HOME > インタビュー > 原作者・小澤さとる氏に訊くBD版「青の6号」− これほど完成度の高いアニメは今後もないと確信

サイン入りプレスシートプレゼントも有り

原作者・小澤さとる氏に訊くBD版「青の6号」− これほど完成度の高いアニメは今後もないと確信

公開日 2010/07/26 09:39 鈴木桂水
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
前回の記事で紹介したとおり、キュー・テックの「高画質HDリマスタリング」で美しく生まれ変わったBD-BOX版「青の6号」。このBD版青の6号には2010年に新たに追加された以下の特典が収録されている。

・特別対談 小澤さとる氏(コミック版原作者)×岡部いさく氏(軍事評論家)
・特別対談 郷田ほづみ氏(速水 鉄 役)×前田真宏氏(監督)

新規収録特典の見どころを紹介しよう。まず「小澤さとる氏(コミック版原作者)×岡部いさく氏(軍事評論家)」の対談だが、岡部氏は自他共に認める小澤さとる氏のファンで、作品への造詣も深い。とくに「青の6号」、「サブマリン707」などの作品に登場する潜水艦についての解説が聞けるか楽しみだ。

次に「郷田ほづみ氏(速水 鉄 役)×前田真宏氏(監督)」による特別対談だ。筆者は運良く収録に同席できたので、その一部をお伝えしよう。


本作の主人公である速水鉄を演じるのは俳優、声優、音響監督としてもご活躍されている郷田ほづみ氏だ。郷田氏といえば、ロボットアニメの名作「装甲騎兵ボトムズ」シリーズのキリコ・キュービー役としてアニメファンにはなじみがある。

しかし40代から上の世代になると、キリコ役はもちろんのこと、パフォーマートリオ「怪物ランド」のいい男キャラ担当としての印象が強い人もいるのではないだろうか。

この怪物ランドとは郷田氏のほかに平光琢也氏、赤星昇一郎氏からなるトリオのこと。お笑いの実力はずば抜けており、勝ち抜き式のオーディション番組「お笑いスター誕生!!」では、見事に10週を勝ち抜き、グランプリを獲得した。この番組のレベルは高く、約6年の放送期間の間にグランプリを獲得できたのは10組に止まった。ちなみにグランプリ獲得者はB&B、とんねるず、シティボーイズなど蒼々たる面々がそろい、ダウンタウン、イッセー尾形氏などはグランプリを逃していた。

その後、怪物ランドは深夜番組「ウソップランド」のレギュラーが決まり、カルト的な人気を博すことになる。

対談前の控え室で筆者が郷田氏に怪物ランドの話をしたところ、前田監督も加わり、当時の話で盛り上がってしまった。この怪物ランドの成功が郷田氏の声優としての活動に影響を及ぼすことになったことなど貴重なお話しがうかがえた。

郷田ほづみ氏

前田監督と郷田氏の対談収録で触れられていたが、対談の収録は1時間を超えているので、特典映像にどこまで郷田氏のプライベートな部分が記録されているかは不明だ。ただ、筆者の知る限り郷田氏のプライベートに触れたインタビューは少ないと思われるので貴重ではないだろうか。全国に多く隠れているであろう「郷田ほづみファン」には必見の内容になっていることは間違いない。

今回BD版の感想を青の6号の原作者である小澤氏へ伺うことができた。

  ◇  ◇  ◇  


━━ 青の6号がアニメ化するまでの経緯をお聞かせください。

小澤氏:1993年ごろに本作のプロデューサーである杉山 潔氏からOVA化の話をいただきました。当時は青の6号のアニメ化にはまったく気乗りがしなかったのだけど、杉山氏が3年間僕のアトリエに通い続けて、その熱意に負けて許諾したんです。ただし、OVA化にあたり条件はつけました。それは「原作を意図せずに、若いクリエイターの感性で、ゼロから作ってほしい」ということでした。現在の若手の力で、これぞ新しい“青6”の世界を原作者に見せつけてほしい、そうお願いしたんです。

小澤さとる氏

━━ 完成されたアニメ版をご覧になっての感想は?

小澤氏:試写を見て“ここまでやるか”とド肝を抜かれる程圧倒されました。前田監督、キャラクター担当の村田蓮爾氏や草K琢仁氏をはじめとする若い世代の実力と情熱の産物には原作者名利に尽きる感動をうけました。とくに両氏のキャラクターがよかったね。素晴らしいと思いました。

━━ 今回BD版をあらためてご覧になって、ご感想は?

小澤氏:完成から10年以上の時を経てブルーレイの登場に合わせてメイクアップされた青6の映像には今更ながらの感動を覚えずにはいられません。グレードアップした画面は鮮明の度を増し、クッキリと整えられた表線が元々立体感に溢れた画像を際だたせています。

“OVA版青6”のでき映えの良さを改めて言うまでもありませんが、数多あるアニメの中にあってもストーリーは無論のこと、これ程完成度の高い画像を創り出したアニメは今後再び製作されることはないとさえ確信させられます。2Dでこれだけ臨場感が得られるのなら、3D映像などいらないと言うのがボクの実感でした。それにしても、一昔以上も前にこの作品の製作にあたった若いクルーたちの圧倒的な技量とその情熱には計り知れないものを感じますが、その一方で“彼らはなぜこれだけの情熱を注ぐ作品として青6を選んだのか? 青6でなければならなかったのか?”という疑問が未だに「原作者・小澤さとる」として感じています(笑)

━━ 機会があれば同じスタッフで小澤作品がアニメ化されるといいですね。

小澤氏:そうですね。これは、僕から前田監督へのメッセージですが − あれから10年、前田くん、キミがもう一度“青の6号”に取り組んだらどんなアニメになるのだろうか、怖い気もするが見てみたいものです。キミがもしまだ青6にこだわるとすれば、それは一体何がそうさせるのかボクは知りたい。これが、BD版の青6に触れた実感です。

  ◇  ◇  ◇  


アニメ版青の6号は前田監督も話していたように、実験的な試みがされた作品だ。筆者は、1話の冒頭のシーンで台詞よりもBGMのボリュームが大きく聞きづらいと感じていたが、今回前田監督にお話しを伺ったところ、監督として思い入れのあるバンド「ザ・スリル」を起用したことで楽曲を前面に出したかった結果とのことだった。このあたり一つ取り上げても、この作品独自の“若さ”が感じられるエピソードだ。

今回キュー・テックのマスタリング技術により、蘇ったOVA版青の6号だが、当時を知る人もそうでない人にも楽しんでいただきたい。なお画質についてだが、一部のリリースでは1080iでの記録となっているが、本編のみ1080pでの収録に変更されている。

また今回、バンダイビジュアルの杉山プロデューサーから、読者プレゼントをいただいた。なんと青の6号制作時の貴重なプレスシートに、前田監督、郷田氏をはじめ主要なスタッフのサインを添えて2名の方にプレゼント致します。下記フォームよりご応募ください。なおご応募は8月6日(金)17時を締切とさせていただきます。奮ってご応募ください!


プレゼント品となるサイン入りプレスシート(サインは画像より増える可能性があります)
受付は締め切りました。沢山のご応募有り難うございました

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE