専業メーカーの在り方として
体験と感動を提供し続ける


パイオニアマーケティング(株)
代表取締役社長
山崎一彦氏


プラズマディスプレイ
PIONEER
KUROシリーズ


プラズマテレビ“KURO"で、専業メーカーならではの価値を余さず伝えていく価値訴求マーケティングを薄型テレビ市場で展開、一石を投じたパイオニア。ビジュアルグランプリにおいて“KURO"での特別金賞連続受賞を果たした同社の受賞に対する思いを、パイオニアマーケティングの山崎社長に語っていただいた。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

専業メーカーの在り方として体験と感動を提供し続ける

――特別金賞受賞、誠におめでとうございます。昨年に続いての特別金賞受賞です。薄型テレビにおける付加価値市場の創造を、商品をしっかりとつくり上げ、それに見合う価格をきちんとご提示されているという姿勢で示されています。“KURO"が素晴らしいということはもちろんですが、そのマーケティング活動全体に対する授賞ということでもあるのです。


山崎 ありがとうございます。“KURO"に対して、皆様方に連続で高いご評価をいただいたことに大感激大感謝致しております。我々の活動にお力添えとご評価をいただいていることを実感し、素直に嬉しい思いでいっぱいです。

賞を頂戴したことと同時に、支え続けていただいているご販売店様を始めマスコミの皆様、そしてパイオニアの“KURO"を支持してくださるお客様に対して、大変感謝しております。私どもでは価値訴求営業と言っておりますが、“KURO"の価値をお客様に評価していただくとともに、我々も胸を張ってご提供しており、それを皆様に支えていただいているということを改めて実感しております。

“KURO"については、お客様に体感をしていただくイベントであるプレミアフェスタを今年は東京と大阪で実施しましたが、今年はお客様の滞留時間が長くなったということと、お客様の大多数が初めて訪れる方だったという変化がありました。それはwebの力に負うところが大きいと思います。ファイル・ウェブを始め、webには新しいお客様の発掘や出会いの場を創造するパワーがあり、メーカーとして改めて自分たちの商品を知っていただくきっかけとして、webの力を再認識しました。

これから年末にかけても、オーディオと“KURO"のトータル提案を強く継続して参ります。11月から12月は全国各お取引様の店頭や様々な会場で400件以上行う予定ですが、今回のプレミアフェスタを参考に、ここでもwebを使ってお客様の商品体験を促したいと思います。

PIONEER プラズマディスプレイ KUROシリーズ


これからのオーディオにiPodの重要性を再認識
 
山崎 私どもと専門店様、地域店様とで進めておりますPASS会で先日、オーディオ販売研究会の第二回目を行いました。その中で音楽配信の現状を知るレクチャーを行ったところ、オーディオ市場にとってすでにiPodありきの商品づくりやマーケティング戦略が必要になっていることが導き出されました。

iPodのチャネルとして、専門店様はこれまであまりいいお立場にはおられなかったという経緯がおありだと思います。しかし現状では否応なく、iPodを正面から捉えなくてはならない状況になっています。iPodを使って、それをピュアオーディオへどうつなげるかという視点を持つこと。それとともに、専門店様ならではの、作り手の思いをきちんとお客様にお伝えするというこだわりを徹底させたいという声もお聞きしました。


――国内のピュアオーディオは、大きな転機を迎えています。市場が低迷する中で、iPodというひとつの活路が存在しているのですが、それをピュアオーディオにとり入れるということをいかに本気で捉え実現させていくかということを、商品づくりでも販売の現場でも待ったなしで考えなくてはならないと思います。これまで専門店さんはなかなかそこに踏み込めないという状況にあったと思いますが、いよいよそうは言っていられなくなってきました。我々もこれからの動きに注目したいと思っています。

