撮った映像をハイビジョンで残して楽しめるということで大々的にプロモーションしています。メモリースティック、SD、CFカードとマルチスロット対応の部分が非常に好評ですね。年末に向けては、こういった連携のところを積極的に展開していこうと思います。

それとBDのマーケットを本格的に広げていくには、やはり価格も考慮してエントリー層向けのモデルを用意することも大切です。差異化モデルとエントリーモデルの展開この2つのことを着実に行っています。


――何でもBDレコーダーに入れて、〈ブラビア〉の高画質で楽しむというストーリーができ上がります。テレビとBDレコーダーもセット販売しやすい環境になってきました。

宮下 我々は、個々の商品を強くするとともに商品をつなげて新しい楽しみ方を提案する群の提案を強化しております。群として特にわかりやすいのは〈ブラビア〉とBDレコーダーのセットの訴求です。

また、私どもでは〈ブラビア〉やBDレコーダー以外にもシアタースタンドシステム、サイバーショット、α、ハンディカムなどつながる商品もたくさんありますし、ハイビジョンの楽しみの全体を提案できるポジションにあるメーカーだと思っております。そしてAVアンプもスピーカー類も揃えておりますから、画と音の両面でエンターテインメントをご提供できます。そこは我々のアドバンテージですから、積極的にアピールしていこうと思っています。

景気は厳しくなりつつありますが、こういう時にこそ我々は明るく騒いでいこうと思います。マーケットに刺激を与え元気にしていきたい。それこそが使命だと思っております。

宮下次衛氏 プロフィール
Tsugie Miyashita
1950 年8月1日生まれ。鹿児島県出身、九州大学経済学部卒業。73年4月ソニー商事(株)入社後、四国ソニー販売(株)代表取締役常務、ソニー(株)国内営業本部ゼネラルオーディオ営業部統括部長、ソニーオブカナダ副社長、ソニーマーケティング(株)デジタルテレコミュニケーションビジネスセクタープレジデント、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)常務取締役を歴任。03年4月に現職であるソニーマーケティング(株)代表取締役社長に就任し、現在に至る。


【関連リンク】
 ソニー製品情報
  http://sony.jp/
 Phile-web「Sony Arcade」
  http://www.phileweb.com/sony/