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IFA 2017会場でインタビュー

<IFA>オンキヨーの“音がいい”スマートスピーカーはなにが違う? 開発者に聞いてみた

2017/09/05 山本 敦
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オンキヨーグループがIFA2017の会場で、欧州市場向けにAIアシスタントを搭載する二つのスマートスピーカーを発表した。製品の詳細については既報の通りだが、それぞれのスピーカーが「真にオンキヨーブランドの製品らしいところ」はどこなのか。音響設計に関わったキーパーソンから話を聞くことができた。

インタビューに答えていただいた八木氏(写真左)、宮崎氏(左から2番目)、佐藤氏(写真右)とオンキヨー(株)代表取締役副社長 COOの中野宏氏(右から2番目)

オンキヨーの強みは、他のスマートスピーカーに負けない高音質

今回のIFAでオンキヨーが発表したスマートスピーカーは、1つがGoogle Assistant搭載の「G3」(VC-GX30)。欧米で10月中旬に発売を予定する。もう1つがAmazon Alexa搭載の「P3」(VC-PX30)で、こちらは10月下旬からイギリスとドイツで販売が始まる予定。同スペックの北米モデル「P4」(VA-FW40)は、パイオニアのプレミアムブランドとして北米で根強い人気を誇る“Elite”のラインナップとして同時期に発売を控える。

今年のIFAではオンキヨーの他にも、ソニーやパナソニック、JBLにharman/kardonなどオーディオ製品のスペシャリストが、「高音質」を他社製品との“違い”として掲げるスマートスピーカーを発表した。他社製品の動向を受けて、あらためてオンキヨーのスマートスピーカーの立ち位置をどこに置くのか、オンキヨー(株)AI/IoT事業推進室 副室長の八木真人氏に訊ねた。

「スマートスピーカーはAIアシスタントを搭載する“スマートデバイス”ですが、本質は音楽を聴くためのスピーカーなので、各社の競争軸が音質に集約されることは当たり前であり、進化の方向性としてとても望ましいことだと考えます。その中でも、オンキヨーにはブランド誕生から70年を超えるオーディオ開発の長い歴史があり、音のチューニングや小型化、ユーザーが求める機能の作り込みに絶対の自信があります。G3やP3のように小さなスピーカーで迫力ある音を鳴らし切るには、相当のノウハウが必要です。これから発売に向けて音質を体験いただける機会を設けて、ぜひ“違い”を実感していただきたいと思います」(八木氏)

音づくりの匠が語る「G3」「P3」の“いい音”の秘密

オンキヨー&パイオニア(株)マーケティング部 部長の佐藤誠氏によれば、欧米で発売が予定されている「G3」は、元々スマートスピーカーとしてではなく、通常の小型ワイヤレススピーカーとして、そのドライバーやエンクロージャーの開発を進めてきた製品だという。

「AIを利用するために機器自体をコンパクトに設計していますが、それでも音質を破綻させないためには、G3の原型として開発を進めていたスピーカーの要素技術が活かせると考えました」(佐藤氏)

Google Assistantを搭載する「G3」

中でも特徴的なのは、高音質のソフトドーム・トゥイーターとともに本機に搭載されている、カスタム設計のウーファーユニットだ。コンパクトなエンクロージャーに収めきるためにスピーカーユニットの小型化を図りながら、ユニットの振幅幅を大きくして力強い音を鳴らす新技術を搭載した。詳細をインタビューに同席いただいたCTOの奥田伸明氏が次のように説明する。

オンキヨー CTOの奥田伸明氏

「通常サイズのスピーカーで迫力のある音を出そうとすると、ドライバーユニットを大きくして空気を押し出すパフォーマンスを高めることが重要になります。その効果は特に低域の再現力に差となって現れるものですが、小型スピーカーの場合はユニットを大きくすることが難しいため、今回のG3に搭載したユニットは空気を押す力をストローク(振幅幅)を1.5倍ほど大きくすることで、低域の再現力を稼ぐという手法を採りました」(奥田氏)

G3のスピーカー構成図。コンパクトな筐体でパワフルなサウンドを再現する新技術が採用された

一方でアンプのコントロールが難しくなるとのことだが、その点については、「ストロークが取れるとユニットが自由に動けることになりますが、その分歪みが生まれてくるので、これを電気的にコントロールすることで、豊かな低域再現につなげています。G3には8cmのユニットを積んでいますが、ほぼ12cm相当にまで最低共振周波数を下げて、それをアンプとDSPの処理で強制的にコントロールする方法を選択しました。こちらはG3のために開発した新しい技術です。クリーンな電源回路にも気を配っています」と語る。

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