マーケットインの発想を徹底
商品を選ぶ喜びをお客様へ


(株)日立製作所
コンシューマ事業グループ マーケティング事業部
国内マーケティング本部
本部長
高橋憲二氏

液晶テレビ
HITACHI
UTシリーズ

日立「UTシリーズ」が「ビジュアルグランプリ2009」特別金賞を獲得した。テレビに生活環境や使い勝手という新たな評価軸を打ち立て、新たなジャンルを構築した功績は計り知れない。テレビを取り巻く次なる生活シーンの提案へも、市場からの期待が高まる日立。テレビ事業にかける意気込みを高橋本部長に聞く。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征

■他社には真似できない日立の技術を結集

――UTシリーズの特別金賞受賞おめでとうございます。

高橋 大変光栄に思っております。私どものものづくりをご評価いただき、携わった設計者、デザイナー含め、喜びを分かち合いたいと思います。UTシリーズは大変“尖がった”商品ですから、市場に導入したときには、異端児的に捉われはしないかと懸念もしました。しかし、37、42V型とラインナップが揃うのに伴い、店頭でも展示スペースを拡大し、“薄型コーナー”という見せ方もしていただけるようになり、ひとつのトレンドを創れたと自負しております。


――テレビは単なるハコではなく、これからはインテリアになる。テレビの概念を大きく変える出発点になりましたね。

高橋 テレビは家庭には欠かすことができないものなのに、いつのまにか、購入する際の感動が薄れていると感じていました。テレビがリビングルームの雰囲気をも変えてしまう。そうした面白さやワクワク感をお客様にお伝えできたとしたら、まさに狙い通りであり、至上の喜びですね。

UTシリーズのデビュー初期に購入されたお客様は、そうした面での意識の高い方が多く、実に約35%がフロアスタンドや壁掛けなどの、新しい設置をされていました。現在、購入層が広がりを見せている中でも、そうした新しい置き方の構成比が約1/4あります。以前は壁掛けの構成比が1%にも満たなかったことを考えれば、本当にUTシリーズがリビングシーンを変えたのだなと改めて実感します。


――大塚家具で開催された「映画館のある家 インテリアスタイリング」のイベントでも、本当に家具が配置された生活シーンの中に、UTシリーズがスーっと溶け込んでいましたね。

高橋 家庭でのテレビの見せ方、置き方に大きな影響を与えたことは事実だと確信しています。店頭でも、商品がズラリと並べられた従来のテレビ売り場の中で、「UTシリーズのコーナーに行くとホッとするんですよ」「立体感があり、大変面白みがありますね」といった感想を、流通サイドから言っていただけるのはとてもうれしいですね。

 
――市場に定着するまでには、色々なご苦労もあったのではないでしょうか。

高橋 昨年末に32V型を先行して市場に投入したときは、正直、期待通りの反応は得られなかったのですが、市場の目が変わってきたのは、これに37V型が加わり、ラインナップとしての厚みができてきた辺りからですね。カラーバリエーションの展開も、一時は黒よりも白の販売量が多い時期もあったほどで、お客様にとっても、単純に選択肢を増やすという次元ではなく、商品を選ぶ夢を広げるための大きな要因にもなったのだと思います。


――ある時期を境にして、反対に、世の中の流れがUTシリーズについてきているようなイメージがあります。

高橋 テレビの流れを変えたい!という強い思いがありました。日立グループとしての高度な技術を結集した商品でもありますから、他社も易々とは真似できない要素が数多く盛り込まれています。UTシリーズで他社をリードできるという自信がありました。単なる薄さだけではない、。作り込みが全然違う商品なのです。


HITACHI 液晶テレビ Wooo UTシリーズ

HITACHI ブルーレイディスクビデオカメラ DZ-BD10H


テレビスタンドの提案がテレビを部屋の隅から開放した

――UTシリーズでは今回、47V型に新しいL字型のスタンドを用意されました。また、新たなテレビの活用シーンが創造され、大変注目されるのではないでしょうか。


高橋 新しいトレンドを創りたいという強い思いのもと、一切妥協することなく作り込んだスタンドです。これまで、テレビは部屋の隅へという固定観念がありましたが、その呪縛から開放する大きな役割を担ったのがフロアスタンドではないでしょうか。新しい製品も加え、今、「テレビは部屋の真ん中へ」という提案を、どんどんやっているところです。他社には真似のできない当社ならではの強みですね。


――テレビは、性能別などのタテ・マーケティングの商品でした。そこへ、生活環境や使い勝手という評価軸で横マーケティングを展開されたのがUTシリーズです。コンセプトも非常に明快で、新しい視点からの商品を渇望していたお客様が飛びつきました。

高橋 商品の価値に対しプラスの対価をお支払いいただけるというのは、大変ありがたいと思っています。


――日立の営業マンのモチベーションも、これまでとは全然違うのではないですか。


高橋 確かにそうですね。営業マンというのは、自分が得意な商品の話が長くなりがちなのですが、テレビコーナーでの滞在時間が長くなっているようです。商談でも、まず、UTシリーズから切り出すというケースが増えています。UTシリーズの登場が、大きな自信につながっています。

経済全般がこのような厳しい状況にありますが、こうしたときにこそ、店頭でも、UTシリーズのようなはっきりとした意思を持った、尖がった商品を、前面に打ち出して展開いただくことで、お客様の購買ニーズに結び付けていただきたいですね。


――ひとつの新しいジャンルを創ったということは何より凄いことです。流通でも、もっと積極的にチャレンジしたいというところが増えていくと思います。
今回は、さらに、プラズマテレビのP50-XR02が金賞。デジタルカメラグランプリでは、DZ-BD10Hがビデオカメラの総合
金賞を受賞しました。
 

高橋 プラズマテレビの受賞も、大変うれしいですね。XRシリーズはトップエンドの商品。プラズマオリエントの会社ですから、薄型テレビのベーシックなところはプラズマで培ったという技術も数多くあります。「私は絶対にプラズマだ」というお客様や、また、プラズマに対して高い評価をいただける取引先も少なくなく、プラズマにも引き続き力を入れて参ります。

また、DZ-BD10Hにつきましては、歯を食いしばりながらビデオカメラ事業をやっていく中で、本当にいいものがつくれました。それを総合金賞という形でご評価いただき、大変励みになります。


――記録媒体としてHDDやメモリーカードが台頭したビデオカメラでは、いかにアーカイブするかがひとつのテーマとなっています。DZ-BD10Hでは、そのアーカイブまでできてしまう。ユーザーの使い勝手を徹底して追求されていますね。


高橋 ビデオカメラで撮影した映像を残すために、お客様にはPCを使わなければならないというハードルがありました。それが、DZ-BD10Hでは1台で完結できてしまいます。運動会などでも、「その場で8cmのBDディスクに保存してお友達にプレゼントできました」といった感謝の言葉をお客様から頂戴しており、使い勝手では非常に使いやすいビデオカメラだと自負しております。


 ――受賞商品をこうして見てくると、これからの生活はこうなってくるというしっかりとしてグランドデザインが日立の商品からは見えてきます。

高橋 4月に機構改革を行いましたが、そこでも、マーケットインという考え方をさらに徹底させています。「お客様視点のものづくり」と、言葉で言うのは簡単なことなのですが、それがようやく実践できはじめました。商品としても結実してくる中で、そのひとつの結果として、こうした賞の受賞となったことは、本当に心強い限りです。



高橋憲二氏 プロフィール
Kenji Takahashi
1955年4月18日生まれ。福岡県出身。79年3月、九州工業大学卒業。79年4月、日立家電販売(株)入社。05年4月、(株)日立製作所ユビキタス営業統括本部コンシューマ営業本部長、08年4月、マーケティング事業部国内マーケティング本部長、現在に至る。趣味はアウトドア全般。生まれも育ちも福岡県、根っからの九州人。入社以来、コンシューマ向けAV商品の営業一筋で販売最前線に精通していると自負する。モットーは「成せば成る」。


【関連リンク】
 日立製作所 AV情報ページ
  http://av.hitachi.co.jp/
 Phile-web「Wooo WoRLD」
  http://www.phileweb.com/wooo/