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開発期間は27ヶ月。試作パーツは数千に及ぶ

【開発者インタビュー】AudioQuest「NightHawk」は技術革新でヘッドホンの常識に挑む

公開日 2015/02/10 13:19 構成:編集部 小澤貴信
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イヤーカップは完成までに2,000超の試作品をつくって検証した

ーー CESのAudioQuest展示ブースには、このリキッドウッドでつくられたハウジングの試作品が多数展示してありました。完成までに試行錯誤を重ねたことを見て取ることができました。

Gray氏 展示してあったイヤーカップの試作品はごく一部です。私が記憶している限りで、基本形状だけで100種類以上のパターンを試しました。1つの形状に対して、温度や圧力、材料特性を変えてテストを繰り返すのですが、そこからさらに音響特性から表面の仕上げまで追い込んでテストしていきます。NightHawkが完成するまでに作ったイヤーカップの試作は、ゆうに2,000は超えます。

ーー 2,000! その数字にはちょっと驚かされました。

リキッドウッドで作られたイヤーカップの試作の数々。展示されたのはごく一部だ

Gray氏 イヤーカップの設計工程についても説明しましょう。まずはコンピューターを使って3次元設計するのですが、同時に有限解析を行います。その形状において特定の周波数に共振がないか、強度が十分とれるのか、さらに軽量化できる箇所はないのかなど、多角的に検証していくのです。そこで基準を通過したデザインを3Dプリンターで成型して、さらにテストを行います。そこでふるいにかけて残ったものを今度はブロックから削り出して、実際に試してみます。そして最後まで残ったものをリキッドウッドで作成して・・・・・・。

ーー 気が遠くなるような工程です。それだけリキッドウッドを用いたイヤーカップにはこだわりがあったということなのですね。

Gray氏 妥協はしたくなかったのです。究極の完成度を目指してたので、目標をクリアするまでは製品化することはありませんでした。

ーー AudioQuestに入社して約2年ということでしたが、その期間すべてをNightHawkの開発に捧げたと考えてよいのでしょうか?

Gray氏 そうです。ええと、出荷からさかのぼって正確に数えると、開発期間はトータルで27ヶ月といったところです。

振動板周囲にエッジを設けて音響特性を向上させたドライバーユニット

ーー ドライバーユニットについてはいかがでしょうか。今回の披露に先だって配布されたNightHawkのプレスリリースには、スピーカーのドライバーを意識した手法を用いたという説明もありました。

NightHawkに搭載されたドライバーユニット。バイオセルロース素材を用いたピストン式振動板を採用している

Gray氏 振動板については、スピーカーのドライバーに共通している部分があると言えます。NightHawkのドライバーユニットにおいては、振動板の周囲にエッジを設けました。これにより可動すべきところとそうでないところをはっきりと分けることができ、最適な音響特性をつくることに成功しました。ヘッドホンで一般的に用いられる振動板では、安定するのがドーム部の中心部だけだったので、それを改善したかったのです。

しかし、振動板以上に注目して欲しいのは、ドライバーユニットのボイスコイルです。

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