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IFA 2017会場でインタビュー

<IFA>オンキヨーの“音がいい”スマートスピーカーはなにが違う? 開発者に聞いてみた

2017/09/05 山本 敦
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Alexa搭載のP3については、「2.5インチフルレンジウーファーとパッシブラジエーターをデュアルで乗せて、倍の口径相当の力を出せるようにして低域を稼いでいます。本機の方がよりトラディショナルなチューニングに仕上げています」という。

Amazon Alexa搭載の「P3」

それぞれの音質ついてはAI/IoT事業推進室 室長の宮崎武雄氏が、「P3は厚みのある低域をガツンと出せるパワー感が特徴。G3はボーカルや弦楽器の音色をしっとりと艶っぽく再現できるHi-Fi志向」とイメージを比較しながら伝えてくれた。なお、G3のユニットはハイレゾの再生帯域をカバーしているという。

マルチルーム再生が格段に便利になる

Google Assistantによるエコシステムは、Chromecast built-inの機能を搭載するオーディオ・ビジュアル機器との高い親和性につながっている。オンキヨーでは現在、同社のネットワーク接続機能を備えるオーディオ機器にアップデートをかけて、次々にChromecast built-in対応としている。G3を導入すると、例えば「Google Play Musicからテイラー・スウィフトの曲をキッチンのスピーカーで再生して」と音声でコマンドを入力すると、リビングに置いたG3から別室にある音源が再生できたり、マルチルーム再生を自由自在に楽しむ環境が手軽に組める。

複数台のスピーカーをつないだマルチルーム再生のデモンストレーション

Amazon Alexaのシステムは作り込みの自由度が高いことが特徴だという。そのため、P3の方にはアナログの音声入出力が搭載されており、CDプレーヤーにつないだり、P3で受けたオーディオストリーミングをより高音質なオーディオシステムで聴くといった具合に、外部機器と組み合わせた使い方にも発展できる。

P3ではDTS Play-Fi連携の機能にも要注目だ。最大96kHz/24bitのロスレスストリーミングを、同じDTS Play-Fi対応のネットワーク機器とシェアしながらマルチルーム再生を楽しんだり、P3で受けたストリーミングをWi-Fi経由で別室のAVアンプに飛ばして聴くこともできる。宮崎氏によれば、オンキヨーとパイオニアの製品にDTS Play-Fi対応を充実させていくことにもさらに力を入れているという。

DTS Play-Fiの機能は専用アプリで操作する

DTS Play-Fiの機能をベースにP3でマルチルーム再生を楽しむために、スピーカーとオーディオシステムのグルーピング設定などはDTS Play-Fiの専用アプリを使うことになる。この場合、同じネットワークにあるデバイスはアプリからホストとスレイブの関係で制御できるが、もしもP3をはじめとするAlexa搭載のスマートスピーカーを宅内の複数の部屋に置いて使う場合、その振る舞いが少し変わってくる。Alexaのスマートスピーカーは現状クラウドと1対1の関係でつながる仕様になっているので、別々の部屋で「好きな音楽をかけて」とコマンドを送ってしまうと、DTS Play-Fiのアプリで設定したグルーピングが外れてしまうことが起こるようだ。

スピーカーのマスター/スレイブ設定、グルーピングなどが行える

それぞれ連携したスピーカーの調整操作も可能

これからスマートスピーカーが発売されて、様々なスマート家電やIoT機器、ネットワークオーディオとつながるようになってくると、個々の機器がオフラインで使える機能、あるいはネットワークにつないで使う既存の機能に対して、AmazonやGoogleなどがクラウドベースで提供する機能とのバッティングやオーバーラップが発生することも考えられる。そうなると、ユーザーにとってやや複雑でわかりにくい状況が生まれる懸念がないのだろうか。

佐藤氏は「メーカー側もスマート機能の全容や最新のアップデートを頭に入れながら、ユーザーがシンプルに使いこなせるよう環境を整備していく必要性を感じています。また販売店と連携しながら、エンドユーザーに機能の魅力や使い方を正確に伝えていくことも、普及を促進する上でとても大事になるのでは」と語っている。

オンキヨー、パイオニアの両ブランドから今後DTS Play-Fi対応の製品が増え続けることになりそうだ

今回発表されたオンキヨーのスマートスピーカーが日本国内でも展開されることになるのか、まだ現状で明らかにされていないが、もし機が熟した場合、製品やサービスの展開については、今年の夏から通信事業者であるKDDI/auの「au HOME」や、エネルギー事業者である東京電力エナジーパートナーの「TEPCOスマートホーム」と連携することも考えられるのではないだろうか。

佐藤氏は「まだ製品の国内発売についてはお答えできませんが、オンキヨーは日本のブランドなので前向きに検討したいと考えています。そして導入の際にはパートナーシップも含めて、すべての可能性を見当していきたい」と意気込みを語ってくれた。今後の展開に期待したい。

(山本 敦)

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