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21対9ディスプレイを搭載

<IFA>ソニー「Xperia 5」開発者インタビュー。「本体はスリムに、感動体験には妥協なし」

2019/09/08 山本 敦
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ドイツ・ベルリンで開催されているエレクトロニクスショー IFA2019に出展するソニーモバルコミュニケーションズ(以下 ソニーモバイル)が、今年の後半に日本を含む世界の各地域で発売を予定するスマートフォン「Xperia 5」を発表した。

約6.1インチの「シネマワイド」ディスプレイを搭載するXperia 5

ソニーモバイルは今年春にスペイン・バルセロナで開催されたMWC19 Barcelonaでフラグシップモデルの「Xperia 1」を発表した時に、今後Xperiaシリーズのラインナップ展開を一新することを明らかにし、型番に付く数字「1〜10」の間で、それぞれに端末の個性・立ち位置をすみ分けた機種を展開していくと宣言した。

今回IFAで発表されたXperia 5は、Xperia 1に続くフラグシップラインとなり、本体のサイズが少しコンパクトになったモデルだ。このほかにも日本では展開の予定がないミドルレンジスマホの「Xperia 10」を加えた3機種の存在が現在までに発表されている。

Xperia 5を担当するキーパーソンにインタビューした。左から森田氏、村井氏、川原崎氏、間下氏

Xperia 5の特徴をより深く知るために、IFA2019の会場でソニーモバイルの担当者にインタビューした。出席していただいたのは商品企画を担当する川原崎翔太氏、カメラまわりの開発を担当する間下健介氏、森田徹氏、ならびにプロダクトデザインを担当するソニー(株)クリエイティブセンターの村井薫氏の4名だ。


Xperia 5とXperia 1はここが違う

Xperia 5の機能、および仕様の詳細についてはPHILE WEBの速報ニュースを合わせて読みながら参考にしてほしい。あえてその立ち位置を一言でまとめると「Xperia 1のリッチな体験をそのまま引き継いだフラグシップラインのコンパクトモデル」ということになろうかと思う。

IFA2019の展示スペース

日本を含む世界の国と地域で、今秋以降に発売が予定されている。端末の販売形態、ならびに販売価格についてはそれぞれの国・地域によって異なってくるが、価格について参考になる情報として、北米ではXperia 5を799.99ドル(約85,000円)で展開することを明らかにしている販売店が表れたようだ。さらにこちらも参考までに、Xperia 1が北米で発売された当時の価格は949.99ドル(約10万円)だった。

4色のカラーバリエーションが展開される

Xperia 5の特徴を押さえておくために、発表された重要な3つのポイントを振り返っておこう。

アスペクト比が21対9というシネスコサイズのディスプレイはXperia 1から初めて採用された。Xperia 1は4K/HDR対応の有機ELディスプレイであることもスマホとして世界初の試みになったが、Xperia 5はFHD+(2,560×1,080画素)のHDR対応有機ELディスプレイになる。画面のサイズはXperia 1の約6.5インチから、Xperia 5は約6.1インチに小型化した。

本体の横幅がXperia 1の約72mmから、Xperia 5は約68mmにスリム化されているため、スマホとしての片手持ち操作はわずかな差に思えるが、実機を手に取ってみると明らかに持ちやすくなっていた。Xperia 1は片手で持て余すからという理由で購入を見送っていた潜在ユーザーの購買欲を大いに刺激しそうだ。

もうひとつ注目したい点はXperia 1の高性能なカメラ機能がほぼそのまま踏襲されたことだ。背面のメインカメラはトリプルレンズユニットとした。焦点距離と画角が異なる3つのレンズを乗せて、デジタル一眼レフカメラの「レンズ交換」を楽しむような感覚で様々な被写体やシーンに賢くフォーカスを定められる。もちろん物理的なレンズ交換の手間や面倒な設定が要らないのがスマホのカメラの良いところだ。手軽にきれいな静止画・動画が撮れるXperia最先端のカメラがXperia 5にも載っている。

Xperia 5の展開イメージ。Xperia 1と同等のトリプルレンズユニットを搭載する

カメラ周辺の機能についてはシネマライクな4K/HDRムービーが撮影できる「シネマプロ」を、アプリを独立させる形でプリインストールしている。ソニーモバイルのカメラを担当するチームが、ソニーの業務用デジタルシネマカメラ “CineAlta”「VENICE」シリーズの開発を手がけるエンジニアとタッグを組んで開発した新機能のシネマプロは、誰でも手軽に“映画のようなムービー”を撮って、21対9の高精細なディスプレイで楽しめる魅力的な機能だ。

本体のボトム側にはサイドに向けてステレオスピーカーの片側が配置されている


画面サイズが変わっても「シネマワイド体験」に影響はない?

Xperia 1の看板であるアスペクト比21対9のディスプレイによる「シネマワイド」体験は、今回Xperia 5にも裾野が広がることになる。スクリーンサイズがわずかながらも小さくなったことによってシネマワイド体験自体がスケールダウンしてしまう心配はないのだろうか。川原崎氏に質問をぶつけた。

「スマートフォンによるコミュニケーションのスタイルは、従来からの音声とテキスト、静止画によるものから、動画コンテンツを含むコミュニケーションへと目覚ましい勢いで成長しています。

当社がアスペクト比21対9のディスプレイによるシネマワイド体験を推している理由は、同じサイズで作られている映像コンテンツやXperiaで撮影した動画が迫力たっぷりに見られるというだけでなく、1つの画面をスプリット表示にして2つのコンテンツを片手持ち操作で快適に楽しめるマルチウィンドウのユーザビリティに富んでいるからでもあります。いわゆる”ながら使用”にフィットするスクリーンサイズとして、Xperia 5でも訴求していきたいと考えています」(川原崎氏)

21対9のワイドな画面を有効に使えるマルチウィンドウ機能。サイドセンスUIももちろん搭載されている

川原崎氏は、Xperia 1は当初から4K/HDR対応、アスペクト比21対9のディスプレイを載せることが決まっていた、ソニーの最先端のテクノロジーを詰め込むことを命題としていたスマホだったと商品企画の意図を振り返っている。

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