山崎 専門店様は、私どもにとっても、同じ時代の長い道のりを一緒に歩ませていただいた仲間なのです。時代の趨勢の中で厳しい状況の中にある法人様もありますし、もちろん私どもも決して順風満帆な状態ではありません。ただこの業界の人間として、お客様に良質な音楽と良質な映像をご提供して、そこから感動や生きる勇気といったものを得ていただきたいというのが我々の最大の喜びです。そういう活動を同じように素晴らしいと感じていただける、専門店様はそういう仲間です。私どもは今後も当然一緒に道のりを歩んで行きたいですし、投資も、時間の共有も惜しまないつもりです。

iPodや音楽配信については、自分たちの商売の中にきちんと取り込んでいかなくてはならないということを再確認しました。ここはもっとスピードを上げていかなくてはと思います。


――音楽や映画を楽しむ方というのは、むしろ増えているといっていいと思います。しかしその楽しみ方や道具というものはずいぶん変わってきているわけです。
これまで音楽配信や圧縮ファイルといったデジタル音楽は音質を云々できるものではなかったという先入観がありましたが、今やそこを乗り越え、CDを超える可能性まで見えてきています。しかしそこを捉えられずにいると、お客様の再生環境はそこについていけず、市場が広がる可能性をますます逸してしまいます。


山崎 当社のAVアンプのシリーズをみても、USB接続でiPodの音を十分堪能していただくような環境が整っています。ハイコンポのZシリーズもそうです。そういう環境にありながら、お客様がそれをご存じないというのが実態です。

メーカーもご販売店様も、業界が一丸となってそこをうたっていかないと、オーディオユーザーを少しも誘うことができません。今まさにそういう状態だと思います。専門店様もそこに取り組まれることによって、新しいお客様を取り込むことができるのではないでしょうか。この努力を惜しんだら成長はないということを、明言していかなくてはならないと思います。

お客様との出会いの場をwebを駆使し拡げていく
 
――大多数のお客様が選択されるiPodという存在を無視しては、何も始まりません。それをもっといい音で聴く、楽しむという新しい道筋をつくることにより、広がりが見えてくると思います。オーディオビジュアルのビジネスを通じ、そこに関わる全ての人が幸せになるという未来が描けなくてはならないと思います。

山崎 当社の中では、経営塾が第2回目を終え、自分たちの中の経営を見直すというプロセスに入りました。パイオニアの営業部隊の中で弱かったものは、現場のマネージャーの参画、目的意識を「腑に落とす」という作業だったのではないかという反省があります。

それは手間隙と根気のいる作業であり、組織として本当にそこまで必要かという論議もありますが、今回はあえてそこにチャレンジしています。プロジェクトを起こし、ホームシアターでナンバーワンになるという戦略をマーケティングテーマとして掲げているのですが、ここを自分たちの営業リソースで、限られた時間と、私どもの資産である得意先を想定しながらどう進めるかという徹底論議を行って参ります。

営業の現場は非常に元気です。この厳しい環境の中で元気である理由は、営業マンひとりひとりが、得意先やお客様からいろいろなことを教えていただいて元気になるということが多いからだと思います。こういう時代だからこそ、元気な営業がイノベーションを起こしていくようなことになったら、と思っています。
商品の機能や性能、そして利便性をお伝えしていくことはもちろんですが、専業メーカーとして重要なのは、体験と感動をご提供することです。それをお伝えする努力を惜しみなく継続することこそ、専業メーカーのあり方だと思っています。ここを強く意識しながら今後もこれを継続していきたいと思います。


そして次のテーマはお客様をどう増やすか、その出会いの場をどう拡大し、体験と感動の場をどれだけ増やせるか。私としては、お客様とのコンタクト、誘いのツールとしてwebの可能性を徹底的に追求していきたいと思っております。

山崎一彦氏 プロフィール
Kazuhiko Yamazaki
1957年生まれ。1980年慶応大学法学部卒業、同年パイオニア(株)入社。宇都宮営業所勤務。85年東京中央営業所、91年近畿量販営業所および量販部、大阪中央営業所に勤務。 97年国内営業部 マーケティング部 オーディオ課長に就任。98年首都圏量販部長に就任、2003年関西統括部長に就任、2005年パイオニアマーケティング(株)量販部長に就任、その後商品本部長、営業本部長を歴任し、2008年6月に同社代表取締役社長に就任、現在に至る。


【関連リンク】
 パイオニア
  http://pioneer.jp/
 Phile-web「Pioneer encyclopedia」
  http://www.phileweb.com/pioneer/