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DTCP-IPネイティブ対応も視野に

DLNA「3スクリーン」でさらに進化するWindows − マイクロソフト森氏に聞く今後の展開

2009/12/25 一条真人
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■DTCP-IPへのネイティブ対応も視野に

−−日本国内のテレビ放送では著作権保護がかけられていますが、Windows7のDLNA機能がDTCP-IPに対応する予定はありますか。

森:今回のWindows7では検討した結果、搭載されませんでした。OSネイティブでは対応していませんが、サードパーティ様のソフトを使えば、サーバーもクライアント機能もDTCP-IP対応になります。

Windows 7は標準でデジタル3波に対応しているが、DTCP-IPには非対応のため、録画したコンテンツをDLNA経由で他機器で見るためにはサードパーティー製ソフトが必要になる

−−そういうところはサードパーティにまかせるということですか?

森:そういうことではありません。今回は検討した結果、入れなかったというだけです。どこまでWindowsというOSがカバーするべきなのか、どこからどこまで他社の技術で、という線引きは難しいですよね。すべてをOSに入れても仕方がありません。

たとえばDVDを焼く行為というのは、もう当たり前です。昔はDVDのライティングソフトを買ってきてディスクを作成するということが普通の時代がありましたが、あまりに当たり前の機能になったので、VistaでOSに入れてしまいました。DTCP-IPについても、世の中の変化に合わせていけば、そういうパターンになると思います。

もし入れたらサードパーティー様のビジネスの阻害になるという声もありますが、お客様の利益を考えたら、そこに手間をかけさせることで、そういった新しいテクノロジーの普及が遅れたりして、普及の阻害要因になることも考えられます。

サードパーティー様との役割分担という意味では、基本的なところはOSでなんとかカバーしますが、プラスアルファの部分をお願いすることになると思います。先ほどのDVDの例で言いますと、DVDを単純に焼く機能はOSで用意しますが、編集やそれ以外の部分はソフトウェアを買わないとできないというイメージです。買うともっと便利なことができるということになります。そういう風にしないと、業界自体が発展しませんので。

■マルチタッチが新しいPCの世界を開く

−−Windows 7の大きな特徴として、マルチタッチへの対応が挙げられます。PCメーカーのCMなどを見ても、マルチタッチをフィーチャーしたものが多いようです。実際にメーカーに聞いてみてもかなり売れているという話を聞きます。マルチタッチ対応ソフトに関して「こういう風に使ったらもっと面白いんじゃないか」と言うようなことはありますか?マルチタッチのAV的な可能性というのはどうでしょう?

森:新しいデバイスなので、今後、どんな広がり方もありうると考えています。個人的には、感覚的に操作できるのが大きいと思っています。編集のような、細かい緻密な操作が必要とされる用途には正直向かないと思いますが、写真やビデオのビューイングには、感覚的に操作できるので、とても向いていると思います。

あとは、お子様やお年寄りでも使いやすいので、PCのユーザー層が大きく広がることを期待しています。特にLoiloのものは遊び心があって面白いですね。お子様にあのソフトを試してもらうと、ずっと遊んでいます。マルチタッチがPCのユーザー層を広げる役割を担って、今後、PCの形自体も大きく変わっていくかもしれません。

「現存するものをマルチタッチに対応させてみよう」というのが今のフェーズですが、いま申し上げた、新しいお客様を広げる可能性を理解して頂くと、今までのPCとは違う業界の人が「これをやってみよう」というような広がりが出てくるのではないでしょうか。

率直に言って、PC業界の人が考えるマルチタッチの活用法は、これまでのPCの常識から抜けきれないところがあると思います。マルチタッチはそれを飛び越えた広がりを持つと期待しています。

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