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<山本敦のAV進化論 第183回>

“zero”の個性はゲーミングスマホで突き抜けた ー 「AQUOS zero2」開発者インタビュー

2020/01/31 山本 敦
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シャープが自社生産の有機ELディスプレイを搭載するAndroidスマホ「AQUOS zero2」を商品化した。国内では大手の通信事業各社が取り扱いに名乗りを上げる形で1月末に順次発売される。

自社生産の有機ELディスプレイを搭載するシャープのスマホ「AQUOS zero2」。画面のサイズは約6.4インチに大型化した

2018年秋に発売された「AQUOS zero」の後継機種は、「画質」以外にも様々なパフォーマンスの向上を図った。また6インチ以上の画面サイズとして、電池容量は3,000mAhを超えるIPX5以上の防水対応スマホでは世界最軽量を更新する141gの軽さも実現している。

AQUOS zero2の開発担当者を訪ね、端末の魅力をとことん語っていただいた。今回インタビューに応えていただいたのはシャープAQUOSスマートフォンのハイエンドモデルを担当する楠田晃嗣氏、AQUOS zero2の商品企画担当である篠宮大樹氏、ならびに放熱設計のスペシャリストである田邊弘樹氏だ。

写真左から田邊弘樹氏、篠宮大樹氏、楠田晃嗣氏

zeroシリーズの個性は「ゲーミングスマホ」として突き抜けてきた

シャープの新製品、AQUOS zero2は大きさが約6.4インチ、240Hz表示に対応するフルHD(2,340×1,080ドット)解像度の有機ELディスプレイを搭載する。SoCにはクアルコムのSnapdragon 855 mobile platformを採用する。ダブルレンズ仕様の標準カメラは有効画素数が約12.2MP。本体の防塵・防水設計はIPX5・IPX8/IP6X相当。プラットフォームは最新のAndroid 10だ。端末の詳細については発表会ニュースを合わせて読んでもらいたい。

標準カメラはデュアルレンズ仕様。Astro Blackのフィニッシュは深い青とブラックのグラデーションが美しく映える

AQUOS zeroの初代機が発売されてから約1年。大小の進化を大胆に採り入れたシリーズの2代目は、ユーザーのどんな期待を背に受けて開発が進められてきたのだろうか。

「AQUOSスマートフォンはRシリーズとsenseシリーズの2ラインで、スマートフォンの王道的な進化を追求してきました。zeroは王道から意図的に外れて、良い意味でシャープらしくないことにも挑戦するシリーズと位置づけています。初代のzeroでは軽さとハイパフォーマンスにこだわり、自社生産の有機ELディスプレイによる明るく高精細な画質を実現しました。結果としてAQUOSスマートフォンのユーザーを拡大できたと自負しています」(楠田氏)

初代のzeroはエンタメ・ガジェットとして動画やゲームを快適に楽しめるスマホであることを前面に打ち出してきたという。シャープでは昨年から新たな挑戦としてeスポーツのイベントに協賛したり、ゲーム愛好家たちとの接点を開拓してきた。

「端末を体験いただいた方々からアンケートを集めたところ、zeroの “本体の軽さ” を高く評価いただきました。そこでさらなる軽量化とパフォーマンスの向上を目指しながら、zeroの2代目はゲームを楽しむスマートフォンとして個性に磨きをかけています」と楠田氏が語っている。

本体の厚さは約8.8mm。質量は約141gというスリム&軽量サイズを実現した

近頃はスマートフォンのパフォーマンスがケータイの時代と比べて飛躍的に高くなったことで、パソコンだけでなくモバイル端末でゲームを楽しむファンが広がっていると楠田氏は話す。通勤・通学の時間帯にライトにゲームを楽しむ層と、本気度の高い “ガチ層” との間に、いま、仲間とのコミュニケーション手段としてもゲームを前向きに楽しむ “エンジョイ層” が育ちつつあるという。「ハイスペックなコミュニケーション端末でもあるスマートフォンが、これからゲーミング端末としてもさらに伸びていくはず」と楠田氏が見解を語っている。

スマホゲーム“エンジョイ層”の増加から、ゲーミングスマホ需要の高まりを見込む

一方で、ゲーミングスマホとして発売されている端末は重くてゴツい外観のものが多い。「超軽量でありながらパワフル」というzeroシリーズの特徴が、モバイルゲームの愛好家に唯一無二の価値として響く可能性もある。

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